トラブル実例②「何度パターン修正しても指示寸通りに上がらないんですけど!」

皆さん、こんにちは。

今回は、何をやっても指示寸通りに上がらず、納前がなかなか通らなかった製品洗いのプリントスウェットの話をしようと思います。

トラブル全体像はこんな感じです。

・退職者の引き継ぎで先上げからスタート

・生地単体で洗い+タンブラー乾燥し、縮率を出す。

・縮率を元に先上げ用のパターンを作成。

・先上げが上がってくる

・上がり寸をもとに量産に向け差寸修正

・納前が上がってくる

・着丈が長すぎ

・仕上げで修正しきれず納前NG

・全色、再ワンウォッシュ+タンブラー乾燥

・納期遅延の末になんとか納品


原因は加工の順番でした。

今回のアイテムは胸元にプリントが入る裏毛のプルオーバーで、製品洗いの指示でした。

本来であれば、

裁断→パーツでプリント→縫製→製品洗い→仕上げ→納品

という流れになるべきです。

しかし、今回は

裁断→縫製→製品洗い→仕上げ→プリント→仕上げ→納品

という流れでした。

しかもプリント〜納品までは大きな仕上げ設備のないプリント工場で行っていました。

前任者の引き継ぎで。定番アイテムだったということもあり、前任者の段取りを疑わず、そのまま進行してしまったのが失敗でした。

以前は抜染の色展開があったようで、どうしても製品プリントしかできないという事情があったようです。

でも、それならなぜ抜染の後に製品洗いをしなかったのでしょうか?

前任者は製品の移動コスト削減のため、当初はプリント工場内で製品洗いまで依頼していました。

ところが設備的に無理があったようで、外でやってほしいということになったのです。

定番アイテムということで、同じコスト内でなんとかやりくりしなくてはいけないため、製品洗いを外注に出すことができません。

苦肉の策で、製品洗いまで縫製工場でやってしまってからプリント工場に出すことになったそうです。

せっかく縮率分が縮んで指示寸通りに上がった製品を、パレットに着せて伸ばした状態でプリント→熱処理すれば、伸びた状態でセットされてしまいますよね?

そんな訳で何をやっても指示寸通りに上がらなかったという訳なんです。

ここで学んだことは、現状をクライアントに開示し、工程的にどうしてもコストアップしてしまう旨を伝え、下代UPを検討してもらうということです。

クライアントも間に合わせで仕上げた製品よりも、しかるべき設備で専門の職人の手で仕上げられた製品を納めて欲しいに決まっています。

それと、いくら業界歴何十年の大先輩の仕事でも、無理な工程がないか、工場は気持ちよく仕事できているのかを確認しなければいけないと感じました。

今回はこんなところで終わりにしようと思います。


次回はトラブル実例シリーズは一旦中断して、アパレル生産管理のお金回りの話をしようかと思います。

お楽しみ。

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