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苦労とアイデア


とっても良い記事なのですが、以下の点が特にふむむとうなりました。

そこで無理やり「人文書であり実用書(ビジネスにも使える)」というコンセプトを考えたのですが、意外にもこれが読書猿さんの個性を良い方向に発揮させることができたのではないかと、『アイデア大全』の最初のサンプル原稿を読んだときに感じました。

アイデアというか、新機軸ってこういう風に生まれることが多い気がします。「定番」というようなものが使えずに、何かしら無理やりひねり出す、あるいはブリコラージュ的につじつまを合わせる。そうすると、これまでになかったものが生まれる。そんな感じです。

二番煎じ的なものが面白くない(ノーアイデアになりがち)のは、そういう困難さ、困窮さが欠落しているからでしょう。頭をひねらなくても、すっと企画が通ってしまう。それで新しいものが生まれたとしたら驚きです(もちろん、ヒットするしないとは別の話です)。

なんというか、「コンセプトは無理やりひねり出せ」というのがいいのかなと思います。川喜田二郎は「データをしてかたらしめる」と述べましたが、面白そうだと直観するものがあり、それを世に問うときに、それらをつなぐものとして企画を考えるわけですが(あるいはインターフェースをデザインするわけですが)、その四苦八苦こそが、新しいものを生み出す力に変換されるのかなと思います。

逆に、先にインターフェースがあって、その両方に何かをしつらえる、というやり方もあるのでしょうが、四苦八苦はたぶん、あまり生まれないでしょう。

良いものを生み出すときに、苦労する必要はありませんが、しかし頭を動かす必要はあります。でもって、人間はだいたい頭を動かしたがらない動物なので、それを無理やり惹起する「苦労」が役立つのでしょう。


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