見出し画像

体育授業で子どもたちは先生にどんな行動を望んでる?〜体育論文より〜#203

みなさん、おはようございます。(こんにちは。)(こんばんは。)

体育論文からの記事がいつも多くの人に読まれているのが数字で出ているので、そこにニーズがあると判断しました。(短絡的w)

というわけで書きます(打算的w)

さて、今日はこんな論文です!

画像1

https://core.ac.uk/download/pdf/198559049.pdf


はい、タイトルからもう興味深いですよね?


体育授業の中で、教師のどんな行動が子どもたちから望まれているかを研究した論文です。(詳しくはリンクから実際の論文を読んでくださいね)

何となく自分の経験と照らし合わせてイメージできたとしても、研究としてデータを使って考察をしてるのが、やはりとても興味深く、自分も論文のタイトルを見て即『面白そう!読もう!』と決めました。


さて、この論文で研究されていることをざっくりと説明すると、

体育授業において子どもたちは教師にどのような行動を望んでいるのか、教師が子どもたちの望む行動を理解して、それらを実践できれば、授業への満足度や学習成果の向上、学習者との良好な関係など様々な効果が期待できる

というところから、質問紙によるアンケート調査を行っています。(4・5・6年生対象)


その結果に行く前に、先行研究として抑えておきたいことがあります。


先行研究では、子どもたちから教師には肯定的相互作用が望まれていて、逆に全体指導や否定的指導は望まれないとされています。

肯定的相互作用は、発問や受理、技能面への賞賛やアドバイス、励ましなどであり、

全体指導や否定的指導は、説明、演示、指示、マネジメント、技能面・認知面への否定的フィードバックです。

ただし、これらは性別の違いや運動の好き嫌い、発達段階など、子どもたちの個人内要因にも影響を受けています。


特に女子は男子よりも教師からの肯定的な行動(賞賛など)を望む傾向があることが報告されています。

また、男子は賞賛よりも運動の堪能さを求めているとされています。


さらに

運動好きの子は、厳格さと運動の堪能さ

運動嫌いの子は、優しさと個別対応

このように求めていることがそれぞれの個人内要因によって変化します。


さらに面白いところが、子どもたちの児童期思春期かによっても教師に望む行動は変化するということが分かっています。


例えば、児童期では、教師からの励ましを好意的に受容するが、思春期では、励ましを自分の能力の低さとして否定的に受容するように変化するのです。

この辺りのことを理解しておかないと、小学校高学年での運動内容の高度化による体育嫌いを増加させてしまうリスクがあります。


さて、研究の結果にいきます。

(いくつかだけに絞って書くので詳しく全部知りたい方は論文をお読みください)

①女子は男子よりも肯定的な行動を望み、個別の対応(教師との会話)を求める傾向がある。(運動に関する批判的介入を嫌う)

②男子は統制感の高さ、つまり成功体験とその原因の認知によって教師に望む行動が変化する。(批判的な介入も修正手がかりとして受容できることがある)

③安全で規律ある運動の場を確保するためにマネジメント(維持・管理行動)も求めている。(ただし、機能的で短時間のマネジメント)

④批判的な言葉(フィードバック)に関しては、運動技能向上を強く望んでいるものには、限定的に有効だが、多くの場合で否定的な感情を抱き、体育嫌いへと変容するきっかけになることから極力避けるべきである。


まとめです。

今回の研究では、教師に望む行動を分析した結果、①教師主導型支援、②双方向型支援、③維持・管理、④批判の4因子が抽出されています。

これらを比較すると、②双方向型支援と④批判に有意差が見られて、

②の双方向型支援、つまり教師との会話は女子が強く望んでおり、また④の批判は男子の方が強く望んでいました。

ただし、批判的介入を運動の修正手がかりと受容できるのは一部に限定されており、多くのものには望まれておらず、体育嫌いを生む原因にもなります。

教師に望む行動と身体的有能さの認知との関連は見られませんでした。

運動ができる自信だけでは、教師との相互作用を望むまでは至らず、学習の中で、練習や努力、仲間との協力といった課題解決に対する具体的方策を認知することにより、それに続く教師との会話や教師からの支援を望むようになっていきます。


ざっくりとこんな感じです。


この結果だけでは、分かりづらいとは思いますので、自分がこの論文から学んだことをどう授業に生かしていくかを書いていきます。

意識的にやることは二つです。


まず一つ目です。

①男子と女子、発達段階で望む行動が違うことを理解した上で関わり、支援する。

特に思春期に入る高学年女子は、関わり方や支援の仕方をよく考えて行う必要があります。

(これは学級経営とも繋がりますね)

(嫌われるとアウト)

全体よりも個別での会話や支援を望んでいる傾向があること、そして、肯定をメインにした伝え方で気持ちが運動から離れないようにすることを意識したいものです。

(批判的介入はNG)

男子の場合は、批判的介入をプラスに捉えられる場合もあるが多用することは避けつつ、運動の技能が高まるポイントを明確に伝えていき、そこで上達したという認知できるようにする。


続いて二つ目です。

②マネジメントを何がしろにせずに、機能的・効率的に回る仕組みを試行錯誤しながら作る。

とにかく安全で規律ある運動の場を子どもたちも求めています。一方で長々と教師が説明をするような場面が続くことはマイナスでしかありません。

機能的で短時間のマネジメントを実現するために、単元始めのオリエンテーションを大事にしつつ、作った仕組みを都度都度で修正していくことがポイントになります。


最後に、今回の論文を読んで難しい部分もありましたが、やはり体育を生涯スポーツに繋げていくことを大きな目標としたら、

体育嫌いや運動嫌いを生んでしまうことは避けたいわけです。 


そうすると、

子どもたちの望む行動も理解した上で支援すること

(具体的には、批判的介入をせずに、個別での肯定的なファードバックを可能な限りで増やす)

且つ、やはり学習であるからこそ、

安全に規律ある場で運動できる仕組みを作っていくこと

が必要だと改めて感じました。


というわけで、今日の記事は終わりです。

お読みいただき、ありがとうございます💪

よろしければフォローしていただいて、面白そうだな!という過去記事も読んでくださると嬉しいです。(もちろんスキもTwitterなどでのシェアも喜びます!

では、今日も一日ご機嫌で✨

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?