第十九回 Re:vison
一冊の本を書き終えたあと、それを読み返してみると、ああ自分が書きたかったのはこういうことだったのかと発見することがあります。実に不思議な発見です。
何せその本を書いたのは私であり、つまり行為の主体者は自分です。その自分が「こういう本を書こう」と思って書いたはずの本から、新しい発見があるのです。
おそらくその発見は、一番最初に自分が「こういう本を書く」と決めて、100%その通りに執筆を進めていたら、得られなかったものでしょう。そのルートから外れたことで、結果的に得られたもの