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Circle(Corea/Braxton/Holland/Altschul)のライブ盤の魅力

概要

Chick Corea/Anthony Braxton/Dave Holland/Barry Altschulで結成されたCircleの作品は発売当時からライブは愛聴盤だが、スタジオ録音は魅力が判らず手放してしまった。
更に Creative Music Studio Woodstock Jazz Festivalのイベントに参加しているLee Konitz, Pat Metheny, Chick Corea, Jack DeJohnette, Miroslav Vitous, Anthony Braxton  のCDを入手したが 結局手放した。
Circleのライブの魅力がどこにあるのか私見をまとめてみた。

音源

Circleの活動記録としては下記が知っている限り一番詳しかった。

手元にあるレコード・CDは

  • German Concert Date: November 28, 1970: Parktheater Iserlohn, Iserlohn, Germany

  • Paris Concert Date: February 21, 1971: Maison de l'O.R.T.F., Paris, France

  • Live in New York 1974 Date: March 19, 1971 : Third International Jazz Parade At Bergamo, Donizetti Theater, Bergamo, Italy (レコードタイトルは誤り)youtubeで見た ORTF, Paris, April 19th, 1971 のテレビ映像
     Q&A , Thanatos ,Nefertiti の3曲

非公式録音として

  • Date: March 4, 1971 Location: Jazzhaus, Hamburg, Germany

  • Date: March 5, 1971 Location: Lila Eule, Bremen, Germany の前半 (piano Trio のSong Of Wind,This,Nefertitまで)

youtubeで見た ORTF, Paris, April 19th, 1971 のテレビ映像
 Q&A , Thanatos ,Nefertiti の3曲

Creative Music Studio Woodstock Jazz Festival は 下記
(特にThere is no greatr love  と impressions を比較した)

どこが魅力なのか

私見では以下の2点にまとめられるかと思う。

特徴的な疾走感のあるリズムセクション
ビート担当のベーシスト Dave Holland  緊張感を高める ドラマー Barry Altschul がうまく絡み合っている事
Circleスタジオ録音では クラシックの現代音楽的なノービートの演奏が大半を占め、更にCircleと同じメンバーでBraxtonのリーダーで発表された作品(Complete Braxton 2枚)も実験作になって楽しめなかった。1981年のWoodstock Jazz Festivalでは DeJohnetteのドラムがリズムの基本になっていてベースの存在感が弱い(Roy Haynesだったら違ったかも)。

Braxtonのソロ時に 絡みつくような音数の多いCoreaのピアノ。
管のソロにコード/リズムを提供するピアノではなく、対位法のようにメロディを絡ませている。単純な即興ではここまでは簡単には出来ないと思うので、事前にスケッチが出来ていたのではないか。
Circleスタジオ録音ではBraxtonの暴れるような、踊りだすような演奏が少なく、Coreaのピアノも一般的なデュエットになっている。Woodstock Jazz FestivalではCoreaのPianoのバッキングがあっさりしている。


まとめるとECMから出た Corea/Holland/AltschulのA.R.C.の疾走感に加え Braxtonの過激なソロがCircleのライブの魅力と思う。

1960年台後半から70年台前半はパワー系のフリージャズが量産されていた。しかしCircleは力任せなパワーではなく、知的な整合感がありながら疾走する演奏になっている。サークルの国内盤の解説に 結成後、猛烈なリハーサルをした・・との記述があり ライブでの演奏も造りこまれているのではないか?。とはいえ同じような演奏を繰り返していたわけではなく ECMのParis Conceertでの冒頭からのBraxtonの強烈なソロのイメージだったNefertitiも、他の演奏ではCoreaの長いソロパート終了後Braxtonのソロになる。曲の構造や枠組みがキチンと出来ていた上の自由な演奏だったと思う。ミュンヘンやブレーメンでのCoreaのオリジナル (This やRhymes)はスタジオ盤を元に展開している。 
Solid State時代の録音がIs Sessionsの形でまとめられているが、Circleのライブにおける ベースとドラムの役割分担や管とピアノの絡みの魅力には及んでいないように感じる。

他の音源も聞いてみたい。

  • ブレーメンでの演奏は前半の音源しか聞いていないので 全部の音源があれば発表して欲しいところ。

  • Sonyから出た LP版German Concertの清水俊彦の解説では 事前に聞いたテープではNefertitiから始まっていたが演奏時間の関係でカットされたとある。再発されたCDでも発表されていないのが残念である。

その後

  • Circle名義では一般的な人気が出ず仕事が確保出来ない上に John McLaughlinやJoe Zawinulの成功を見て 別の世界へ出たChick Coreaの離脱で解散になったといわれている。

  • 他のメンバーも独りよがりな音楽(=スタジオでのCircle)から抜け出し、HollandはECM、BraxtonはARISTA、AltschulはMuseと契約出来たと考えている。

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