全裸の呼び声 -1- #ppslgr
雨が降っていた。汎人類が未だ目にしたことがない、名状しがたき汚濁の雨が。雨は西欧とも亜細亜とも異なる建物群を、しとどに濡らし汚していた。そしていびつな建物が立ち並ぶ街路を、お世辞にも薄汚いとすら言えない人影がまばらに行き交う。ここは、汚濁の街だった。
そんな忌まわしい街の道を、白衣の男が走る。名をハカマダという。
ハカマダの白衣はすでにどどめ色に染まって重くなり、彼のメガネは吐き気をもよおす邪悪な色合いのしずくに覆われて視界をさえぎり、底抜けた革靴が踏み散らす水たまり