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その男達、凶暴につき

※[囀る鳥は羽ばたかない 二次創作]
本編の10年前
ヤング矢代&七原②


「そっち行ったぞ七原(ななはら)!」
 名前を呼ばれて身を潜めていた塀の影から飛び出すと、危うく走ってきた男とぶつかりそうになり、避ける動きから男の背後にまわり込んだ七原はそのまま男に組みつき、揉み合いになった。

 暴れる男の腕を捻り上げ、何とか動きを封じた時、組の男達が追いついて来て、男を殴りつけた。男は呻き声を上げ、諦めたように抵抗を辞めた。1人がスマホを取り出し車を呼ぶ。
 車が着くと、男を中に押し込んでから、3人の組員が車に乗り込んだ。
「よくやった七原!組には俺から報告しとく。ゆっくり戻ってこい」
「分かりました、お疲れ様っした!」
 七原をその場に残して車は走り去る。彼は車を見送りながら、夕飯に思いを馳せ、帰りにスーパーに寄らないと、と考えた。


 七原が酒巻(さかまき)の預かりから、矢代(やしろ)の預かりになってひと月が経った。
 矢代からは「3ヶ月はお試し期間、それを過ぎたら初めて盃を考えてやる」と言われている。不服そうな七原に矢代は
「俺の相棒になんのはな……そう緩くねぇよ七原。ま、嫌でもすぐに分かるだろうけど」
と、言った。

 実際、ヤクザの下っ端若衆というものは、上の人間に徹底的に便利使いされ、理不尽な扱いに耐えるのが仕事なのだ、と七原はすぐに思い知る。
 今までの人生、常に体育会系のノリで生きてきた七原は、新入りというだけで年配者にこき使われる世界に慣れているつもりでいた。だが裏社会のそれは、次元が違った。

 会社とは違い、基本的に組から給料は出ない。組員は各々「シノギ」と呼ばれる仕事をし、組に一定の上納金を納めなくてはならない。
 ひとまず矢代のアパートに転がり込む形で同居を始めた七原は、真誠会(しんせいかい)の事務所か、そのフロント企業のサラ金で、主に身体を使った仕事に従事した。平たく言えば電話応対、顧客対応、借金の取り立てだ。
 それに加えて、交代で真誠会事務所の電話番、組員の食事作りや雑用、さらに呼び出されればどこにでも駆けつけて、言いつけられた仕事をしなければならない。24時間、365日フル対応だ。唯一、食費は矢代が出してくれるが、それも寝ぐらに帰ってから矢代の身の回りの世話をするのが前提だ。
「俺の可愛いメイドさん」と矢代はふざけて七原を呼んだ。

 その矢代はというと、ひと月同居していたにも関わらず何をやっているのか不明だった。
「一人で動くのが性に合ってるから」と七原を連れ回さず、何やらしきりと電話をかけたり、パソコンを触ったり、新聞を読んだり、どこかに出かけたりしていた。それでいて、毎月の上納金は規定額を期限内にきっちり納め、組員からは一目置かれているようだ。


 七原は組の事務所に戻った。報告は先に帰った組員が済ませてくれていた。組員の1人が七原に言った。
「帰っていいぜ、七原。矢代がおウチでお待ちかねだろ。早くぶち込んでやれよ」
「ラブラブかよぉ羨まし〜」
 周囲の男達が下卑た笑い声をあげる。七原は無言で頭を下げると、足早に事務所を出た。

「ナナたん、お帰りぃ〜」
 寝ぐらに戻ると矢代は上機嫌だった。風呂あがりらしく、上半身はTシャツ、下半身はジャージを履き、首にタオルを巻いている。
「晩御飯なにー? 腹減ったー」
 矢代は冷蔵庫から缶ビールを出し、中身を煽った。七原はビニール袋から餃子のパックを取り出して狭い台所に並べた。
「スーパーで惣菜の餃子が安かったんで、炒飯と餃子でどうすか?」
「え〜、一昨日も冷凍炒飯だったじゃん」
「今からメシ炊いてたら時間掛かっちまいます。腹減ってるなら我慢して下さい」
 七原は冷凍庫から炒飯を出し、手早く炒め始める。炒飯と餃子をちゃぶ台に並べると、矢代は床から新聞を持ち上げ、読みながら食べ始めた。七原も向かいに腰を下ろし、餃子に箸を伸ばす。
「今日あったこと話せよ」
 新聞から目を上げずに矢代が言う。七原は食事しながら報告を始める。

 口と手を動かして夕食を採り、目は新聞を追っているが、七原が話し終わると矢代は言った。
「……分かった。おつかれ」
 七原は炒飯を頬張りながら目の前の男を眺める。
 つくづく綺麗な男だ、と思う。TVの向こうに居る俳優や、雑誌のモデルが目の前にいたらこんな感じだろうか。同じ空間に居てもどこか現実感がない。生身の生き物というより、よく出来たCGのようだ。七原の視線に気づいて、矢代はからかうような笑みを浮かべる。
「なにー。思わず見惚れた?」
「兄貴は、誰より義理をきっちり納めてるのに、組の連中はなんで、いちいち嫌味言ってくるんすかね……」
「頭(かしら)は俺のこと大嫌いだからねーキングオブホモ嫌いだから。でもって俺が組長の元オンナだから」
「えっ!!マジすか」
「あれ組の奴から聞いてねぇ?俺、この世界に入った時、暫く三角(みすみ)さんのオンナやってたからさ。平田は本音では俺のことが目障りで仕方ないわけ。でも組長の手前、手が出せない。平田は三角さんに惚れまくってんのに、三角さんのお気に入りは俺、という三角関係。な、笑えるだろー」
 矢代はヘラヘラ笑った。七原は口の中の餃子をごくりと飲み込むと曖昧な笑みを浮かべた。
「……それ笑うとこっすか?頭に恨まれてるなんて、結構ヤバくないすか?」
「そうかー? 以外とヤクザもよそも、人間関係なんてこんなモンじゃねぇの? 大〜丈夫、金さえ稼いでれば大抵のことは」
「……」
「俺の相棒になんのは緩くないっつったろ?どうするー辞めんなら今のうち」
「や、それは無いっす。俺は兄貴についてきます!」
 残りの炒飯をかき込んでから、食器をシンクに運び始める七原を見て、矢代は何か考え込む表情になるが、何も言わずにスマホを手に取った。

 その日の真夜中。七原は、朦朧とした意識の中で物音を聞いた。 
 闇の中、襖を隔てた隣の部屋で矢代が身支度をしているようだ。深夜に矢代が出かけることは珍しくない。こんな時、声をかけると矢代は不機嫌になる。気付かないフリでスルー、が暗黙の了解になっていた。
 ドアが閉まる音を聞き、その後、暫く七原はそのまま横になっていたが、やがてのっそり身を起こすと台所に行き、水を飲んだ。

 夜中に出て行き、朝方か、遅い時には翌日の昼ごろに戻ってくる。そんな時には必ず、矢代の顔や首筋にアザが増え、手首と足首には生々しい縄の跡が擦り傷となって残っている。矢代曰く『趣味と実益を兼ねた情報収集』らしい。
「俺、ドMだからさぁー、痛めつけられながらヤルのが好きなんだよね。……でもって乱暴なセックスが好きな奴ってのも世の中には多いから、需要と供給。世の中うまく出来てる」
 いかにも楽しげに矢代は語るが、七原はその顔に何か痛々しいものを感じた。

 ……この人は今までずっと、独りでこんな風に生きてきたのか。
 多分、矢代の側に居続ける為には慣れるべきなんだろう。
 だが何かが酷く歪んでいる、そう感じるのは俺がまだガキだからか。人間の暗い側面や歪さを、そういうモノだと受け入れて、何も感じなくなる時がいずれ来るのかもしれない。

 でも、いつか。帰って来なかったら。
 ……俺は、それが怖いんだ。


 美しい植栽の中に広々とした駐車場があり、そこに黒塗り全面フルスモークの高級外車がずらりと並ぶ様は壮観だった。

 道心会(どうしんかい)の幹部食事会は高級料亭で行われる。幹部連中は割烹料理を食べながら話をし、それ以外の者たちは外の駐車場でタバコを吸いながら、または小声で立ち話をしながら、終わるのをひたすら待つ。

 矢代と七原もスーツ姿でそこに居た。スーツを持っていない七原は、矢代のものを借りて着ている。
 先程から矢代は何度もあくびをしている。矢代が戻って来たのは早朝で、少し仮眠を取った後、直ぐにこちらに来たのだ。七原は内心ハラハラしていた。あからさまに緊張感の無い態度が気に入らないのか、数名の組員が剣呑な目つきで矢代を睨んでいる。

 にわかに辺りがざわつき、七原はホッとして、建物から出てきた幹部達に顔を向けた。待っている者たちは、それぞれの組の幹部を迎え入れるような形に並ぶ。
 恭しく頭を下げるいかつい男達の中を悠々と歩いてくるのは、真誠会組長の三角と、右腕の天羽(あもう)、若頭(わかがしら)の平田だ。三角は矢代に目を留め、立ち止まって声をかける。
「矢代、また朝帰りか? ダルそうにしやがって。一緒に乗れ」
 矢代は薄く微笑うと、列から離れて三角の後につき、共に車に乗り込んだ。七原は驚愕した。組長は組事務所でもあまりお目にかかれない雲の上の人物だ。道心会の会長に目をかけられ、跡目の最有力候補と水面下で囁かれている。そんな存在が直々に矢代に声をかけるとは。
(三角のお気に入り) 
……矢代の声が脳裏に響く。七原は怖々、平田の様子を伺った。若頭は忌々しそうな顔で矢代と三角を見送ると、取り巻きと一緒に自分の車に乗り込んだ。
 三角関係。この場合、恋愛ドラマのような浮ついたイメージは皆無だ。微妙な空気が漂い、組員達は目を見交わした。
七原は、急に胃がずしりと重くなったような気がした。


 事務所に戻ると、付き添いの組員達は各々の通常業務に取り掛かる。七原は電話番の日だった。食事会後のせいか事務所に電話はほぼ無く、暇を持て余していた七原が開放されたのは夕刻だった。
 寝ぐらには矢代が先に戻っていた。組長の車に乗り込んだ後は、道心会のオフィスで三角の話し相手をし、その後、直帰してきたという。
「小遣い貰ったから焼き肉にでも行こうぜ」
 勿論、七原に異存はない。


 二人共、ジャケットを脱ぎ、ネクタイを外した姿で並んで歩く。七原は興奮を抑えきれない口調で
「今日はビックリしました。マジで兄貴、組長のお気に入りだったんすね……頭はガチギレしてたみたいですけど」
「モテすぎちゃって困るわー。三角さんも、もうちょっとTPOに配慮してくれると俺も助かるんだけどねぇ」
「組長のお話って何だったんすか?」
「別にい、世間話。たまには俺の顔が見たかったんじゃねえの」
 矢代の気安い口調に、七原は改めて驚く。
 現在の三角は常に冷静で、滅多に激昂する事はないが、若い頃は単独で幾つもの組を潰し、その冷酷で苛烈な姿は『鬼神』と呼ばれ恐れられた、らしい。なのに矢代が三角の名を口にする様子は、まるで親戚の事を話すようにさりげない。

 目指す焼肉屋が視界に入って来た時、不意に矢代の腕を男が掴んだ。 
 くたびれたスーツを着た長身の男だ。無表情な顔に落ち窪んだ目をギラつかせている。一目で七原の背筋が凍った。元ボクサーの直感が男を『本当に壊れた人間』だ、と告げる。
「てめぇっ、何すん」
 掴みかかろうとする七原を矢代は制する。
「アンタか、昨日散々楽しませてやっただろ。それとも新しいネタか? 余程のネタでなけりゃ連チャンはお断り……」
 男は掴んだ腕に力を込めて矢代を乱暴に引き寄せ、矢代は苦痛に顔を歪める。
 七原は拳を構えると、無言のまま男の顔に鋭いジャブを立て続けに打ち込んだ。男は堪らず矢代から手を離したが、七原は攻撃の手を緩めず、そのままボディーに何発かフックを打ちこみ、身体を折り曲げた男の髪を掴んで顔面に膝蹴りを叩き込んだ。
「やめろ!」
 矢代が割って入った時、既に男は戦意喪失し、鼻血を出してその場にへたり込んでいた。七原は噛みつくように喚いた。
「てめぇ!二度と兄貴に近づくな!!次に会ったら今度はガチで殺すっ!!」
 見物人が周囲に集まって来る気配があった。男は裏社会で生きる人間だが一般人だ。騒ぎを起こすのはまずい。矢代は七原を引き摺るように急いでその場を後にした。


「……どういうつもりだよ、お前?」
 辺りはすっかり暗くなり、夜になっている。
矢代のアパートの近く、人気の無い線路の脇の横道で、矢代は七原と向かい合った。七原は焦って言い募った。
「あの男は絶対にヤバい奴です!一度ヒートアップしたら加減が出来なくなるタイプです。分かるんすよ、長年、拳打ち合う生活してると」
 矢代はいきなり七原の顔を殴りつけた。七原は後ろに数歩よろける。
「いつまでボクサーのつもりでいんだよ。俺の許可なく動くようなヤツは手許に置いとけねぇな」
 矢代の眼は氷のように冷たい。七原は目の前が真っ暗になった。
「……すみません、でした。……でも……」
 七原の釈明を聞こうともせずに、矢代は無言でその場を離れ、闇の中に消えた。
 七原は痛みを堪えるように拳を握りしめ、俯いてそこに立ち尽くしていた。脇の線路を電車が走り過ぎ、轟音が辺りに響き渡った。

 夕飯を採る気も失せ、アパートのドアを静かに開ける。矢代は先に戻っているようだ。室内は真っ暗だった。どうやらもう寝てしまったらしい。
 闇に目が慣れると、脱ぎ散らかされたスーツが辺りに散乱している。着るものに拘る矢代らしくない光景だった。七原はなるべく音を立てないように、スーツを回収して脱衣カゴに入れ、自分もTシャツとパンツに着替えて布団を敷き、横になった。



……夢の……闇の中で……


……女の柔らかな匂いがする。
 今は、何か温もりのあるものが恋しかった。七原は半ば無意識に手を伸ばすと、甘い香りがする滑らかな髪をまさぐり、抱き寄せ……
 顔に吐息が掛かり、七原の顔を直近で覗き込む美しい目は


——— 矢代の眼。

 と気づいて七原は驚愕のあまり、身体を硬直させる。
「は!?んなっ、あにっ」
「あらぁ起きちゃった……」
 矢代は起き上がろうとする七原の上に半ばのしかかり、身体を密着させて耳元で囁く。
「なあ、お前もさ……組の奴らから色々聞いてんだろ?俺はさ、男なら誰とでも寝るんだよ……最後にやらしてやろうと思ってさ……」
 闇の中で微笑む矢代はさながら悪魔の様に艶かしく、七原は思わず生唾を飲み込む。
「あ、にきっ何を……」
「お前のここ、ギンギンになってんじゃん」
「ひっ……」
 矢代が七原の股間に手を触れ、思わず七原は身を竦める。矢代は七原のシャツの下に手を這わせ、その感触に七原は一瞬、我を忘れそうになる。

……だが。 ……けれども。

 七原は矢代の両手を掴むと力を込めて自分から離し、そのまま上体を起こして布団の上に尻を着いた状態で向かいあった。
 七原の顔は夜目にも真っ赤に染まり、対する矢代は、闇に青白く冷たい美貌を浮かび上がらせ、微かに微笑む。
 二人の男は至近距離で見つめ合う。七原は囁いた。
「兄貴は……あんたは……おかしい。何かが狂ってる。どうしようもなく」
 矢代の笑みがはっきり嘲笑に変わる。
「何だよ、今ごろ気づいたのか?」
「こうすれば、俺がビビってあんたから離れるだろう、又は抱いても、ヤッた奴とは相棒にならない……そういう風に持っていくつもりなんだろ」
「……」
「そんな風に、相手の心も自分の身体も道具みたいに……まるであんたは、自分の命でゲームでもやってるみたいだ」
「だったらどうなんだよ」
 七原の顔が泣きそうに歪んだ。
「そういうのはっ!本気でついていくって決めてる奴には辛くてたまんねーんだよ!!……それともアンタもあいつと同じなのか?ついてく奴の命は、踏み付けて何とも思わない駒のひとつなのか?」
 矢代は目を見開いた。脳裏に酒巻の顔が浮かぶ。

 次の瞬間、矢代は顔と腹にパンチを浴び、呻きながら布団の上でくの字になった。七原は手加減無しで殴ってしまったことに気付き、慌てて矢代を覗き込んだ。
「あのっ、兄貴、大丈夫……」
 矢代はあぶら汗を浮かべて七原を睨みつけると、いきなり身を起こして頭から七原に体当たりした。後ろによろけた七原を押し倒し馬乗りになる。
「テメェ顔は商売道具なのにどうしてくれんだ!加減無しで殴ってくれやがって!!」
 矢代はめちゃくちゃにパンチを浴びせた。こうなると七原も怒りのゲージが上がっていき、矢代の腕を押さえて力比べになる。ジリジリと矢代を力で押し戻すと上体を起こし、お互い肩で息をしながら、そのままの姿勢で睨み合う。


『ぐるぐうぅ〜〜ぎゅるるぅ〜〜』


……二人の腹の音が同時に鳴った。そういえば夕食を食べていない。


「……………………」


両手で押し合う形のまま固まる二人の身体が、ぶるぶる震え始める。


「…………」


「…………ふ」



「……ぐふっ……」

「……ぐっ、ふふ…っくく……」

「…ひひ、ふふっ……ふっくくくっ……」

「ふっぐはっはわっははははははははは!!」
「ひゃっひゃひゃひゃ!!ふひっふはははははははっ!!」

 二人とも腹を抱えて布団の上で笑い転げる。腹が苦しい。腹が減った。腹が減ったから苦しいのか?笑いが止まらなくて苦しいのか?二人は真っ赤な顔をして、涙を流しながら狂ったように笑い続けた。

 笑いの発作が収まってくると、七原は腹を押さえながら
「……はあ、はあ……あーっダメだ我慢できねえわ。コンビニ行って何か食うもん買ってきます」
「……はあ……ふっ……豚まんとビール買って来て……おい何だこの手」
「お小遣い組長から貰ったんでしょ……金出して下さいよ」
「……ふう……ほら、金。いってらぁー」
「ふは……人遣い荒いなぁ……はあー腹減り過ぎて腹痛てぇ」
 ドタバタと七原が玄関から出て行く。

 矢代は洗面所に行き口を濯いだ。赤茶色が水に混じる。鏡に顔を映すと、あちこち腫れ上がって、我ながら、まるで見覚えのない顔になっていた。しばらく鏡を覗き込んでいたが、ふっと笑う。

……口の中がもう少し治ったら2人で焼肉行くか。

 腹の虫がしつこく抗議の鳴き声をあげ、矢代は苦笑した拍子に痛てて、と傷を押さえた。


<fin>

「囀る鳥は羽ばたかない」
矢代と七原の過去のお話①はこちらです↓


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