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「たぶん、恋愛小説家」_強がりなんかしたくない

あんたのここと、ぴったりくるんだよ

巧人がせわしなくなってくる

動きが早くなって、突起しているところに

いちいち当たって、痛い

巧人、当たって痛いよ

わたしは顔を横にしたり

ちょっと起き上がったりして

巧人と繋がっている部分の向きを変えて

摩擦を減らそうとするのだけど

巧人は夢中で聞いてくれない

あ、あ・・ん・・やだ

巧人の髭伸びてくると痛いんだ

お髭痛いよ、巧人

そう言うと巧人はわざと

顎をゴリゴリくっつけてくる

う~いたいい~

巧人は小さい声でくっつくとかすいつくとか

出るとかまだとか気持ちいいとか言ってる

わたしは巧人の腕を掴んだり

首に手を回したりする

足を伸ばしてしまうと、巧人も調子に乗って

わたしの肩をつかむ力が強くなる

すっぽり巧人にくるまれたわたしは

息苦しくて重くてくやしい気持ちもすこしある

なのに、巧人がわたしの頭を押さえてなでてる

のかな

と思うと、ただ外れないようにする

スケベな魂胆だとしても、怒らないでやろう

目をつぶってしがみついていた

でも足技を使うと

巧人はまたアクセルエンジン

出るーーー出たーー

わたしはまた

そのまっ直ぐな幼稚さに、がくっと首を落とす

それでもずっと腕まくらをしてくれる巧人に

寝ているのか、寝たふりなのかわからないけど

キスをしたくなる

目は開けないけど、わかってるよね

強がりなんてしたくない

ムキにならずに、わたしらしく生きたい

つかみどころがない人なんて、ウソ

わたしが自由に表現出来なくなったら

みんないいと思ってた

わたしはもうずっと無理をして

自分の心を殺してしまった

わたしは、たぶん恋愛小説しか書かない

小説しか書けないのは確かだ

でもそれを、堂々と認めよう

わたしは恋愛小説家

それしか出来ないし、したくない

きっといつか胸を張れる


あ~オレ、寝不足~

巧人がのびをしながら言った

オレ、もう今日はずっと寝かせてもらお~

わたしは眉を中央に寄せた

はあ?あんたいつも寝てるじゃない
だって~あんたの寝言と歯ぎしり
すごくって~


ちょっと   💢  を感じたけど押さえたわ


は?はあ?あたし、歯ぎしりしたの!?
い、いびきは?
いびきは治った♪寝言はいつもじゃん
むにゃむにゃ、あわわわむにゃむにゃ
なんでよ
はっきりいいんっさいよ!
そんな寝言ないよ!バカ!

わたしはすごく恥ずかしくて巧人を
怒鳴ったのに、笑ってしまった

あんたの歯ぎしり
スゲー久しぶり~
眠れなくてさ~
ねみーよー

そう言って笑う巧人を
いつもみたいに足蹴にできなかった

昼下がりのイエロートパーズのひかりで
巧人はすごく優しく
清々しくて耀いていたから







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