コントロールと選択肢と当たり前を壊すハンマー
以下の記事を読みました。実に楽しそうな対談です。
勝間和代×堀正岳対談。ライフハック、2019年の現地点 | ライフハッカー[日本版]
勝間さんは、『勝間式超コントロール思考』で、少しずつ自分がコントロールできる(≒影響を与えられる)領域を広げていく、というお話をされています。
で、その際に、たぶん必要になってくるのが、「自分にとって大切なものは何か・必要なものは何か」という判断基準と、「当たり前」を疑う姿勢です。
まず前者は、有限化において必須となります。たとえば「すべて」をコントロールしようと思えばすぐさま破綻してしまうわけで、影響を与えたい領域は限定しなければいけません。
もっと言えば、選択肢が限られていたとして、自分はその中で何を為したいのか(あるいは何に晒されたくないのか)を考えるということです。これを抜きにして、「何かをコントロールする技術」だけを闇雲に学んでも、影響は希薄化してしまうでしょう。
後者に関してもこれは重要で、『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』でも触れましたが、たとえば『7つの習慣』では「関心の輪・影響の輪」という考え方が出てきて、これはたいへん有用でありつつも、「自分が影響を与えられる」と思っている対象が、本当に正しいのかまではわからない、という問題がつきまといます。
言い換えれば、「これはこうなるのが当たり前で、他の形はない」と思っている限りにおいて、その対象は「影響の輪」には入らないわけです。ものすごく強い運命論で人生を捉えている人ならば、影響の輪はおそらくゼロ、という言い方をしてもいいでしょう。
だから、自分の考え──もっと言えば世間一般の規範が内面化された考え──について、「それって本当にそうなのかな?」ということを考えていかないと、実はうまく影響の領域って拡げていけないわけです。
で、以下の部分。
勝間:選択肢を手に入れるって、すごく大事なんですよ。
不快さを受け入れて従うのではなくて、「他に方法があるのではないか」と、いつも代替案を考え続けるということです。
堀:その代替案を得たり、探し当てるのは主体性が高くて面白いんですよね。不快な部分をちゃんと意識したならば、次にそれを何とかする方法はどこかに転がっているはずだと。
コントロールできる、というのは「選べること」だとも言えます。自由意志とはまさに選択を担保するものですからね。
でもって、タスク管理とは「命令の逐次実行」というよりも、少し上の視点からみた「やること」の決定でしょう。タスク管理をすることで、「やること」の選択肢が手に入る。
でもって、そのタスク管理の手法について、『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』では、さまざまな「言葉」を紹介しました。これも、選択肢です。でもって、「一つの正解」から「多数の選択肢」に移行したことによって、「他に方法があるのではないか?」という考えも促されるでしょう。本に書いてあることだけが答えではない。そういう感覚です。
でもって、そうではない答え(未知の答え)は、自分で作っていける、というのが『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』で言いたかったことの一つでもあります。なにせ、言葉(概念)は創造のための道具です。くっつけたり、言い換えたりして、新しいものを創造できます。そして、そのような模索をしているときに立ち上がるのが、たぶん「主体性」なのだと思います。主体性なるものが先にあるのではなく、ある種の模索において蠢くもの、それを主体性と呼ぶ。そんな感じです。
「これは(必ず)やることなのだ」という当たり前からの脱却
「人は生産生を高め続けなければならないのだ」という当たり前からの脱却
「タスクをたくさんこなせば報われる」という当たり前からの脱却
「成功する方法は一つなのだ」という当たり前からの脱却
「与えられたものを、指示された通りに使わなければならない」という当たり前からの脱却
粒度や高度は異なっていますが、どれも生きる上では大切なことでしょう。でもって、そのためには、一度いろいろと考えてみる必要があります。「当たり前」を打ち砕くハンマーは、「考える」なのですから。
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