「一般地質学」を読みながら地質の勉強2:堆積岩

アーサー・ホームズの「一般地質学」を読みながら地質の勉強をします。
今回は第6章「堆積岩」を読みます。

砕屑岩の種類

砕屑岩は砂と同様に花崗岩などの岩石の分解した破片からできています。砂と砕屑岩の違いは、後者は固まっているということです。
砕屑岩は粒の大きな砂と地下水に運ばれて砂の間に浸透して沈殿したセメントから構成されています。

砕屑岩の内、構成要素が2mm以上のものを礫岩と呼び、1/16mmから2mmまでのものを砂岩と呼び、1/16mm以下のものを泥岩と呼びます。

砂岩の種類

砂岩には様々な種類があります。
褐色の砂岩は褐鉄鉱と赤鉄鉱のセメントを持ちます。
白いの硬い砂岩は石英(二酸化ケイ素の結晶)のセメントを持ち珪質砂岩と呼びます。
セメントだけではなく、砂の粒も石英でできている砂岩のことを珪岩と呼びます。
花崗岩が破砕された長石を多く含む砂岩をアルコースと呼びます。
様々なサイズと種類の物質が含まれる灰色の砂岩はグレーワッケと呼びます。

以下は沖縄の珪質砂岩の岩石薄片写真です。セメントが白い石英から構成されているのが分かります。

以下は珪岩の岩石薄片写真です。ほぼ全てが石英だけからできているのが分かります。

以下はアルコースの岩石薄片写真です。多くの長石の粒が含まれているのが分かります。

以下はグレーワッケの岩石薄片写真です。大小のサイズの石英や長石の粒が含まれているのが分かります。

以下のnote記事では砂岩の色と構成岩石の関係について解説しています。

堆積岩のでき方

泥や粘土が堆積し、その重みから水分が抜けて圧縮されると泥岩や頁岩ができます。
泥岩は緻密ですが、頁岩は葉片状に剥がれやすいラミネーションと呼ばれる構造になります。
同様に、火山灰も堆積することで(前回の火成岩で紹介した)凝灰岩になります。

また、水に溶け込んだ二酸化ケイ素や炭酸カルシウムが沈殿して固まることで化学的沈殿岩ができます。岩塩がその1例です。

生物の遺骸が固まって生物岩ができます。石灰岩がその1例です。

層理

堆積物が次々に積み重なった層を層理と呼びます。

アイルランド、ドニゴール県のマックロスヘッドは石炭紀の層理です。層状の砂岩と泥岩の薄い帯が交互に折り重なって水平方向に長く伸びています。
ロッククライミングの名所としても知られているようです。

ウェールズのキャッスルマーチンの崖は頁岩と泥岩が層理を成しています。

斜交層理

砂が水深の浅い所から積み重なると水流により斜めに層が積み重なります。これを斜交層理と呼びます。
流れが変わると層の傾きが変わり、様々な角度の層が段違いに積み重なります。

以下ではイングランドのベッドフォード県の斜交層理が紹介されています。
また後述する生物の死骸や貝殻から成る魚卵石石灰岩(オーライト)も見られます。

級化層理

水中で小礫、砂、泥が堆積する際、最初に大きくて重いものが下に沈み、小さく軽いものがその上に積もります。
それを繰り返して、小→大→小→大→小→大の砂が交互に積もる級化層理ができます。

以下では級化層理ができる過程を簡単な実験で再現しています。

以下の旅行記などでは城ケ島の灘ヶ崎にある級化層理を紹介しています。

石灰岩

石灰岩は拡大して見ると生物の遺骸が多く含まれていることが分かります。

以下は、イングランドのノース・ヨークシャーにある石炭紀のグレートスカ―石灰岩です。

魚卵石石灰岩(オーライト)と呼ばれる丸い粒状の石灰岩もあります。CaCO3の同心円状の層構造を持ち、中心部に貝殻の破片が入っていることが多いです。
浅海において海水が蒸発してCaCO3が析出して、波などにかき混ざられて小さい粒を核にしてCaCO3が同心円状に積み重なってできます。波にかき混ざられて常に転がっているので丸くなります。
とても長い時間をかけて大きくなり、中心部付近の層は放射線年代特定で1000年前に沈殿したことが示されることもあります。

ドロマイト

海からカルシウムではなくマグネシウムが抽出されて堆積したものを含マグネシウム石灰岩と呼びます。
ドロマイト(苦灰石)は含マグネシウム石灰岩の一種です。例えばサンゴ礁の方解石CaCO3とマグネシウムイオンが反応してできます。
2CaCO3 + Mg2+ = CaMg(CO3)2 + Ca2+

ノースアンバーランドの南部とダラム海岸からノッチンガムに伸びているドロマイトの地層が有名です。

アイアンストーン

アイアンストーンは菱鉄鉱FeCO3や鉄ケイ酸塩鉱物の堆積物のことです。

アイアンストーンの地層の形成過程は以下のWikipediaに詳しく解説されています。

珪質堆積物のチョーク層

チャートとは、二酸化ケイ素の堆積物のことです。

チョーク層とは、イギリス南部のチョーク地帯にある石灰岩の地層です。
このチョーク層にはフリント団塊がまばらに含まれています。

フリントとは、微小な粒子から構成され、不完全な石英結晶です。

岩塩堆積物

海中の塩分が結晶化して堆積した岩塩として有名なのはカスピ海、カラ・ボガズ・ゴル湾です。