平成31年(2019年)度東京都登録販売者試験 試験問題(午前)その5 問21-25
・はじめに
では、少しずつ過去問を解いていきましょう。
流れとして、
問題→解説→ワンポイント(現場で使えるような自分なりの考え方)
を入れて少しでも親しみやすくなれば幸いです。^^
問21(人体の働きと医薬品)
(問題)
消化器系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 消化管は、口腔(くう)から肛(こう)門まで続く管で、平均的な成人で全長約9mある。
b 肝臓は、大きい臓器であり横隔膜の直上に位置し、胆汁を産生する。
c 咽頭は、口腔(くう)から食道に通じる食物路と、呼吸器の気道が交わるところである。
d 歯冠の表面はエナメル質で覆われ、エナメル質の下に象牙質と呼ばれる硬い骨状の組織があり、神経や血管が通る歯髄を取り囲んでいる。
a b c d
1 正 正 誤 正
2 正 誤 正 誤
3 誤 正 正 誤
4 正 誤 正 正
5 誤 正 誤 正
(答え)4
a〇 このとおりですよね。こういったのはなかなかひっかけ問題が作りづらいので、テストの時には無理に勝負しない方がいいかと思います。
b× 下に図を示してありますが、肝臓は横隔膜の下にあります。横隔膜の役割は、肺を広げたり縮めたりする目的で使われます。しゃっくりをすると横隔膜が震えるせいでおこります。
c〇 この通りですね。
d〇 この通りですね。骨状の組織(「エナメル質」、「象牙質」)、歯髄(「神経や血管が通る」)部分は覚えておいた方がいいかなと思います。
問22
(問題)
消化器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 胃液による消化作用から胃自体を保護するため、胃の粘膜表皮を覆う細胞から粘液が分泌されているが、胃液分泌と粘液分泌のバランスが崩れると、胃液により胃の内壁が損傷を受けることがある。
b 胃粘液に含まれる成分は、小腸におけるビタミンB12の吸収に重要な役割を果たしている。
c 胃腺から分泌されるペプシノーゲンは、胃酸によって、ペプトンとなる。
d 炭水化物主体の食品は、脂質分の多い食品に比べて胃内での滞留時間が長い。
1(a、b) 2(a、c) 3(a、d) 4(b、c) 5(b、d)
(答え)1
a〇 この通りですね。この症状は胃潰瘍になる基本的な内容になります。
治療として、1.攻撃因子の減少(胃液分泌を減らす、胃酸を中和)2.防御因子の増加(粘液分泌を増やす)方法があります。刺激物は攻撃因子を増やし、ストレスなどは防御因子が減るので、胃炎や胃潰瘍などにつながります。
b〇 この通りですね。あとはビタミンB12は水溶性ビタミンであることも覚えておくといいと思います。
c× ペプシンによりペプトンになります。ペプシンになる前(前駆体)としてペプシノーゲンがあります。
d× これは逆ですね。資質分の多い食事の方が消火に時間がかかります。
問23
(問題)
消化器系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a S状結腸に溜まった糞(ふん)便が下行結腸へ送られてくると、その刺激に反応して便意が起こる。
b 通常、糞(ふん)便の成分の大半は食物の残滓(し)で、そのほか、はがれ落ちた腸壁上皮細胞の残骸や腸内細菌の死骸が含まれる。
c 肛(こう)門周囲は、動脈が細かい網目状に通っていて、それらの血管が鬱血すると痔(じ)の原因となる。
d 大腸の腸内細菌は、血液凝固や骨へのカルシウム定着に必要なビタミンKを産生している。
a b c d
1 誤 誤 誤 正
2 正 正 正 正
3 誤 正 正 誤
4 正 誤 誤 正
5 誤 正 誤 誤
(答え)1
a× S状結腸に溜まった糞便が直腸へ送られてくると、その刺激に反応して便意が起こります。自分の覚え方は、図をイメージして、結腸(上→横→下)→直腸に行くぐらいで覚えていました。小腸の外側を大腸がくるんでいる感じですね。あと覚えてほしいのは、座薬は直腸で吸収されます。参考までに図を入れておきますね。
b× ここは注意する必要があります。糞便の大半は水分、腸壁の残骸15~ 20%、腸内細菌の死骸10~ 15%、食物のかすは5%なので見た目に騙されないように注意しなければいけません。
c× ここは静脈が網目状になっています。参考までに動脈血と静脈血の違いですが、血液内の酸素の量が異なります。色合いも鮮やかな赤が動脈血、少しどす黒い感じが静脈血になります。
d〇 この通りですね。ビタミンKは血液凝固で使われるので、医療用のワルファリンという抗凝血薬とは併用できないので注意が必要です。なので、抗生剤を使うと腸内細菌を殺す関係上、こういったことも影響するということも視野に入れておくといいと思います。
問24
(問題)
呼吸器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 肺自体に、肺を動かす筋組織があり、自力で膨らんだり縮んだりして呼吸運動が行われている。
b 鼻腔(くう)の入り口(鼻孔)にある鼻毛は、空気中の塵(ちり)、埃(ほこり)等を吸い込まないようにするフィルターの役目を果たしている。
c 喉頭はリンパ組織が集まってできており、気道に侵入してくる細菌、ウイルス等に対する免疫反応が行われる。
d 喉頭から肺へ向かう気道が左右の肺へ分岐するまでの部分を気管といい、そこから肺の中で複数に枝分かれする部分を気管支という。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)
(答え)4
a× 肺は基本的には自力で呼吸しません。例えば、心臓なんかも同じかと思いますが、自然に動いているのを考えていた抱ければわかると思います。もちろん自分でも深呼吸できるといういい方はあるのですが、それは意識的に調整することであって通常は自然に任せているということがわかればいいかなと思います。
b〇 このとおりですね。この埃がかたまったり異物が入ってくると、鼻水などを出して外に出すようになっています。よくすすのある場所にしばらくいて鼻をかむと黒くでたりすることがあるのは鼻毛でキャッチしているからですね。
c× ここは咽頭(いんとう)の間違いです。喉頭(こうとう)は下に図を入れておきます。咽頭の位置を見てもらえればわかりますが、異物が口や鼻から入ってくるので防御線を張らないと異物がどんどん体内に入るのでそういった意味でも場所を覚えるといいかと思います。
d〇 ここはその通りですね。気管支から左右の肺につながります。よく気管支喘息という単語を聞くかと思いますが、咳をすると気管支が腫れて息苦しくなり余計に咳がでるといった感じになります。(気管支喘息の詳細の説明は省きますね。)
問25
(問題)
循環器系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a 血液の循環によって、体内で発生した温熱が体表、肺、四肢の末端等に分配され、全身の温度をある程度均等に保つのに役立っている。
b 静脈にかかる圧力は比較的高いため、血管壁は動脈よりも厚い。
c リンパ管には逆流防止のための弁がなく、リンパ液は双方向に流れている。
d 心臓の内部は4つの空洞に分かれており、心室で血液を集めて心房に送り、心房から血液を拍出する。
a b c d
1 誤 正 正 誤
2 正 誤 誤 誤
3 正 誤 正 誤
4 正 正 誤 正
5 誤 誤 正 正
(答え)2
a〇 この通りですね。血液循環は酸素・体に必要な栄養素・体温調節などのために使われます。よく、熱が高いときに首筋やわきの下、鼠径部(またの部分)を冷やすといいと言われたことはないでしょうか?これは動脈が太いところを狙っているので、そこを冷やせば、血液循環で全体が下がってくるという仕組みになっています。
b× 心臓から全身にいくときにまず動脈を通ります。ポンプの入り口は圧力高いですよね。各組織で血液から酸素を渡すと静脈で心臓に戻ります。そういった意味でも圧力が高いのは動脈なので、動脈の方が血管壁が厚いと覚えればわかりやすいかと思います。
c× リンパ管には、逆流防止のための弁があり、リンパ液は一定の方向に流れ
ています。ほかにも、リンパ節の内部にはリンパ球やマクロファージが密集しているので、リンパ液で運ばれてきた細菌やウイルス等は、ここで免疫反応によって排除されています。参考までに、一説には、がん細胞がリンパ管を通って転移しているという話もあります。
d× これは心房→心室にいき血液を拍出します。図があったほうがわかりやすいかと思います。
よく酸素が多いのが動脈で、少ないのが静脈という方もいますが、これは正しくありません。なぜなら、大動脈(酸素多い)、大静脈(酸素少ない)、肺動脈(酸素少ない)、肺静脈(酸素多い)だからです。さてこの中で一番酸素多いのはどれでしょう?
正解は肺静脈になります。肺で酸素と二酸化炭素を交換するので、酸素をもらってすぐが一番多いからです。
なので、動脈は心臓を中心に考えて、出るのが動脈、入ってくるのが静脈の方が自然かと思います。
覚えるときに参考になれば幸いです。