存在証明 徒然なるままに2

興味関心を邪魔されない、否定されない環境に生まれたかった。

全てのものは無駄だと一蹴されてきた。親にも祖父母にも兄弟にも。大切なものは否定されて、盗られ、捨てられる日々だった。保護者からは兄弟、近所の歳の近い友達とよく比べられた。「お前は○○と比べてアレがダメコレがダメ」と何の躊躇いもなく言われつづけた。運動能力に生まれつき欠陥があり事実医者で診断されているにも関わらず、誰からも理解を得られなくて当然平成の男社会からは孤立した。男のくせにと散々言われた。15の時には、幼い頃の関心は関心ではなくなっていたし、世界にも興味がなかった。興味を持ってもどうせ邪魔されるし周りが煩くなるだけでしか無かった。本当にどうでもよかった。お小遣いなんてものは当然無かったし(コレは大学生まだ続いた。つまり仕送りは無いし常にジリ貧。)、自由に出かけることなんて不可能に近かった。クラスメイトとは距離を強く感じた。悲しい事に距離を縮める術が何も無かった。
家族からは何をしても無駄だと何年も言われつづけて勉強も真面目にしようという意欲すら失っていた。どこへも逃げようが無かった。どうせ話し合いにはならないし、そもそも俺の話をちゃんと聞く姿勢がある誰かなんていた事がない。

いつの間にか夜になると家を抜け出して森の中や道路沿いを徘徊するようになってた。度を超える田舎なので当然遊びに行けるような所もない。夜の静けさだけが俺を包んでくれていた。

いつのまにか相槌と愛想笑いだけのつまらない人間になっていた。

「お前は顔だけだ」とよく言われてきた。特に歳の近い男子に言われた。言ってきた誰かに何か嫌われるようなことをした覚えも無かったけど、まぁ既出の通り中身なんてあるはずが無いのだから、それは当然だ。(何を今更…)と言った感じだったが。
まぁ悪い事ばかりじゃない。少なくとも容姿が悪く無い事だけは理解したし、他人は容姿の良し悪しでしか俺の事を見ていない事もよく理解できた。他人の言う理論では俺は顔が良いおかげで良い結果が出せているらしい。まぁ努力なんて人に見せるものじゃ無いから、思慮が欠如した相手には仕方ないけれど。まぁ容姿のおかげか、愛想が良いのも掛け合ってか目上の人にはよく可愛がってもらっていたし、歳下からも懐かれる事が多かった。見放される辛さをよく理解してるが故に面倒見が良かったのかもしれない。その扱われ方を気に食わない連中も一定数いたが、そんな連中に何の価値も見出せなかった。既に集団から孤立しているから今更どうでも良い人間に取り繕う必要も無かったし、仲良くなったところで都合が悪いと思えばすぐ掌返す連中なんてこちらから願い下げだ。どうせ俺の評価は容姿に由来するものでしか無いし、ちゃんと人となりを見て評価してくれる人がいない事は15の時には既に重々理解済だ。

将来は、手先も器用だし没頭出来る仕事がしたい。1人でも生きていられるように手に職をつけたいと思うようになっていた。

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