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風の中のサイコロ

最近お亡くなりになった高校時代の数学教師の言葉。  

「はい、よーわかってへん子はこういう風に解きよるねん、で、わかってる子はこう、こう、こーやって解く。
でも、ホンマにわかってる子は、最初みたいな解き方でもエエっちゅーことが理解できるねん」  

思えば、浅はかさと深謀遠慮の結果が時として一致するように見える事を示してくれた、最初の師であった。

煌めくような数学の才能に満ちた同級生のなかで、自分は出来の悪い一学生に過ぎなかったが、時に師の蒔いた熟慮の種を振り返って、思わぬ巨木に育っていることを実感することがある。

………では、現在の自分が何をしているかというと、風の中でサイコロを振るような職業に従事している、としか思えない。

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