メモ処理の種別4 / 本なんて別に読まなくていい / マルチウィンドウ化促進活動 / 異なる言葉を使うこと
はじめに
最近、Obsidian の使い込みに嵌まっておりまして、中でも Canvas というボード作成機能に"ご執心"です。
で、いろいろ試した結果、ウィークリーボードをCanvasで作るのがいいかもという暫定的結論に。
◇Obsidian CanvasでWeeklyBoard | 倉下忠憲の発想工房
こんな感じで複数のリスト・ノートを一覧できる場所があると、ちょっとだけ安心できます。効率的というよりは、精神的な耐震性を高める、というイメージですね。
こういうボードが自由に作れるだけでも、Obsidianを使う価値があると思います。
〜〜〜コード力の実感〜〜〜
ずいぶん昔に作ったWebツールのコードを覗いてみたら、jQeruy がバンバンに使われていました。jQeruy とはJavaScriptのコード書きを助けてくれる優れたライブラリです。自作ツールを作りはじめたときにはずいぶん助けてもらいました。
◇jQuery
Textbox以降は「バニラJSで行く」と決めているので、ここ最近はまったく使っていませんでした。jQuery が含まれたコードを見ているとなんとなく気持ち悪さが出てくるくらいです。そこで、昔書いたコードをリファクタリングにすることにしました。jQuery をやめて純粋なJavaSriptでコードを書き直すのです。
実際やってみると、明らかに自分のコーディングスキルが上がっていることが実感されます。昔は、ともかく検索して、それっぽいことが書いてあるページのコードをコピペし、実際に動かしてみてうまくいかない部分をこれまた検索して修正する、という感じで、まるで闇鍋状態でレゴブロックを組み上げるようにコードを書いていました。結局のところ、自分が何をやっているのかわかっていなかったとも言えます。
でも、今は自分がやりたいこととそれを実現するためのアルゴリズムがぱっと思い浮かびます。実際に修正はずいぶん早く終わりました。「頭の中」に知識があると、こうも作業が手早いのだというのは、わかってはいるものの体験するといつも驚きます。
面白いのは、私自身の感覚としてコード力が上がったような”実感"はまったくないということです。上腕二頭筋が膨れ上がったりもしていませんし、ステータスウィンドウで「コーディング」の数値が上がってもしていないのだから、実感が得られないのは当然でしょう。
結局それはコードを書くときでしか、もっと言えば「過去の自分のコード書き」と対比する形でしか実感が得られないものなのだと思います。
「記録」が持つ価値は、その辺にもありそうです。
〜〜〜情報整理ツール〜〜〜
「情報整理ツール」という呼び方がどこまで一般的なのかはわかりませんが、一応ジャンルとしてそういう呼称は可能でしょう。
しかし、一旦そう呼んでしまえばそのツールは「情報整理」のために使われることになり、そうなるといかに整理をうまくするのかという点で評価され、運用もその効率性が重視されるようになりがちです。ネーミングによるフレーミング。
だとしたらまったく同じツールでも「デジタルノートツール」と呼ぶことで、そうした見方を変更できるかもしれません。
たとえば、アナログノートの場合、がちがちに効率的に使う方向もありながら、楽しく使う方向の工夫もたくさんあります。お気に入りの道具を使ったり、好きなものを貼ったり、ページをデコレーションしたり。こうしたものは「効率性」の観点からは抜け落ちる行為であり、人が道具とうまく付き合っていく上では欠かせない行為でもあります。
自分が楽しくなるように使う。自分のために工夫して使う。
そうした行為が促進されるようなネーミングがあれば一番でしょう。
実際は、それらの行為すらも広義の「整理」であると言えそうですが、その指摘は話をややこしくするだけなので、うまくフィットするネーミングを考えたほうがよさそうです。
皆さんはいかがでしょうか。「情報整理」という言葉を聞いて、どんなイメージをもたれますか。機械的? 効率的? それとも創造的? よろしければ、倉下まで教えてくださいませ。
では、本編を始めましょう。今回は、メモ論の続き、読書について、マルチウィンドウ化作業、共通の用語設定についてお送りします。
メモ処理の種別4
引き続き、メモ処理の類型を取り出していこう。
■2.4プロジェクト化
書かれたメモから行為を設定するとして、直接的な行動ではなく、ある状態に至ることを目標として設定する場合がある。
たとえば「英語がもっと得意になりない」という思いを綴ったメモから「TOEICで750点を目指す」という目標を設定したとしよう。当然その目標にたどり着くためには、直接的な行動を一度取れば終わりというわけにはいかない。
そこで、「TOEICで750点を目指す」という目標を見据えて、必要な行動群を組成していく必要がある。そのひとまとまりを「プロジェクト」と呼び、そうした組成を「プロジェクト化」と呼ぶ。
とは言え、この呼び方はいささか大げさに感じられるかもしれない(それを言えば「タスク」も大仰ではある)。というのも、プロジェクトというのは会社などで進められる大型の企画や方策の実施を指すことが多いからだ。その印象が、ここで使われる「プロジェクト」にも影響を与えてしまう可能性はある。つまり、かなり大きい目標でないと「プロジェクト」とは呼べない、という先入観を生んでしまうのだ。
ではなぜこれがプロジェクトと呼ばれているかと言えば、こうした技術が「仕事の技術」という文脈において開発されてきた経緯があるからだろう。端的に言えば、同質の語彙空間において類推が発生しやすいわけである。
逆にこれを生活の技術という文脈で検討してみると、ミスマッチ感はいなめない。たとえば「プロジェクト」という言葉を日常的に使っている人はそうたくさんいないだろう。一種の遊びとして「キッチンの大掃除"プロジェクト"を始めます!」といったことが言われることはあるだろうが、そのことは逆説的にそうした言葉が日常の語彙空間には存在していないことを意味している。
よって、あくまでこれを仕事の技術という文脈で展開していくならば「プロジェクト」という呼び方が機能すると言えるだろうし、もっと広く生活の技術という文脈で展開していくならば、それよりもふさわしい呼び方を検討する必要がある、ということが言えそうだ。すべては文脈次第なのである。
もう一点考えておきたいのは、仮に「プロジェクト」という呼び方を採用するにしても、大きい目標ではないとプロジェクトとは呼べないという問題をクリアする必要がある。というのも、大きいものだけをプロジェクトと呼ぶのはよいとして、それ以外のものを名指す呼称がないと扱いに困るからだ。
「プロジェクト」に対して「小プロジェクト」や「ミニプロジェクト」という言い方を追加してもいいし、「個人的プロジェクト」のような文脈を補佐する言い方を開発してもいいだろう。あるいはまったく別の言い方を考案してもいい。
ともあれ、対象の規模を問わず対象化できる(≒扱えるようになる)語彙群が必要である。
■2.5 プロジェクトの種類
さて、ある目標とそこに向かうための複数のステップの組み合わせが「プロジェクト」なわけだが、そこには規模以外にもう一つ性質がある。それがルーチン性だ。
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