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『4次元図形百科』ほかレビュー

『4次元図形百科』の表紙

『4次元図形百科』

宮崎興二(著)

三次元とは縦と横と高さのこと。
四次元とは縦と横と高さと低さのこと。

筒井康隆の乱調文学大辞典より

唐突に関係ない本からの引用すみませんw

でも、四次元ですよ四次元。
三次元の図形ならまだわかるけど、四次元? って? どういうこと!?
だいたい、本のページって二次元じゃん? どうやって四次元の図形を印刷するわけ?
って、思っちゃいますよねえ。

最初の筒井先生のジョークじゃないですけれど、普通に考えて三次元はXとYとZ、縦と横と高さの3つの軸があるわけで、四次元といったらもうひとつ軸が加わります。たいていのSFだとT軸(Time)軸になるわけですが、別に時間と決まっているわけじゃないですね。直交する軸が4本あるひろがり(空間)があれば四次元空間であるわけで……(この段階で理解が追いつかなくなりそうですがw)

そんな四次元の絵図をワタクシのように凡庸なおつむでも理解できるよう図にして本にまとめてくれちゃったのがこの『4次元図形百科』なわけです。言葉だけじゃわからんので、図で。百科ってぐらいですからずらずらっと並べられています

百聞は一見に如かず、まあ、開いてみるとこのような感じです。

「はじめに」でいきなり見せてくれる四次元の風景

ぺらりとめくると出てくるのが「4次元の風景」……。なんだかもうこの段階で意味わかんないですけど、がんばって読み進めてみると

四次元直行座標軸の二次元投影と三次元投影

四次元の直行座標軸を二次元に投影した図と、三次元に投影したモデルの写真がでてきます。

ここでやっと理解がおいつきそう……、つまり、四次元をそのまま表現するのは無理なので、三次元や二次元(紙の平面)に無理やり投影した物をあつめたのがこの本、ということですね。

普通、三次元の立体を紙で表現する時は、立体物に光を当てて、二次元の紙に写る影を図示しています、投影ってやつ。
もちろん次元が減るので情報量は減るし正確な描写はできませんが、なんとかそれで代用して、描かれない残りはきっとこうなってる? と、想像の助けにするわけですね。
で、この本がやっているのもその拡張です。三次元 → 二次元、と同じように、四次元 → 三次元や、一気に四次元 →→ 二次元、というふうに次元を落として投影しちゃっているわけです。

うんうん、なるほどね。すべて理解した!(嘘)

そうやってなんとなく理解した気になっていたら……

24次元ポリキューブを見せるゾノトープ(???)

24次元!? なんて絵もでてきます。こうなるともうちょっとお手あげかも!?w

実は、ここまでが冒頭の「はじめに」の中で紹介されている図たちなのです。
ここからようやく本文、この24次元ナントカが理解できるように、この後説明を交えながらメインの百科事典へとつながっていくわけですね。

本文では、四次元にまつわる歴史、過去の偉人さんたちが四次元をどうとらえていたかといった逸話からはじまり(宮沢賢治の幻想第四次象限とかでてきます)、現代の研究者がどうとらえているかというお話があり、
その後、実際の図示のされかた、図形からわかる四次元の風景、風物(!?)などについての解説が行われます。

けっこう細かい分類や説明がしっかり書かれているので、意味がわからなくてもパラパラめくっているだけでもなかなか面白い、なんだかじっと見ていると文字通り異次元に連れていかれそうな図形がやたら沢山載っています。

四次元の夏の風物詩

近いうちに四次元世界に旅する予定のある方や、四次元の図形の理解を深めたい方にお勧めのガイドブックなのでありましたw
まあ、見てみるだけでも面白いですヨー☆

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おまけ:姉妹本

『カタチの百科』シリーズ

この『4次元図形百科』の姉妹本に、『多面体百科』と『多角形百科』があります。これらで三部作なのだそうです。

『多角形百科』

『多角形百科』表紙

本当ならオマケ的な説明じゃなくてちゃんと一回まるまる使いたいところ。これはこれでかなり読み応えのある内容の『百科』です。
二次元相手なので、本の中の紙で描かれている内容がそのまま。ストレートに理解できてとてもわかりやすい本です。
三角形から、どんどん角をふやしていつしか円にたどり着く、無限に広がる多角形を、さまざまな観点から網羅した『カタチの百科事典』。化学畑から芸術畑まで、各分野で活躍されている方々(33名!)の執筆による、多角形愛好家(という方々がおられるのですねw)による、多角形愛好家のための本。多角形への愛がびしばしつまっています。おもしろいですよーw

よーくみると繰り返しのパターンが見えてきてなんだか吸い込まれそう


『多面体百科』

『多面体百科』表紙

こちらも『多角形百科』に負けず劣らず面白く濃い内容。多角形は二次元が主でしたが、それが三次元に拡張されたものですね。三冊並べてみると、確かに二次元、三次元、そして四次元とうまくつながっている『カタチの百科事典』シリーズなのだなあという気がします。
かつてプラトンは「この宇宙はすべて多面体でできている」と言ったそう。私たちが生活している三次元の中に存在する「カタチ」を多面体としてとらえなおして百科事典にした、世界のすべて(のカタチ)を知れる本です。
これはこれでやっぱりぺらぺらめくるだけでもとても楽しい。多面体趣味(いるのかな?)の方やカタチから入る人必携の本になっていますw

モチロンDNA構造だって「カタチ」です(∩´∀`)∩☆
こういう、いろんな「カタチ」と、カタチへの愛がつまった本なのです,,Ծ‸Ծ,,☆彡

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