潮風

　2023年も23歳もそろそろ終わるらしく、本厄もやっと過ぎ行くらしく、また色々と変わっていくらしく、つらつらと書いていこうと思う。

　社会人2年目はあっという間だったし、すごく長くもあった、これ毎年言ってる気がする。体感5年くらいは経った。社会人になってまだ1年半と少しのような気は全くしないし、飲みの席でも5年分くらいの土産話がある。

　何もわからないまま社会人という仮面を被らされたのが去年の春、そして相変わらずまだ何もわからないまま店長という職階になったのが今年の春。
　いやまぁ、良いんだけどね、昇格試験受かってなかったら多分すげー萎えてたと思うんだけど、いざやってみるとやっぱりクソみたいに面倒な仕事だった、いやホンマにクソみたいだよホンマに、楽しいけどね。

　ずっと目の前にいる人たちの未来について考えていた、そんな1年だった、集団であるが、結局ずっと一人ひとり、対集団ではなく対個人について考えていて、一人ひとりを十数人分、毎日とやっていたらあっという間にもう12月になった。早すぎる一年だった。

　こんなにくだらない人間であるこの私の、たった一言やいっときの判断と選択によってその人の、その家族の人生と未来が変わるような仕事をしてるんだなと思う。クビにして家族ごと路頭に迷わすことも出来るし、育成してどんどん昇格させて新しい世界を見せることも出来る、いや恐ろしいことだよな。

　最近以前にも増して言葉について気をつけるようになった。
　今思い返せば、以前の自分は自分の言葉が持っている強い力を楽しんでいたように思う。もちろん相談を受けた時、誰かと話す時、その時の自分が最善だと思う言葉を使ってきたし、遊び半分で放った言葉は無いけど、それでその人の選択が私の思い通りになったとき、自分はどこかで快感を覚えていたんじゃないかと考えることがある。

　私と話してsfcに進路変えた人、noteがきっかけでアカペラを好きになってくれた人、今の会社に進んだ人、好きな子にアタックした人、元気にしていますか？

　その人たちが元気そうにしているのを見ると嬉しい反面、良いも良くないも知っていることもあるし、彼らはその道を選んだがゆえに本来気にする必要の無かった苦しみを知るだろうし、それが良かったのか、そこに導いたのが自分で良かったのか、そんな絶対的な存在で居続けられるだろうか、考える。
　そんなこんなで人と関わるとき慎重になりすぎてしまって、全て受け身というか相手の行動に対するリアクションのように言葉を発する、みたいな職業病が染み付いてしまって色々人間関係なども失敗した。

　えー、振り返る。今年は良くも悪くも色んな新しい出会いと言葉が重なり合って、自分という人間の輪郭がハッキリした1年だった。

　この一年でわかったことだけど、私は何かを残すということに強い執着があるらしい、残すというのはもちろん未来に。自分という人間の存在そのものは忘れられても良いけど、まぁ積極的に忘れられたくはないけど、例えば何か私が植えた木が誰にも知られずひっそりと実っているとか、私と話した子供が成長してぼんやりと私が辿ったような道に進むとか、私から受けた言葉を部下がそのまた部下に繋いで成長していくとか、そういう縦の繋がりというか、繋がりというより受け渡しというか、そういうことにすごく拘るタイプなんだと知った。

　まぁー思い返せば昔からそういうアニメや漫画が好きだった、物語の最後で、主人公とか全員もういない別の時代になって、物語の欠片みたいなものがひっそりと映るシーンあるよね、ああいうやつ。あと亡くなった師匠が自分に宛てた手紙とかを見つけるやつ。

　仕事で「これは未来のためにならないですよね」という話をよくするが、よく考えれば別に今がいいならそれでいいような気もするし、そういう信念があることも理解はしている。私という人間の根底にある部分に、未来に繋がらないことはやっても意味がないという価値観がある。自分の言動が他者に与える作用に怖くなる瞬間も多いけど、やっぱり人が突き動かされて、自分の足で歩いていく瞬間に立ち会いたいんだなと思う。私は誰かに何かを与えるために生きているのだなと思うし、そういう瞬間から私もまた何かを受け取っているのだろうと思う。
　そういう風に生きてきたし、そういう風な仕事をしているし、そういう風に生きていくんだと思う、恐れながらも、慎重に歩いていく。この会社は面白いけどもっと子供とか福祉だとかに関する仕事が最近は気になる、まぁもうしばらくは続けたい。

　そんなわけで、来年は何かを残したり、誰かのためになるように、そしてそれはまぁ自分が幸せになるために、ナルシシズムや優越感でも良いから何か動きたいなぁと思って、自分への誕プレとして妹の入学金を払うとかいう、結構謎でありつつも良い息子ムーブをかましたんだけど、やっぱり計画性のないアホだからそれで金欠になった、高すぎだろ、けどまぁ厄年も終わるし、良い1年になりそうな気もしている。
　なんというか、恩返しの1年にしていこうと思います。

2023/12/19