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新入社員さんに送る7つの仕事術

新年度、新しく働き始められた方もいらっしゃるでしょう。受験勉強なら学校別の攻略本が手に入りますが、仕事の仕方となるとなかなかはそうはいきません。実際に働きながら、実際に働いている人からいろいろ学んでいく必要があります。

そこで仕事術の一つ目は以下です。

1.自分のノートを作る

会社で仕事というと「手帳」がぱっと思い浮かびますが、それに加えて「ノート」も一緒に持っておきましょう。そこにいろいろ書き込んでいくのです。

一つは備忘のため。情報の散逸は大きなロスです。きちんと書き留めておき、いつでも使えるようにしておきましょう。

もう一つは思考のため。とにかく頭だけで考えるのをやめましょう。考えるなら、書くことを伴って。それをするだけで精神的な負荷がぐっと小さくなります。しかも、客観的な視点が得られ、その上書いたものが記録としても残るのです。非常にGood。

ノートはアナログでもデジタルでも構いません。自分の職場で使いやすいものを選びましょう。

2.調べる&質問する

入ったばかりなのだからわからないことがあるのは当然です。情報の欠落を感じたら、それを埋めればいいだけです。

その際、本を読んだりWebを検索して自分で調べることは大切です。分かり切ったことを質問してバカにされるのもちょっと残念ですから。

でも、そうした情報が本当に「正しい」のか、あるいは職場で求められているのかはわかりません。あと、その職場ならではのノウハウみたいなものは本やネットには書かれていないものです。そうしたときは実際に知っている人に聞くのが一番です。

どちらにせよ、わからないことをわからないまま放置しないのが吉です。すぐに調べたり、質問できないならいったんノートに書いて、適切な機会をうかがいましょう。もちろん、得られた答えを記録しておく際にもノートは有効です。

3.失敗しよう

申し訳ないですが、入ってきたばかりの人に完全完璧な仕事を期待することは稀です。慣れていないのだから、失敗するのは避け難いものです。

もちろん、失敗を避けるためにいろいろ準備することは大切ですが、そのためのコストは莫大になりがちで、その上、功を奏するのかも不確定です。その不確定さが気になって、行動そのものが止まってしまう事態も起こりえます。

人間の脳は、実際にやってみることで物事を学習していきます。説明を聞いただけでその能力が習得されることはまずないのです。だから、失敗する可能性を踏まえてなお、実際にやってみるしかありません。

妙な言い方になりますが「失敗はしないほうがいいかもしれないが、失敗してもそこまで気にしない」くらいのちょっした開き直りが大切です。

(ちなみに、新入社員の失敗に過剰に反応し、執拗に怒号を飛ばしてくる職場は、ちょっとヤバいサインを出しているかもしれません)

4.まわりをよく見よう

仕事の答えは、ビジネス書やインターネットにあるのではなく、その現場にあります。というか、そうした現場に臨み、状況を踏まえた上で、そのときそのときの「答え」を生成していく、というのが仕事の進めかたです。

事前に「答え」を必死に頭にたたき込んでスマートさを演出するのも悪いことではありませんが、その代わりにまわりが見えなくなってしまえば本末転倒です。

物や情報やお金や人間がどのように動いているのか。そこにどんな関係性があり、それがどう変化しているのか。

そうした「リアル」を観察しましょう。そして状況を把握しましょう。

どれだけたくさんの戦略を引き出しに入れていても、状況の把握が間違っていたら戦略なんて何の役にも立ちません。

自分の「まわり」に興味関心を持つことは、長く仕事をしていく上で大切な要素になります。

5.投資しよう

「この仕事、明日辞める」と強く決意しているならともかく、そうでないならば自分の能力に投資をしましょう。その仕事がうまくできるようになる、もっと価値を生み出せるようになる、そんな変化のために時間をお金と注意を使っていくのです。

これはもう純然たる自己啓発です。ただし、その答えは自己啓発書にはありません。答えが書いてあるのは自分の欲望です。

あなたは物事を効率的に進めるのが好きですか。あるいは効率を度外視してお客さんと密に話し合うのが好きですか。

人それぞれに好きなことがいろいろあり、得意なことがいろいろあり、
「もっとうまくなりたい」という欲望がいろいろあると思います。

もし何か一つを選んで賭けなければならないとしたら、賭けるべきは自分の欲望でしょう。なにせ会社は倒産する(あるいはリストラされる)かもしれませんが、生きている限り自分の欲望とは付き合い続けることになるのです。枕や財布など、長く使うものほど良いものを使ったほうがいい、みたいな考え方がありますが、それと同じで自分が満たされる対象とその行為に投資するのは悪くない考え方です。

ただし注意してください。この「欲望」は瞬間的な満足感ではありません。それをやり終えた後、深い充実感を伴って「ああ、よかったな」と思えるような対象です。もっと言えば、一週間経っても、一ヶ月経っても色あせず、「ああ、あれはよかったな」と思えるような対象です。

若いころは行動のバリエーションそのものが少ないので、そうした対象がまだ見つかっていない可能性はあります。そうしたときは、自分がこれまでやってこなかったこと、苦手意識で避けていたことにチャレンジしてみるとよいでしょう。新しい発見があるかもしれません。

私も家に篭もって本を読むのが大好きな人間という自覚があったので、まさかコンビニで働いて棚を作り、お客さんに商品を売るという活動が好きだなんてまったく気がつきませんでした。たまたまやってみたら、たまたまハマったのです。

だから欲望に投資するために、投資する対象を見つけるためにいろいろチャレンジしてみることが、最初の投資と言えるかもしれません。

6.意見を持とう

これは秘密の話です。あまり大声では言わないようにしてください。ぜひとも自分の意見を持ちましょう。まわりがどう言っているかとか、会社の風潮がこうなっているとか、そういうものは横目に入れつつも、「でも、自分はこう考えている」という軸を持つようにしてみてください。

別に口に出して大声で叫ぶ必要はありません。自分の心の中に、そうした価値観を育んでいけばいいだけです。

そういう価値観を持っていると、だいたいは少し生きづらくなります。他人に合わせるのがちょっとだけ難しくなるのです。

でもそうした価値観があると「違和感」を持つことができます。その違和感は、決定的な危機を回避するのに役立つことがあります。値千金なんてものではありません。まさにプライスレスな価値です。

そういえば、「コスパ」の観点から言うと、プライスレスな価値はどう評価されるのでしょうね。ちょっと気になります。

7.ひとりで仕事をしようとしない

最後の決定的な仕事術は「自分ひとりで仕事しようとしない」ことです。これがもう本当に大切です。

これは別にチームプレイを大切にしようとか、和を以て貴しとなすとか、そういう集団至上主義の話ではありません。ごく単純に「ひとりの人間にできることには限りがある」というだけの話です。

新入社員は先輩を頼ればいいのですし、営業部門は総務部門に頼ればいいのです。わからなければ聞けばいいし、手が足りないなら助けを呼べばいいのです。

いわゆる学歴社会においては「たった一人で、なんの補助装置もなく、一人で筆記試験をクリアする」ことが試練とされますが、現実の社会においてはそれはきわめて特殊なケースです。

そもそも会社というものが複数人の協力によって一つの目的を達成する組織という存在ですし、私のようなフリーランスですら一人だけで「仕事」を完結させることはできません。皆がそれぞれに「自分の仕事」を持ち寄ることで、価値を創出しているのです。

個人が自分の責任をまっとうし、それぞれの能力を向上させていくことは素晴らしいことなのかもしれませんが、しかし仕事はやっぱり一人でするものではありません。もしそれができていると感じていたら、ただまわりが見えていないだけです。

自分にも限界があるように、まわりの人にも限界があって、そうした限界ある存在がそれぞれに「自分の仕事」を持ち寄って作る場。そうした場=現場を踏まえて、そのときどきの「答え」を生成していく仕事。

こういう観点で仕事と付き合えるようなるのが、一番の「仕事術」なのかもしれません。




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