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「冷たい月」

寒水

普段、水を飲まない私が飲む

春夏秋冬の中で、真に水の中の水だと思う水

晴れた空に舞う雪

しぐれ、と言う人もいれば

風花と言う自分

人に憑かれたおぼつかない足は

ぬかるんだ泥にとらわれる

見上げた者と見下ろした者が

ぬばたまの夜の約束を思い出す

なぜ、自由に書かせてくれないの

なんでも持っているじゃないの

なんでも手に入ったじゃないの

満足しないのはなぜ

私の精神くらい、書く時は解放させてよ

宵待ちもせず

浴槽の中に月が浮かぶ

(またいつ会えるかわからないだろう?)

ああ、確かな約束ではない約束

書き記せば契約

吐息よりも叶う夢

ただその吐息は儚いけれど

肉体の現実






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