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サラダとしてのノート術

読書猿さんのブログに面白い記事がありました。

教育関係者の大好きな俚諺に「授人以鱼不如授之以渔」(魚を与えず釣り方を教える)というのがある。
 2、3のレシピを提示しても、それは数日もたないだろう。
 100のレシピを習得するには何日もかかってしまうだろう。
 しかし食べることは日々の営為である。
 胃袋はあなたが料理人になるまで待ってはくれない。

 サラダは、単に料理のカテゴリーであるだけでなく、ひとつのフレームワークである。
 サラダを学ぶことは、個々のサラダのレシピを学ぶことではなく、様々なサラダのレシピを創出する方法を学ぶことなのだ。
 サラダという考え方を習得すれば、いくらもレパートリーを生み出すことができる。

サラダからはじめよ/新入生のための一人飯ハック/読書猿Classic: between / beyond readers

一方で、「サラダ」という考え方を習得すれば、つまり「こういうものがあれば、まあサラダと言えるよね」という概念を獲得すれば、冷蔵庫にある食材を見て、ちゃっちゃっと盛りつけて「はい、サラダのできあがり」とできちゃうわけです。

こういう考え方、私は結構好きです。

たとえば拙著『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』は、うまくいく一つのやり方を紹介するのではなく、さまざまな方法とその背後にある考え方を紹介しました。「タスク管理」という考え方を読者さんに導入してもらうのが意図です。

同様に『思考を耕すノートのつくり方』も絶対にうまくいく完成されたノート術ではなく、そもそもノート術はどんな要素で構成されているかを分析し、自分で「ノート術」を組み上げていけるようなブロック(レゴのイメージ)を提供しています。

先ほどの読書猿さんの文章を、ちょっとアレンジしてみましょう。

ノート術は、単にノウハウのカテゴリーであるだけでなく、ひとつのフレームワークである。

ノート術を学ぶことは、個々のノーティングのレシピを学ぶことではなく、様々なノート術のレシピを創出する方法を学ぶことなのだ。

ノート術という考え方を習得すれば、いくらもレパートリーを生み出すことができる。

「ノート術」というフレームワークは、

  • 道具の役割

  • 記法の働き

  • 記述のスタイル

から構成されていて、自分が欲している目的や状態に合わせてレパートリーをいくらでも作り出していけます。

というよりも、そうであるべきなのです。単一のノート術を絶対的な正解とするのではなく、用途に応じて書き方をアレンジし、アドホックなスタイルをミニマムに創造していく。それがノートとの好ましいつき合い方であると個人的には思います。

それは動的なものであり、時間とともに変化(ないしは進化)していくものであって欲しい。方法の中に人が閉じ込められるようなことは避けたい。そんなことを考えながら、日々「考えるための技法」を検討しております。

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