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Recycle Mafia #2-11 attack 3

玄関を開けるとすぐに上がり階段がある。
靴を脱いで、階段を上がる。心臓の鼓動が止まらない。
二階に着くと、廊下があり突き当りの部屋に入って行く。
冬なのに冷房がかかっている。乱雑にひかれた布団。端の方に盛り上がりがある。
恐る恐る布団をめくると、Tシャツ短パン姿の髪の長い女性が横たわっている。
明らかな異臭。敷布団には血が固まったどす黒いシミと茶色、黄色の恐らく糞尿や嘔吐した後シミがある。女性を仰向けにしてみると、見るも無残な顔面になっていた。
もはやどこが目か鼻か口か解らないほど腫れていた。思わず悲鳴が出そうになったが、堪えながら、じっくりと顔を見た。死んでいる。確信した。
手を合わせ、急ぎ足で車に戻ると、即座にステアリングを握り、ランサーを発進させた。震える手、がくがくする足でアクセルを踏んだ。車内は終止無言状態。イチもナチもシンゴが見た物が何か解っている。シンゴは頭が混乱した。ある程度の覚悟はできていたものの、酷過ぎる死体に吐き気が止まらないのである。
どこをどう走ったか解らない。
 
予定通り月島の倉庫に着いた。


この倉庫はちょっとした倉庫で映画やドラマのようにでかくないが、しっかりした防音になっている倉庫だ。イチが昔の伝手を頼って、今日の為に借りてくれたのだ。
なんでも、この倉庫はバンドの練習の為に金持ちのボンボン息子が親の金でスタジオに改装して使っていたとのことだ、しかし今は、ただのキメ部屋になってしまい、つい先日そのバカ息子が逮捕されたので、譲り受けた元バンド仲間からイチがこの日のために借りていたのだ。
カトウ、マサル、トモはこの倉庫に入ると、床に転がされた。
早速シンゴたちの尋問を受けることになった。
「見たぞ。」

これだけで3人は、いや、ここにいる全員がすべてを理解した。

「どうするつもりだ?」

「・・・・」

「お前らはいくつだ?」

「・・・・」

「一人ずつ年齢を言え」

トモが答えた
「18です」
マサルが答えた
「19」
カトウは答えなかった。

イチがカトウに詰め寄り、持っていたペンチを徐に口の中に突っ込み、左手で頬を掴むと少し出た舌をそのペンチで掴み言った

「しゃべれねーならこの舌はいらねーな」
カトウは涙目になって、首を横に振った。
イチは開放しながら言った。

「いいか?お前らは俺が私刑にしてやる。読んで字のごとく‘私‘が‘刑‘をくだしてやる。どうせ黙ってても、警察に捕まって、未成年何とか法でもって、10年とか20年で出てきて同じようなことをする。だから、この場で俺が殺処分してやるよ。」

「そう。お前らは保健所に確保された犬だ。善良な市民に噛み付いた狂犬病の犬だよ。解ったらさっさと年齢言え」
ナチが言った。

カトウは涙目で
「でゅうくうさいです」

「あの女の子の名前と住所、解ってる範囲で全部言え。あと、あの女の子にやったことを全部言え。他のからんでる人間も全部言え。言っとくけど、お前らの家も親も仲間も学校も職場も全部知ってるぞ。少しでも食い違ったら、その時点でゲームセットだ」
シンゴは出来るだけクールに言った。
 

話を聞き終わった頃には窓から朝日が指していた。
この3人の少年の話は最後には懺悔になっていた。
ある程度予想はしていたものの、その実はとても人と呼べるような物では無かった。
まさに鬼畜の所業。
予想通り、女子高生をナンパして監禁していた。
ところが、予想外だったのは、1ヶ月間にも及ぶ監禁と暴力だったこと。そして最後には、5人がかりで一晩中暴行を加え死に至ったことだった。
 
被害者の女子高生は17歳。松戸に住む大林淳さん。アルバイト帰りにカトウとマサルに声をかけられ、最後には「俺たちはヤクザだ」と脅され監禁された。
イチが言った通りこいつらは許せるものではない。どうせ法に守られてまた出てきて、同じことをする。
そして被害者はこの女の子だけではない。両親、兄弟はこれからが大変だ。確実に精神を病む。
そのことを考えると、この場で警察に突き出して「ハイ終わり」っていうことにはならない。アキの事を考えるとこれも、計画通りだけど。

時間がない。

日曜の朝になった。

すぐに行動に移した。
ここからが、肝心なところだ。30超えて夜通しの力仕事はさすがに体に堪えるが、疲れたなんて言っていられない。
先ず、すぐにロウとケンタをトモの家に呼んだ。
そのうえで、カトウを同行させランサーで拉致し、この倉庫まで連れてきた。
5人揃ったところで、ロウとケンタをシンゴとナチでボコボコにした。
多少疲れはあるものの、まだまだ体は動いた。ナチは、軽々と剛腕のロウを投げ飛ばし一瞬で組み伏せたのち、恐怖を与えるべく、マウントから何回も平手打ちで顔面を叩いた。
シンゴも同じようなことをケンタにした。しかし、ケンタはあまり腕力は強くなく、すぐに組み伏せられたので、多少楽だった。

十分に5人の少年に恐怖が伝染したところで、餓鬼どもと打ち合わせをした。打ち合わせというよりこれからの命令だ。
・主犯は、マサル
・4人ともその足で直でトモの家の近くの警察署に出頭すること。
イチが口を開いた

「さぁ、時間だ。マサル、ロウ、ケンタ、トモ、はその足で警察に出頭しろ。あと、その際、その怪我の事を聞かれたら、全部カトウの組織ピースファイナンスのヤクザにやられたと言え。」

「そう、お前たちは今日のこ事、そして俺たちの事は全く忘れてもらう。万が一俺たちに警察の捜査が入った場合、俺たちは警察を撒ける自信がある。加えて言えば警察の捜査の目が俺たちに少しでもむいたら、それはお前らの誰かが密告したとみなし、4人全員消してやる。塀の中で無理でも家族全員消してやる。絶対だ。」
ナチが続けた。
 
次にシンゴがポケットから紙を取り出し、読み上げた。それは、5人の少年の名前、住所、電話番号、家族構成などだ。
4人の少年が息を飲むのが伝わった。暗黙の了解。理解した記しだ。

「あ・・あの。カトウは・・・どうなるんですか?」
マサルがボソボソと言った

「言ったろ。警察に捕まってもこいつは治らない。死刑だよ。これ以上知りたかったら、一緒にこい。カトウと同じ刑にしてやる。」
イチが答えた。
4人が息を呑むのが伝わってきた。

「さ、行け!・・・・あと、ちゃんと、出来るだけ早く、あの子を親の元に帰してあげられるよう警察にお願いしろ。解ったか?」

シンゴが言った。
4人は無言で何度も頷いた。
こうして、4人は葛西の警察署にそのまま出頭した。

問題はカトウだ。
「本当に殺すのか?」
とイチに聞いてみる。

「うん。こいつは許せねぇ」


恐怖に彩られたカトウの目がイチを見据える。
「やめてくれ!」
日曜日の朝、外は素晴らしく秋晴れの空。イチはカトウの首に自分の腕を絡めた。

#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門

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