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[ライブレポ]ヒグチアイ 独演会 [ 誕 生 ] 飯山市文化交流館なちゅら

舞台が暗転し少しの間があいた後、ふわりとした衣装に身を包んだヒグチアイが登場。

ピアノ上に置かれたクマさんを大事そうに自分の斜め後ろの台に移動させ、観客に向かい合わせるように丁寧に座らせる。

それを静かに見守る観客。

演奏が始まると、ホールのこの高い天井を突き抜けて、遠くどこまでも届きそうなピアノの音色とヒグチアイの歌声が柔らかく響き渡り、一瞬で彼女の世界に引き込まれる。

木材がふんだんに使われて木の香りが時々鼻をくすぐるこの会場の雰囲気がそうさせるのか、故郷で7年目のデビュー日を迎えたからなのかは分からないが、今日のヒグチアイは全身全霊で挑んで闘っているような激しさは影を潜め、少し憂いを帯びたような何かに包まれて流れていくような印象をもった。

とは言え、ちょうど紅葉の時期で、彩られた山々の木々に霞がかかって幻想的…と眺めていたら、畑を焼く煙だった!とか、いつも手拍子を要求しておいて「ダメなら止めてって言う」とか言ってしまうから、来年の目標はそんなこと言わないことにしようかな。でもまだ今年だから言わせて!など話を始めると、ところどころ会場の笑いを誘ういつものヒグチが戻ってくる。

18年間長野で過ごし、東京に出て14年。メジャーデビューして7年。
自分は天才!東京に出たらすぐメジャーデビュー出来るって思っていたのにそんな考えはすぐ打ちのめされて。物販で写真撮ったりこんなことやらないとデビュー出来ないのか悩んだりして、人と違うことをやろう、人がやらないことやってみたり。
でもやり続けていたからこそ見えてくることがたくさんあって。
昔、もうダメかもしれない、どうにもならない感情をもってやったライブを、見に来てくれた高校時代の友人が「いつもと違うけど、大丈夫?」と声をかけてくれた。

今日その友だちが見に来てくれている。今日はどんな風に見えているんだろう。後で聞いてみたいと思う。
そんなことを静かに語る彼女が14年間おそらく時々崩されながらも積み上げてきたもの、作り上げてきた道筋。

きっとそれが少しずつ揺らぎないものになっていって、今ここに立っている。その先を見て突き進んでいく彼女の来年も、またその先も、どういう風になっていくのか見たいし楽しみだなと思った長野遠征だった。

=追記=

グッズのグレーのフーディー着用でアンコール登場。すごく似合っている。
これ着て登場したら、きっとたくさん買ってくれるって思ったのに、昨日(新潟)はびっくりするほどの数しか売れなかった。

そうだよね、私の顔がプリントされているしね。。と少々苦笑い気味のヒグチ。

でもこれは2022年の私の思い出なの!と、プリントされたひとつひとつを説明し始める姿がとっても愛おしかった!

遠征で帰りの荷物になるから、東京で買おうと思ってトートバッグしか買わなったけど、東京公演で万が一売り切れてたら泣く。。


ヒグチアイ 独演会 [ 誕 生 ]
2022/11/23(水祝) 長野 飯山市文化交流館なちゅら 大ホール

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