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ファンの怒りを買った2度の移籍、プレースタイルの変化 ザビッツァーはエリクセン離脱の穴を埋められるか

今冬の移籍最終日となった現地時間の1月31日、マンチェスター・ユナイテッドはバイエルン・ミュンヘンからマルセル・ザビッツァーを今季終了までのローンで獲得したと発表した。長期離脱となったクリスティアン・エリクセンの穴埋めを期待した補強である。

今回は、ザルツブルクとRBライプツィヒで7年間レッドブルクラブに在籍した28歳のオーストリア代表MFについて軽く書いていきたい。

2度の反感を買う移籍

ザビッツァーがレッドブル・グループに加わったのは2014年。それまで彼は、ザルツブルクのライバルクラブであるラピード・ウィーンでプレーしていた。

彼には契約解除条項があったが、条件としてオーストリア外クラブのみに適用されるものだった。これをレッドブルはマルチクラブオーナーシップの強みを活かして利用。RBライプツィヒが契約解除条項を使って保有権を買取り、即座にザルツブルクへローンしたのだ。

この移籍はラピードファンのアンチ・レッドブルをさらに加速させるものになった。元ラピードの選手ながら2019年にザルツブルクに加入したマキシミリアン・ヴェーバー(現リーズ)が、直接移籍でないにも関わらずラピードファンの反応を気にしていたことからも、その憎悪は容易に想像できるものだった。

ライバルクラブに降り立ったザビッツァーは、オーストリア・ブンデスリーガで33試合19ゴール16アシストを記録。強烈なインパクトを残して翌シーズンは保有元のRBライプツィヒへ。

RBライプツィヒでもレギュラーとしてプレーし、1部昇格に貢献。昇格後も主力としてプレーを続け、彼の活躍もあってクラブはブンデスリーガ屈指の強豪となった。

そんな中で昨季、ナーゲルスマンを追う形でバイエルンへ移籍。ボルシアMG、レヴァークーゼン、ドルトムントなどのクラブが経験したように、RBライプツィヒも絶対王者に選手、監督、スタッフが引き抜かれていった。つまり、ザビッツァーは2度に渡ってファン心理を逆撫でする移籍をしたとも言える(ナーゲルスマンと同様にバイエルンが憧れのクラブではあったわけだが)。

そのバイエルンでは、同ポジションにキミッヒやゴレツカがいることからメインキャストにはなれず。昨季は左SBで起用されることもあった。また、今季限りでRBライプツィヒとの契約が満了となるコンラート・ライマーのバイエルン入りが濃厚であるため、いずれにせよ夏には選択を迫られることが確実だった。

ポジション、スタイルの変化

ザルツブルクや2部時代のRBライプツィヒでプレーしていた頃のザビッツァーは、スコアポイントを稼ぐセカンドトップだったが徐々にポジションを下げてスタイルも変化していっている。

RBライプツィヒが1部に昇格してからはティモ・ヴェルナーが加入したことで、ポジションを1列下げた[4-2-2-2]のダブルトップ下が主戦場に。

ナーゲルスマンが指揮するようになってからは、アタッカーというよりもプレーメーカーの色合いが強くなり、ポジションもセントラルMFがメインとなっていった。エリクセンの穴埋めであることを考えると、ユナイテッドでもこの役割が求められるだろう。

展望

ナーゲルスマンはRBライプツィヒ時代に、ザビッツァーとカンプルという比較的軽量級のセントラルMFを並べる采配もしていたが、ユナイテッドでは3センターのインサイドハーフかカゼミロのようなホールディングMFを横に置く起用が現実的ではないだろうか。ビルドアップ面でどれだけチームを助けられるかが鍵となるかもしれない。

キャリアを重ねるごとに、監督やその時代のサッカーに合わせて変化していったザビッツァー。今回のローン移籍に買取りオプションはないものの、テン・ハグの下でどのようなパフォーマンスを見せるのか楽しみにしたい。

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