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平成31年(2019年)度東京都登録販売者試験 試験問題(午前)その8 問36-40

・はじめに

では、少しずつ過去問を解いていきましょう。
流れとして、
問題→解説→ワンポイント(現場で使えるような自分なりの考え方)
を入れて少しでも親しみやすくなれば幸いです。^^

問36 

(問題)
医薬品の副作用として現れる消化器系の症状等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 消化性潰瘍になると、消化管出血に伴って糞(ふん)便が黒くなるなどの症状が現れる。
b 消化性潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜組織が傷害されるが、粘膜表面のみの欠損で粘膜筋板までは欠損していない状態である。
c 消化性潰瘍は、貧血症状(動悸(き)や息切れ等)の検査時や突然の吐血・下血によって発見されることもある。
d 浣(かん)腸剤や坐(ざ)剤の使用によって現れる一過性の症状に、肛(こう)門部の熱感等の刺激、異物の注入による不快感、排便直後の立ちくらみなどがある。
 a b c d
1 正 正 誤 誤
2 誤 正 誤 誤
3 誤 誤 正 誤
4 正 誤 正 正
5 正 正 正 正

(答え)4
a〇 この通りですね。実は血液は酸素を入れると赤くなり、酸素がなくなると黒っぽく見えます。ほかにも、鉄が胃酸によって酸化されると黒くなる。赤血球はが入っているのでそういった意味でも黒く見えるイメージがわくのではないでしょうか?よく貧血の時に鉄分の多いものを食べるといいというのはここからきています。マグロとかほうれん草とかですよね。
b× 胃や十二指腸の粘膜組織が傷害されて、その一部が粘膜筋板を超えて欠損する状態をいいます。起きる理由は様々ですが、前にもお話をした、ストレスであれば防御因子の減少、胃酸などの攻撃因子の増大で起きることもあります。もちろん、痛み止めによる消化性潰瘍もありますが、これは防御因子が弱まるせいで潰瘍になります。何かの折に役立つといいですね。
c〇 この通りですね。特に吐血・下血は何かしら血液が洩れて外に出ているから症状がでるのでイメージしやすいと思います。健常人が血液を体の消化管で漏れているなんて考えずらいですよね。
d〇 この通りですね。熱感等はなんで起こるかというと薬剤などの浸透圧の差によって起こると思います。ふらつきは逆で冷たいのを入れた時などでしょうか。
違う豆知識になりますが、化粧品で温かく温感を感じるのはグリセリンの特性もありますので覚えておくといいかもしれません。

問37 

(問題)
医薬品の副作用として現れる喘(ぜん)息に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 合併症を起こさない限り、原因となった医薬品の有効成分が体内から消失すれば症状は寛解する。
b 内服薬だけでなく、坐(ざ)薬や外用薬でも誘発されることがある。
c 鼻水、咳(せき)及び呼吸困難等の症状を生じるが、顔面の紅潮や目の充血、吐きけ、腹痛、下痢等を伴うことはない。
 a b c
1 正 正 正
2 正 正 誤
3 正 誤 誤
4 誤 正 誤
5 誤 誤 正

(答え)2
a〇 この通りですね。もちろん原因がなくなれば収まります。
b〇 これは何を言っているのかというと、痛み止めによる喘息(アスピリン喘息)なのですが、内服以外にも坐薬やシップなどもあるのでそういった意味で聞いている問題ですね。もちろんこの通りですね。
c× これは読んでいるとわかりますが明らかに×ですよね。顔面の紅潮や目の充血は、アレルギーによるアドレナリンの放出に伴い赤くなっていると思えばいいです。

問38 

(問題)
医薬品の副作用として現れる循環器系の症状等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 息切れ、疲れやすい、足のむくみ、急な体重の増加、咳(せき)とピンク色の痰(たん)などの症状を認めた場合は、鬱血性心不全の可能性を疑い、早期に医師の診療を受ける必要がある。
b 鬱血性心不全とは、全身が必要とする量の血液を心臓から送り出すことができなくなり、肺に血液が貯留して、種々の症状を示す疾患である。
c 不整脈とは、心筋の自動性や興奮伝導の異常が原因で心臓の拍動リズムが乱れる病態である。
d 心不全の既往がある人は、薬剤による心不全を起こしやすい。
 a b c d
1 正 誤 正 誤
2 誤 正 誤 誤
3 正 正 正 正
4 誤 正 正 正
5 誤 誤 誤 正

(答え)3
a〇 この通りですね。ここで覚えておいてほしいのは、息切れ疲れやすい足のむくみです。足のむくみは血流量が弱くなると、細胞に水が移行しむくみます。また息切れも血流量が足らないので酸素が十分にいきわたらず息が切れます。睡眠時間や状況などを聞いたうえで、受診勧告をすることが大事ですね。
b〇 この通りですね。心不全は、心臓が疲れると補おうとして肥大するのですが、最後は疲れて動かなくなることを言います。心筋梗塞などからも起こることがあるので注意が必要です。
c〇 この通りなのですが、心臓の拍動は電気で行われているってご存じでしたでしょうか?刺激電導系といわれています。なので電気信号がうまく伝わらないと心臓が収縮できないので心不全や不整脈を起こすと覚えていただいてもいいかと思います。
d〇 これはこの通りですね。別の疾患などで心不全を起こしやすければ、薬剤による心不全も確かに起こるかなと思うぐらいでいいと思います。

問39 

(問題)医薬品の副作用として現れる皮膚の症状等に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 光線過敏症の症状は、医薬品が触れた皮膚の部分だけでなく、全身へ広がって重篤化する場合がある。
b アレルギー性皮膚炎は、発症部位が医薬品の接触部位に限定される。
c 接触皮膚炎は、原因となった医薬品との接触がなくなれば、通常は1週間程度で症状は治まり、再びその医薬品と接触しても再発はしない。
d 光線過敏症が現れた場合は、原因と考えられる医薬品の使用を中止し、患部は洗浄せずそのままの状態で、白い生地や薄手の服で遮光し、速やかに医師の治療を受ける必要がある。
 a b c d
1 正 誤 誤 誤
2 正 誤 誤 正
3 正 正 正 誤
4 誤 正 誤 誤
5 誤 正 正 正

(答え)1
a〇 この通りですね。光線過敏症ケトプロフェンテープで有名な副作用ですが、この全身に広がる可能性があるということも覚えておくといいですね。
b× これは、接触している部位のみというのがだめですね。内服であれば全身に皮膚炎になりますし、接触している場所だけであるなら接触性皮膚炎でしょうね。
c× これは前の問題にも似たようなことがありますが、再発しますね。緩解するのであれば少なくとも何十年とかたてば即時反応はない可能性はありますが、一般的にそんなギャンブルで薬を使うことはないですね。
d× この問題は洗浄しないというところが誤りです。残りの文章はそのとおりですね。異物は除去するに限ります。
参考までに変なものを飲んでしまった場合は吐かせると気道に入ってしまったり、牛乳を飲んで薄めるというのも時に吸収がよくなって逆に悪化するケースもあるのでしっかり状態に応じて対応する必要があります。

問40

(問題)
 薬疹(しん)に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 皮膚以外に、眼の充血や口唇・口腔(くう)粘膜に異常が見られることもある。
b 限られた少数の医薬品でのみ起きる可能性があり、同じ医薬品でも生じる発疹(しん)の型は人によって様々である。
c 医薬品を使用した後に現れた発疹(しん)・発赤等に伴う痒(かゆ)みの症状に対して、一般の生活者が自己判断で対症療法を行うことは、原因の特定を困難にするおそれがあるため、避けるべきである。
d 医薬品を使用してから1~2週間までの間に起き、長期間使用してから生じることはない。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)2
a〇 この通りですね。薬疹は皮膚以外にもでますね。湿疹なので・・・。舌でも可能性あるかなとも思います。
b× 明らかにおかしいですよね。限られた医薬品で出るのなら使わないと思います。どれが出るかは誰も分かりません。なので一回起こった場合には、その薬は使わないようにすることを勧めます。
c〇 その通りですね。違和感があればすぐに医療機関に受診が基本です。もし、自分で対症療法をした場合、どれで悪化したかが、医師も分からなくなるので、自分で処置はやめた方がいいです。
d× これは誤りです。薬疹は、すぐ起きるものとしばらく続けてからある時突然出るパターンがあります。すぐ起きるものは合わないとわかりやすいのですが、中には1年ぐらい続けてあるとき薬疹が出るということもあり、これについては理由はわかっていません。アレルギーと同じような考え方なのですが、長期使用の後の薬疹もあることは覚えておくといいと思います。薬疹は医師が判断するので、皮膚科などの専門病院で見てもらった方がいいと思います。

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