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平成31年(2019年)度東京都登録販売者試験 試験問題(午前)その6 問26-30

・はじめに

では、少しずつ過去問を解いていきましょう。
流れとして、
問題→解説→ワンポイント(現場で使えるような自分なりの考え方)
を入れて少しでも親しみやすくなれば幸いです。^^

問26

(問題)
 泌尿器系に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 糸球体から1本の尿細管が伸びて、ボウマン嚢(のう)と尿細管とで腎臓の基本的な機能単位(ネフロン)を構成している。
b 副腎は、腎臓の上部に附属し、副腎皮質からはアドレナリンとノルアドレナリンが、副腎髄質からはアルドステロンが産生・分泌される。
c 男性は、加齢とともに前立腺が肥大し、尿道を圧迫して排尿困難等を生じることがある。
d 腎小体では、肝臓でアミノ酸が分解されて生成する尿素など、血液中の老廃物が濾(ろ)過される。
1(a、b) 2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)5
a× 下に図を入れておきます。ボウマン嚢から一本の尿細管が伸びています。糸球体でろ過をしています。
なお、腎小体は、糸球体ボウマン嚢からなります。
b× 下に図を入れておきます。副腎の位置を確認しておくといいと思います。副腎皮質からは副腎皮質ホルモン(アルドステロン)が出ます。これは、水をためる性質(ナトリウムをためる)があるため、血圧に影響します。副腎髄質は、内側にあり、これはアドレナリン、ノルアドレナリンがでます。交感神経を刺激するホルモンですね。
c〇 この通りですね。前立腺が肥大する理由としては男性ホルモンによるものともされています。男性ホルモンは、前立腺や髪の毛に影響するので注意が必要です。ただ女性ホルモンには女性特有の作用があるので、やはりホルモンはバランスが大事と覚えておいた方がいいと思います。
d〇 この通りですね。これはろ過することによって、体の中に再取り込みをします。人間の体は無駄がないように再利用しています。

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問27 

(問題)
目に関する次の記述について、( )の中に入れるべき字句の正しい組合せはどれか。
眼球を上下左右斜めの各方向に向けるため、( a )の眼筋が眼球側面の( b )につながっている。
目を使う作業を続けると、眼筋の疲労のほか、遠近の焦点調節を行っている( c )の疲労や、周期的なまばたきが少なくなって涙液の供給不足等を生じ、目のかすみや充血、痛み等の症状が起こる。
  a  b  c
1 8本 強膜 毛様体
2 6本 網膜 水晶体
3 6本 強膜 毛様体
4 8本 網膜 毛様体
5 8本 強膜 水晶体

(答え)3
a6本  下に図を入れておきます。自分も恥ずかしい話知りませんでしたので、勉強になりました。
b強膜 下に図を入れておきますが、ここで覚えていただきたいのは網膜です。網膜は光を感じる細胞なので、よく、ボクサーなどが網膜剥離で目が見えなくなるという話を聞きますが、眼の奥の網膜がはがれて隙間ができると網膜から視神経へ情報が流れないので見えなくなるという仕組みになっています。
c毛様体 ここで覚えていただきたいのは水晶体です。水晶体はが濁ると白くなり、白内障になります。薬局でもカタリン(ピレノキシン)を販売していますが、水晶体が白くなるのを抑えるお薬になります。カタリンは予防薬のため治す薬ではないことも注意しておく必要があります。

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問28 

(問題)
外皮系に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a メラニン色素は、皮下組織にあるメラニン産生細胞(メラノサイト)で産生され、太陽光に含まれる紫外線から皮膚組織を防護する役割がある。
b 皮脂は、皮膚を潤いのある柔軟な状態に保つとともに、外部からの異物に対する保護膜としての働きがある。
c 角質層は、細胞膜が丈夫な線維性のセラミドでできた板状の角質細胞と、ケラチンを主成分とする細胞間脂質で構成されている。
d 汗腺には、アポクリン腺とエクリン腺の2種類があり、アポクリン腺は手のひらなど毛根がないところも含め全身に分布する。
 a b c d
1 正 正 誤 誤
2 正 誤 誤 正
3 正 誤 正 誤
4 誤 正 正 正
5 誤 正 誤 誤

(答え)5
a× こういったのはひっかけで出やすいのできちんと整理しておくといいですね。表皮の最下層にあります。よくメラニン色素って色素沈着で問題となりますが、日焼けとかで肌が変わると思います。これは人間の体が太陽光に含まれる紫外線を防御するために色が変わります。
ちなみにターンオーバー(皮膚が新しくなる周期)は28日も覚えておくといいと思います。はがれた皮膚はとなります。
b〇 皮脂は防御としても働いています。保湿に大事な役割を示しています。よくアトピーなどの方で、かさついている場合、NMF(自然保湿因子)が不足していたりなどして、肌の保湿が悪いことがあります。ワセリンやヘパリン製剤などを使って保湿します。アトピーは乾燥型・湿潤型などさまざまあるため、注意が必要です。
c× 角質層は、ケラチンでできた角質細胞セラミドを主成分とした細胞間脂質からできています。ここら辺は素直に覚えるしかないですよね。
d× これは、エクリン線の誤りですね。アポクリン腺は、腋腐(わきのした)などの毛根部にあり、匂いの影響がある線ですね。匂いが起こる原因は、ワキにいる常在菌によるものとされているので、匂いがある場合には、抗菌剤やデオドランドスプレーなどを使います。
エクリン腺は、手のひらなど毛根がないところも含め、全身に分布しています。体温調節のための発汗は、全身の皮膚から起こりますが、精神的緊張による発汗は、手のひらや足底、脇の下の皮膚だけに起こります。匂いはしにくいともいわれています。
アポクリン腺はわきを思い出すといいと思います。

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問29

(問題)
骨格系及び筋組織に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 骨の基本構造は、主部となる骨質、骨質表面を覆う骨膜、骨質内部の骨髄、骨の接合部にある関節軟骨の四組織からなる。
2 関節周囲を包む膜(関節膜)の外側には靱(じん)帯があって骨を連結し、関節部を補強している。
3 筋組織は筋細胞と結合組織からできているのに対して、腱(けん)は結合組織のみでできているため、伸縮性が高い。
4 骨格筋は、横紋筋とも呼ばれ、収縮力が強く、自分の意識どおりに動かすことができる随意筋である。
5 平滑筋は、消化管壁、血管壁、膀胱(ぼうこう)等に分布し、比較的弱い力で持続的に収縮する特徴がある。

(答え)3
1〇 この通りですね。骨|よ骨質、骨膜、骨髄、関節軟骨の4組織からなることを覚えておいた方がいいと思います。
2〇 この通りですね。
3× ここでのポイントは、腱は結合組織のみでできており、伸縮性はないというところです。腱は、骨と筋肉(骨格筋)をつないでいるだけなので腱が伸びると逆に筋肉の収縮がしずらいと覚えるとわかりやすいかと思います。
ちなみに筋組織は、筋細胞とそれらをつなぐ結合組織からなり、機能や形態によって骨格筋、平滑筋、心筋に分類されます。平滑筋(内臓)と心筋(心臓)は、不随意筋(自分で自由にコントロールできない筋肉)も覚えておくといいと思います。
4〇 この通りですね。追加で覚えてほしいのが心筋も横紋筋があります。有名な副作用で横紋筋融解症というのがあります。おしっこがコーラ色になったり、節々が痛くなる病気です。覚えておくといいかもしれません。一部のコレステロールの薬でこの副作用が言われます。
5〇 この通りですね。先ほどのコントロールできない筋肉と覚えておくといいですね。

問30 

(問題)脳や神経系の働きに関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 小児では、成人と比較して血液脳関門が未発達であるため、循環血液中に移行した医薬品の成分が脳の組織に到達しにくい。
b 延髄には、心拍数を調節する心臓中枢、呼吸を調節する呼吸中枢がある。
c 末梢神経系のうち体性神経系は、呼吸や血液の循環等のように生命や身体機能の維持のため無意識に働いている機能を担う。
d 脊髄は脊椎の中にあり、脳と末梢の間で刺激を伝えるほか、末梢からの刺激の一部に対して脳を介さずに刺激を返す場合がある。
1(a、c) 2(a、d) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)4
a× 小児は、体が未成熟なので、血液脳関門もまだ未成熟です。そのため、薬が脳の組織に行きやすいです。
豆知識として、小児は、体の水分量が大人よりやや多いので、若干ですが薬が効きずらいともいわれています。ただ、販売している薬は、きちんと試験されて用量設定されているので、用法は守ってもらうほうがいいです。
b〇 この通りですね。この通り延髄は大事な場所ですね。そういう意味ではアントニオ猪木の延髄蹴りは危ないですね(笑)。
c× この文章は、体性神経ではなく自律神経ですね。
ちなみに、末梢神経系は、その機能に着目して、随意運動、知覚等を担う体性神経系と、呼吸や血波の循環のように生命や身体機能の維持のため無意識に働く自律神経系に分類される。
中枢神経:脳+脊髄
末梢神経:体性神経+自律神経(交感神経+副交感神経)
と覚えておくとわかりやすいと思います。
d〇 この通りですね。この文章は脊髄反射の内容になります。熱いものを触ったときに手を引っ込める意識をしないで動く動きですね。

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