予告:タスクリストのつくり方 / 作業机の新構築その2 / 飛躍とパラグラフ・ライティング / 最近のツール事情2024下半期
はじめに
11月17日に東京でイベントを行います。
◇ブックカタリスト100回記念イベントの案内 | by goryugo and 倉下忠憲@rashita2
ごりゅごさんと配信している「ブックカタリスト」というポッドキャストが記念すべき100回を迎えるので、それを祝うためのイベントです。
お互いがどんな風に準備し、ポッドキャストに臨んでいるのか。その「読書法」を語り合うという内容になっております。
ご興味あれば、ぜひ参加をご検討くださいませ。
〜〜〜『Re:vision』 〜〜〜
先日『Re:vision』につけていただいている星評価の総数が100に達しました。
◇Re:vision: タスクリストとアウトライン | 倉下忠憲, Tak. | 経営情報システム | Kindleストア | Amazon
個人的にこれは「プチ偉業」だと思っています。
これまでの倉下の著作では、『Evernote豆技50選』、『ライフハックの道具箱 2020年版』、『すべてはノートからはじまる』に続く四作目の三桁台突入で、だいたいこういうのは総数が増えるほどに平均は4かそれを下回るラインに収束していくのですが、『Re:vision』はいまだに4.3を維持しております。
それ以上に嬉しいのが、本作がじわじわと読まれているところです。何かしらのキャンペーンをして集中砲火的に星評価がついたわけではなく、すごくゆるやかであるものの、じわじわと右上がりに数が増えている感じ。
私はセルフパブリッシングの価値を、「商業主義とは違った価値を持つ本を出せること」と「売り続ける意思がある限り、ネットストアに陳列されること」の二点だと感じていますが、『Re:vision』がじわじわと読んでいただけていることはその二点がうまく重なっている事例ではないか、などと考える次第です。
今後も、セルフパブリッシングではそうした本作りを進めていきたい所存です。
〜〜〜ひさびさのWebクリップ〜〜〜
先日、何かのWeb記事を読んでいたときに、どうしても本文すべてを保存したくなったので、とりあえずブラウザの右上にボタンがあったEvernoteのWebクリッパーを起動させました。数クリックで、ページの本文全体がクリップされ、ノートが新しく生成されます。
最近は、あまりこういうWebクリップをせず、URLだけを保存するか、Cosenseで簡単なメモを残すかのどちらかを行っていました。結構ひさびさのWebクリップです。
で、やってみて感じたのが、Webクリップを経由して新しいノートを作ると、「ひとしごと」した感が生まれます。整理できた気持ち、新しいノートを作れた気持ち。そうしたものが入り交じって、達成感が生じているのでしょう。
しかし、客観的にみれば情報を地点Aから地点Bに移しただけにすぎません。手も動かしていなければ、頭も動かしていません。
正直なところ、2008年頃にEvernoteを使いはじめたばかりの頃は、こういう「達成感」に駆動されてノート作りを進めていたように思います。そりゃ、貯めるだけの場所になってしまうのも当然です。
というわけで、Webクリップという便利で楽しい機能は、けっこう慎重に使ったほうがいいのだろうなと思います。それくらいに達成感は人の心を動かす力があるので。
〜〜〜大筋はOK〜〜〜
たまたま書店で「タスク管理の結論」というタイトルを見かけたので、なかなか大きな風呂敷を広げたなと思いながら書誌情報をチェックしようとそのタイトルでググったところ、少しお節介なGoogleさんがAIによる概要を提示してくれました。
(みなさんも「タスク管理の結論」でググったら似たようなものが表示されるかと思います)
で、上からつらつらと読んでいくと大筋で間違ったことは何一つ書かれていません。「まあ、その通り」という内容です。世に提出されているコンテンツから概要を作っているわけで、一般意思ならぬ一般ノウハウとして順当なものが出てくるのはしかるべき帰結なのでしょう。
でもって、これはタスク管理に限る話ではなく、ノウハウ全般に言えることです。
ある分野のノウハウの「大筋」については生成AIが答えてくれる。
そういう状況において、人間が作るコンテンツがそれと同じものをなぞってもバリューは出せないでしょう。違う方向性が必要です。
違う方向性とは?
簡単に答えが出せるものではありませんが、「大筋」ではない方向を攻めるがよさそうです。つまり、より具体的で個人的な話、あるいは思想的な話などの可能性があります。
なんにせよ、今後のノウハウ・コンテンツは根本的な部分からその在り方を見直す必要が出てきそうです。
〜〜〜別のツールを通して考える〜〜〜
最近、Capacitiesを実験的に使っているのですが、その結果としてWorkFlowyの使い方も変わってきました。
Capacitiesが「オブジェクト」と呼ぶような境界線がはっきりした情報については、Capacitiesに任せ、WorkFlowyでは境界線がはっきりしないリキッドな情報を扱う、という風に役割分担されるようになったのです。
別段そういう区分けが正解というわけではなく、単に私の使い方の話なのですが、ポイントは使い分ける上での指針が見つけられた、という点です。
デジタルの情報ツールでは、基本的にどんな情報でも受け入れ可能で、使っているうちに何をどう使っているのかがわからなくなってくる傾向があるのですが、今回「オブジェクト的かどうか」という線引きが得られたことで、ツールの使い方が検討しやすくなりました。
私のようにツールの使い分けを検討する場面だけでなく、一つのツールの運用を検討する場面でも、オブジェクト的なものとそうでないものの扱い方を変える、といった指針はおそらく機能するでしょう。
何かの概念を検討するときに、いったん英語などの日本語以外の言語にしてみるのは有効なのですが、情報整理においても、いったん別のツールでの運用を考えてみることは同じように有効です。それによって、あぶり出される性質が間違いなくあります。
皆さんはいかがでしょうか。あることを検討・実践・習熟した結果として、関連する別のものに変化が生まれたことはあるでしょうか。よろしければ倉下まで教えてくださいませ。
では、メルマガ本編をスタートしましょう。今回は、次回からの連載の予告、倉下の新しい作業机の紹介、パラグライダ・ライティングから考えたこと、最近のツール事情の3編+アルファでお送りします。
予告:タスクリストのつくり方
メモについて連載を書いたことで、自分の問題意識が整理できました。
究極的には「情報整理」という大きな枠組を置き、その中に具体的な「情報整理」の実践をどう位置づけるのかを考えていこう、という指針というか展望が得られた次第です。
簡単に言ってしまえば、「ひとくちに情報整理といってもその内実はいろいろあるし、それがわかっていないと実践でも混乱が生じるので、それぞれの情報整理についての解像度を高めていこうぜ」という感じです。
以前メルマガで書いたように、PKMという領域とPIMという領域は、大きな括りでは「情報整理」をしているわけですが、実践内容は異なるでしょう。その共通と差異、つまり大きな枠組みでは「情報整理」だけどもより具体的には異なった領域であるという視点において概念を整理し、具体的な運用を検討していくことで得られるものがあるのではないかと予想します。
ただし、「物事は小さく取り掛かるべし」という倉下的運用の鉄則から、いきなり情報整理論とか情報整理大全のようなものを構築することはしません。それは破綻へとつながる最短ルートです。
そうではなく、まず具体的かつ実践的な話から始める。それらを統合(ないしは融合)することで、より大きなものへと迫っていく。そういうステップを踏みます。
というわけで、次の連載は「タスクリストのつくり方」というテーマでお送りします。「やること」を支援するための情報整理について考えていきましょう。
作業机の新構築その2
今回も引き続きNew作業机について。
4つのカラーボックスと大きめの天板(+足)というセッティングを前回は紹介しました。今回はそこに何をどう置いているのか、というお話をしてみます。
■キャビネット部:1
まずは4つのカラーボックスの中身から。といっても1つは向こうを向いているので左手前、右手前、右奥の合計3つです。それぞれ上下にスペースがあります。
左手前のボックスは、上に三段の引き出しがあり文房具が入っています。ペン・クリップ・付箋などの消耗品と、パンチ・電卓などの小物類。大きめのカッターナイフなどもここに入っています。
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