「一般地質学」を読みながら地質の勉強1:火成岩

アーサー・ホームズの「一般地質学」を読みながら地質の勉強をします。
今回は第5章「火成岩:火成岩と深成岩」を読みます。

水成論の誤りを証明したオーベルニュ山の柱状玄武岩

玄武岩や花崗岩は火山からのマグマが冷えて固まったものです。
ですが昔には、海水に溶けた岩石の成分が結晶化して、それらが堆積することで玄武岩や花崗岩ができたという説がありました。
この説を水成論と呼びます。

1763年にフランスのオーベルニュ山で、溶岩流が起源であることが明白な柱状玄武岩と玄武岩の大規模な平らな岩体が発見され、水成論の誤りが明らかになりました。

以下のオーベルニュ旅行記には、玄武岩が家の壁に使われている写真や柱状玄武岩の写真があります。

以下はニコラ・デマレストが行ったオーベルニュ山の調査内容の解説です。

以下はオーベルニュ山についての論文です。大規模な平らな岩体や柱状玄武岩の写真を見ることができます。

玄武岩の岩石薄片写真

玄武岩は海底の大地を形成する主な鉱物です。海嶺やホットスポットから噴出したマグマが急速に冷却されて玄武岩になります。

火山噴火により地下深部(上部マントル)から噴出したマグマが冷却してできた玄武岩はアルカリ玄武岩と呼ばれます。通常の玄武岩より5%ほど多くのアルカリ金属元素が含まれているのが名前の由来です。

以下のリンク先は島弧玄武岩の岩石薄片写真です。
黒ずんでガラスになっている部分はマグマが急冷して、結晶化する前に固まったものです。黒いのは磁鉄鉱かチタン鉄鉱を含んでいるからです。
無数に見える細長く小さな白い部分は斜長石で、マグマとして噴出する前に結晶化していたものと推測します。

以下のリンク先はかんらん石玄武岩の岩石薄片写真です。
やや緑がかった斑晶がかんらん石です。二酸化ケイ素が不足しているとかんらん石ができやすいそうです。
かんらん石はマグマ溜まり中で冷却すると単斜輝石に変化します。

柱状節理

節理はマグマが冷却時に収縮し、ひび割れることでできます。
岩石の収縮力と張力の釣り合いにより、岩石は六角形の割れ目を作ることが多くなります。
六角形の割れ目を繰り返し作ることで、徐々に割れ目は縦に伸びてゆき、柱状節理を作ります。
つまり柱状節理の1つ1つは主に六角柱であり、柱状節理の崖の断面を見れば、六角形に割れた岩石が集まっているのが分かります。

以下のサイトでは柱状節理ができる仕組みを解説しており、六角形に割れた断面の写真を見ることができます。

以下は台湾三大火山群のひとつである澎湖の柱状玄武岩の解説記事です。節理の解説も勉強になります。
横割れしたり、風化により丸みを帯びた柱状玄武岩が面白いです。

北アイルランドのジャイアンツ・コーズウェイは短く切断された玄武岩の柱状節理が連なっている場所です。柱状節理が六角形に割れている様子が観察できます。

日本の柱状節理

ここで日本の柱状節理を幾つか見てみます。
玄武岩以外の柱状節理も沢山あります。高温状態から冷却する過程でひび割れた岩石ならば何でも柱状節理になりえます。

花崗岩の岩石薄片写真

花崗岩は大陸を形成する主な鉱物です。
花崗岩の生成方法には2つの説があります。
1つはマグマ説で、玄武岩質マグマの成分の一部が結晶化して抜け落ち、花崗岩になったという説です。
もう1つは変成岩説で、堆積岩が高温高圧により編成した花崗岩になったという説です。

花崗岩は中粒もしくは粗粒の岩石で、主に石英、長石、雲母から成ります。

イグニンブライトの柱状節理

イグニンブライトは溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)とも呼ばれます。
噴火で空中に放出された岩石や灰が熱を帯びたまま地上に降り注いで堆積して、溶融と圧縮により生成された凝灰岩です。

熱せられた溶結凝灰岩は冷却する過程で収縮して、ひび割れて柱状節理を作ります。

以下のサイトでは、大分県の豊後大野市にある溶結凝灰岩による柱状節理が形成される過程を詳しく説明しています。

北海道の天人峡の溶結凝灰岩による柱状節理は有名な観光地です。