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相模原市協働事業 第二回「Feel度Walkから学びを開く森の教室」
2023年12月3日に相模原市「つちざわの森」で、相模原市協働事業第二回として、「Feel度Walkから学びを開く森の教室」が行われました。
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Feel度Walkとは、なんとなく気になるもの・こと・ひとをあてもなく追いかけ、立ち止まってばかりで少ししか進まない歩き方をすること。発見する「感度」が上がるのでFeel度Walkと呼ばれています。
第一回の前回は親子を中心としたFeel度Walk。今回は子どもと教育関係者を対象とした一日となりました。この森を学びの場として開いたら、一体どんな事が起こるのか。この森から一体何が生まれていくのか。そんなことを体感する一日となりました。
午前の部「Feel度Walk」
参加者の方々が山に上がってきたときには、講師のおっちゃんこと市川力さんは既に子ども達とその場にある気になったものを見つけていて、Feel度Walkが始まっていました。
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「大人の皆さんも自分が子どもに戻った感じで、思いっきり感度をあげて、気になるもの、面白いものを何でも探して写真に撮ってみてください。」という言葉と共に、スタート。
子ども達は、あっという間におっちゃんと一緒に山の奥へずんずん進んでいきます。
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大人たちも、自然豊かな山の空気を感じながら、「なんとなく気になったもの」を探し始めました。
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親子で参加していた人たちも、活動エリア内でそれぞれのペースで発見を始めていきます。
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「顔のように見えた茎」
「ペットにしたいほど可愛いカマキリ」
「葉っぱの上に止まっていたハエ」
いつの間にか感度が高まり、普段なら気にも留めないような事が気になり、発見に夢中になっていきます。
1時間ほど時間がありましたが、あっという間に予定の時間になり、次はスケッチタイムへ。自分が発見したものの中から、なんとなく気になったものを1枚選び、丁寧に描きこみます。
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大人も子どもも真剣にスケッチしていきます
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それぞれに30分くらい、じっくりと描きこみました。"なんとなく気になったものを丁寧に描く"というなんとも不思議な面白さを体感していました。そして、あたたかい日が差し込む中で、みんなの時間感覚が薄れていき、場がさらに緩まっていきました。
だいたいの人が描き終わり、まだの人は引き続き描き続けるという自由な雰囲気の中で、発表会が始まりました。5月の第一回では、複数人で模造紙に描きこみ、それを見せながら発表しましたが、今回は、乾いた土がキャンバスとなり、各自が自分が置きたい場所に絵を飾りました。自然物が描かれた画用紙は、森の土と一体化しているようでした。
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前回は全ての模造紙を発表していきましたが、今回はどれか一つを選び、選ばれた人がなんとなく気になった画用紙を選ぶという流れで発表していきました。発表も"なんとなく生まれる偶然"に委ねられました。
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前回とは違って全員が発表するわけではなかった発表タイム。だからこそ自分の発見というよりも、みんなの発見 "our discovery"を共有しあう時間となりました。
なんとなく気になったものをとにかく撮影し、なんとなく一番気になったものをスケッチし、なんとなく気になった画用紙が選ばれて発表が終了しました。その頃には、ますます心がほぐれて森に包まれているような暖かさを感じていました。最後に知図を中心に記念撮影をして、午前の部は終了となりました。
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午後の部「教育関係者向けお話会」
つちざわの森から少し離れた場所で、お昼を挟んで午後の部が開始しました。場作りや教育に関係する方々が残って、午前の部について語り合いました。
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とても心地良く、そして不思議な体験をした午前。それぞれの方から、この時間に対する感想をシェアしていきました。
「"なんとなく"という言葉が響いた。"なんとなく"でいくことで、自分がこういうところに興味があるんだなと感じた。足元よりも空だった。色があるものに目がいった。」
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「自分が何をみてるのかなと思ったら、美味しそうにみえるぷりっとした実を写真にとっていた。すごく楽しかったです。」
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「スケッチをしてこんなにも自分が没頭するんだと思った。うまく書けなくて悔しい気持ちもあった。」
「私は元々下を見るのが好きで(笑)、今日はずっとその場にいたなという感じで。友達とキャンプとかにいっても、みんながずんずん行くときにもっと見ていたいなと思っていた。ずっと見たいものを見るということを、みんなと出来て嬉しかった。職場でやってみたり、友達を誘ってみたり、小規模でもやれるといいなと思った。」
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「大人も子どもも同じことをしていた。子ども3人でいたが、同じことを大人に求めてくる。大人も子どももフラット。大人も何かに没頭していた。土で絵をかいている人がいたのが衝撃。その場にあるものを使うブリコラージュだと思った。それが伝染していった。その場にあるもので楽しむというのが本能的なことで珍しいことじゃないと思った。」
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「自分は知識をもってかいてしまっていたけれど、子どもはその場面を切り取るようにかいていた。今、高校生の自由研究をはじめようとしているが、ちょっと閃いたことをつきつめていくということが、これをやっていると出来るようになりそうだと思った。」
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「ちゃんと人の手が入って、低い木と高い木が混在していて、どこにいても木漏れ日が入ってくるという光と、風が流れている。光の経糸と、風の横糸が織りなす場というのが、すごくいい空気感を生んでいるんだなと思って。そういうところに集う人は大人も子どももみんなやさしさに溢れていると思いました。色んなところを歩いていて、すごく呼吸が深いと思った。冷たい空気感と優しい空気感を体内にとりこんで、今日はよく寝れると思いました。」
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午前の余韻を感じながら、ひとしきり感想を伝えあうと、一つまた一つと疑問に感じたことや不思議に思ったことが語られていきました。
「企業研修の場と、Feel度Walkの場の一番の違いは何だろうなって思っていました。」
「"仲良くなりたい"、"その場に興味を持たせたい"などの目的が合致するのであれば、Feel度Walkをするのもいいのではないか。色んな自由度があっていいと思った。」
「なんでもないところから、面白いものを見つけるセンサーって、アイディアの源泉になると思ってて。違うものと違うものをくっつけるラテラルシンキングをするには、身体を動かしながら普段気にしていないものを見るというのは大事だなと。」
「小さい頃、わくわくの強制が死ぬほど嫌いだった(笑)。Feel度Walkはその強制感が全然なかった。不思議だし、実はデザインされてるんだというのも面白いなと思って。」
「Feel度Walkは大好きなんだけど、自分の息子はシェアタイムには参加していなかった。あんなに自由度が高い場なのに不思議だった。」
「ジェネレーターとしては意識を張り巡らされているんだなと。放置はしていないというのは、子どものことを見ていたり、大人の動きを見ていたり、場の動きをみたり。そこをどうすれば育つかなと。」
参加された方々からの疑問や意見に対して、市川さんが一つずつ応答していき、以下のような内容が語られました。
***
学校や企業研修、今あるものには大切な役割がある。だから、それとは違う場所があることも必要。学校のような目的を持った場所と対比的な、「無」目的、「無」意図で放置される時間も大切。色んな場があることが大事。
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Feel度Walkの参加の仕方は自由。発表の時に居た人は、居たかったからいただけ。ギターを持って消えるなんて最高。つちざわの森はそれが許される空間。
Feel度Walkは、かなり真剣にデザインしている。
自己紹介もしないし、きちっと整えない。それでも成立するのは、場の力があるから。まずは場が重要。主語は場。次に子ども。
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仕掛けてないと手ぶらでいくのは違う。放置しているのとは違う。子どもの反応に一番目を向けてないといけない。おっちゃんが、KTが「何をしたか」ではなく、「何が起こって、どう受け止めたのか」。生成しながら作っていく。起きてきたものを拾いながらやっていく。思ってみない方向に動いた時は、その子の目線が入ったから広がったんだと思える。
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参加された皆さんは、市川さんから語られる言葉に深く頷きながら、自分が持つそれぞれの場を思い描いて想像を膨らませているようでした。
「あてもなく歩いて、なんとなく気になったことを写真にとってシェアする」。そんなシンプルなアナウンスがあれば誰でもできてしまうFeel度Walk。それでいて、どこまでも奥深い。
「自分の周りの世界とどう関わっていくのか」ということ自体を考えていく行為のようにも思えました。
この日は、「場」が大切、というフレーズが何度も出てきました。
つちざわの森という場が主役となった一日。
Feel度Walkから学びが開かれた一日となりました。
(運営団体 Heritage keeperのインスタ)
https://instagram.com/heritage_keeper
▼問い合わせ先
heritagekeeper2021@gmail.com
photo by yasushi takehana
(文責:松木ゆう子)
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