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欲しいのはこういうハプニングじゃない

この手の話、noteに書くほどのことでもないのだが、今回は僕のモヤモヤが臨界点を突破したので書き留めておく。
ためにもならないし、面白くもない出来事だ。


とある日。
さほど混んでいない時間帯に、スーパーに買い物に行った時のこと。
総菜コーナーを何気なく見ると、フライやらコロッケやら天ぷらやら、揚げたてのものが並べられ、可動式のフードが被せられている。
傍らにはトングが何本もホルダにかけてあり、好きなものを客が自分でパックに詰めていく。

こうした光景、ここ数年は見る機会が激減していたように思う。
感染対策として、コロナ禍においては予めパッキングされたものが並べられているケースが多かったせいだろう。
(徐々に戻って来たなー)などと感慨に耽っていると、一人の年配の女性が透明のパックを片手に、品物を選んでいる姿が視界に入る。
僕の両親より一回りくらい上だろうか。

手元が緩んでしまったのか、女性がトングで掴んでいたアジフライが1枚、床に落ちてしまった。
(あっ)と心の中で思う。
とはいえ、大事件が起きたというわけでもない。
こういった場合、落としてしまった旨を店員さんに伝えれば、大抵の場合は「あー、大丈夫ですよ!お気になさらず!」的な展開になるのが定番だろう。
客の過失によるたかだか百数十円の損失で弁償だ何だと責め立てるケースはあまり見たことはない。

が、今回は違った。
予想しなかった展開が待っていた。
女性がフライを落とした直後、彼女は持っていたトングでそれを拾い上げ、可動式のフードをパカッと開き、陳列されたその他大勢のアジフライの群れに戻した。

この間10秒も無かっただろう。
落とした後、もしも女性がオロオロと困る様子であれば僕が店員を呼び「こちらの方が誤って落としてしまったようで…」と穏便に事が収束するよう手助けをするつもりだったが、これはもう見過ごせない。
少し迷ったものの、もはや守るべき対象ではないので思わず声を掛ける。

僕「いま、落としたやつ戻しましたよね?」
女性「そんなことしませんよ」
僕「いや、見てましたよ、一部始終」
女性「いえ、落としたものはコレトングで拾って自分のパックにいれて、この中の陳列されている惣菜を整理してたのよ。私そんなことしないわよ!失礼なこと言わないで!」

言い訳するにしても、支離滅裂すぎる。

1万歩譲って「何かしらの理由で陳列された商品を整理する義務」を彼女が負っていたとして、落としたものを拾ったトングでそれをやるのは間違っている。


まともな会話にならないし、そもそも、まともな人はそんなことはしない。

これ以上のやり取りは諦め、「そうですか。それは失礼しました。」とだけ言い残し、彼女のそばを離れた。

正義感に突き動かされたわけでもないし、彼女を吊るし上げて罰を与えたいわけでもない。
滝沢ガレソに密告して晒し上げる趣味もない。
とはいえ状況として見過ごすことが出来ないことには変わりない。

「食の安全が!」などと騒ぐ気はないが…でも嫌じゃない、落ちたやつがどこかの誰かの食卓に並んで、何も知らずに食べるの。
それを引き当てるのが小さい子どもかも…と考えると、とても嫌な気持ちになる。

10m程度離れた場所に店員がいたため、状況を説明する。
この話の対象者が「誰であるか」も伝えた。
一部始終を目撃したが自分の見間違いの可能性もゼロではないため、丁度売り場の天井付近に設置されていた防犯カメラを指し示し、一応確認はしてください…というところまで話をした。


その後女性がどうなったのかは分からないが、落下アジフライと共に陳列された総菜は複数の店員がテキパキと片付け、適切な対処をしているようだった。

店員に伝えた後、「教えて頂いて本当にありがとうございました!」と感謝の言葉を頂いた。
人に感謝されたのに、こんなに後味の悪い事は滅多にない。
なんなら、弱い者イジメでもしたような気分にすらなる。

僕も嘘をつくことはあるし、ミスもするし、褒められるような人間ではない。
が、謝るし、対処もする。

普段目に入らないだけで、こういうことってよくあるんだろうが…少なくとも自分の親にこんな行動はとって欲しくないし、自分はこうはなりたくないと思った出来事だった。


さて、ビールでも飲んでこの件は忘れるとするか。
アジフライでも肴にしたいところだが、今日はやめておこう。

日々noteのネタにハプニングは追い求めているが、こういうのじゃないんだよなぁ。

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