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平成31年(2019年)度 東京都登録販売者試験問題( 午後 )その4 問76-80

・はじめに

ひきつづき、少しずつ過去問を解いていきましょう。
流れとして、
問題→解説→ワンポイント(現場で使えるような自分なりの考え方)
を入れて少しでも親しみやすくなれば幸いです。^^

もし、個人講義やある程度の集団勉強会をご希望の方がいらっしゃれば、仕事依頼連絡先からコンタクトください。可能な限りサポートいたします。

問76

(問題)
駆虫薬及びその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 駆除した虫体や腸管内に残留する駆虫成分の排出を促すため、 瀉下(しゃげ)薬であるヒマシ油が併用される。
b 消化管から吸収されたサントニンは主に肝臓で代謝されるが、肝臓病の診断を受けた人では、肝障害を悪化させるおそれがある。
c マクリは、フジマツモ科のマクリの全藻を基原とする生薬で、回虫に痙攣(けいれん)を起こさせる作用を示し、虫体を排便とともに排出させることを目的として用いられる。
d パモ酸ピルビニウムは、アセチルコリン伝達を妨げて、回虫及び蟯虫(ぎょうちゅう)の運動筋を麻痺(まひ)させる作用を示し、虫体を排便とともに排出させることを目的として用 いられる。
1(a、b)2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)3
a× これは×になります。さきほど、ヒマシ油は悪いものを出すときに使うとお話ししましたが例外があります。駆除した虫体や腸管内に残留する駆虫成分の排出を促すため潟下薬が併用されることがあるが、ヒマシ油を使用すると腸管内で駆虫成分が吸収されやすくなり、副作用を生じる危険性が高まるため、ヒマシ油との併用は避けることになっています。パモ酸ピルビニウムがこれに当たります。
一般的に、水溶性と脂溶性に分かれますが、脂溶性の方が吸収がよくなります。そのため、ヒマシ油とパモ酸は脂溶性で効果が上がってしまうと覚えってしまうほうがいいと思います。
ビタミン剤の脂溶性ビタミンが注意するという意味も脂溶性で蓄積性があるため注意が必要になります。
b〇 これはこの通りですね。薬は肝臓で分解もしくは腎臓で排泄されるのが一般的です。そのため、どちらかの臓器に影響があると薬が外に出るのが遅れます。その分だけ薬の効果が上がりますし、臓器にダメージを与える可能性もあることを覚えておくといいですね。
c〇 これはこの通りですね。駆虫薬って正直覚えるしかないから難しいと思います。痙攣をおこして排出します。どちらかというと、空腹時に服用するというところもポイントになると思います。食後に服用すると効果が強く出すぎるので注意ですね。
d× これは×になります。パモ酸ピルピニウムは呼吸や栄養を抑える薬になります。この文章はピペラジンリン酸塩になります。
あと覚えていただきたいのは、ヒマシ油との併用はさけること、おしっこや糞便が赤くなるので事前にお伝えしておく必要があります。
参考ですが、結核の薬(リファンピシン)でも、尿、便、唾液、痰、汗、涙液がリファンピシン及びその代謝物により橙赤色等に着色します。また、ソフトコンタクトレンズが変色することもあります。そのため、現場では事前にお伝えします。シャツなども着色するのでお伝えすることが大事です。なお、なぜこうなるかというのは上記の通り、薬の代謝物が色がついて外に出ているからになります。

問77

(問題)
心臓などの器官や血液に作用する薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
aゴオウは、ウシ科のウシの胆嚢(たんのう)中に生じた結石を基原とする生薬で、強心作用のほか、末梢血管の拡張による血圧降下、興奮を静める等の作用があるとされる。
bシンジュは、ウグイスガイ科のアコヤガイ、シンジュガイ又はクロチョウガイ等の外套(がいとう)膜組成中に病的に形成された顆粒状物質を基原とする生薬で、鎮静作用等を期待して用いられる。
c苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)は、強心作用と尿量増加(利尿)作用により、水毒(漢方の考え方で、体の水分が停滞したり偏在して、その循環が悪いことを意味する。)の排出を促す。
 a b c
1誤 誤 正
2誤 正 正
3正 誤 誤
4正 正 誤
5正 正 正

(答え)4
a〇 この通りですね。牛の胆のう結石も効果があるんですね。牛黄と書きます。
b〇 これはこの通りです。すべてではないのですが、ボレイ(牡蛎)と同じで、鎮静作用があります。生薬的に言うと、一部の海産物は冷やす部類に属します。そこから冷やす→心を鎮める→鎮静みたいに覚えるといいかもしれません。エビなどは逆に温める漢方なので海産物すべてが冷やすというわけではないので注意が必要です。
c× これは誤りになります。尿量増加することにより心臓の負担は軽くなりますが、強心作用はないです。「朮」という感じは水回りをよくする意味もあるのでそういった意味ではイメージがしやすいかと思います。

問78

(問題)
コレステロール及びリポタンパク質に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a コレステロールは水に溶けやすい物質であるため、血液中では血漿(けっしょう)タンパク質と結合したリポタンパク質となって存在する。
b コレステロールは、胆汁酸や副腎皮質ホルモン等の生理活性物質の産生に重要な物質であり、コレステロールの産生及び代謝は、主として膵臓(すいぞう)で行われる。
c 血液中の低密度リポタンパク質(LDL)が多く、高密度リポタンパク質(HDL)が少ないと、心臓病や肥満、動脈硬化症等の生活習慣病につながる危険性が高くなる。
d 血漿(けっしょう)中のリポタンパク質のバランスの乱れは、生活習慣病を生じる以前の段階では自覚症状を伴わないことが多い。
 a b c d
1正 誤 正 正
2正 誤 誤 誤
3誤 正 正 誤
4誤 正 誤 正
5誤 誤 正 正

(答え)5
a× これは読んだ瞬間に×とわかりますね。コレステロールが水に溶けるのであれば血栓なんて置きませんからね。水に溶けにくいので、決勝吐血どうしてリポ蛋白となります。
b× これも×とわかってほしいです。コレステロールの産生及び代謝は、肝臓で行われます。ちなみによく検査値でLDLやHDLという単語が出てくると思いますが、LDLは肝臓から末梢血管へ運ぶリポ蛋白(これが血栓を起こす)、HDLは逆で末梢血管から肝臓へ運ぶリポ蛋白になります。なのでLDLは低いほうがよく、HDLは高いほうが血栓になりにくくなります。
よく、コレステロールは悪というイメージを持たれている方が多いと思いますが、ちがいます。コレステロールは細胞の一部としても存在しますし、ステロイドなどのホルモン、胆汁の生成など実は必要な物質なのです。問題は過剰であることなので注意が必要かと思います。
c〇 これは〇になります。上に解説を書いてしまったため省略します。参考までに、高脂血症(脂質異常症)として言われるのは、検査値として、LDLが140mg/dL以上、HDLが40mg/dL未満、中性脂肪が150mg/dL以上のいずれかである状態をいいます。
d〇 これはこの通りですね。生活習慣病(高血圧、高脂血症、糖尿病)は、自覚症状を伴わないため、気が付いたら進んでいることが多いです。そのために健診をしっかり行ったり、気になったら早めに受診を行うことが予後をよくするためにも大事になります。

問79

(問題)
高コレステロール改善薬及びその配合成分に関する次の記述の正誤について、正しい組合せはどれか。
a高コレステロール改善薬は、ウエスト周囲径(腹囲)を減少させるなどの 痩身(そうしん)効果を目的とする医薬品ではない。
bリボフラビンの摂取によって尿が黄色くなった場合は、使用を中止する必要がある。
cビタミンEは、コレステロールの生合成抑制と排泄(はいせつ)・異化促進作用、過酸化脂質分解作用を有すると言われている。
dリノール酸は、腸管におけるコレステロールの吸収を抑える効果を期待して用いられる。
 a b c d
1正 正 誤 正
2誤 正 正 誤
3正 誤 正 正
4誤 誤 正 正
5正 誤 誤 誤

(答え)5
a〇 この通りですね。ダイエットできるなら服用したいですね・・・。基本的には食事・運動療法してダメな場合に薬物療法になります。そんな簡単にできるのなら苦労しないのですが・・・・。
b× これは明らかに×です。リボフラビンを服用するとおしっこが黄色くなります。よく、ドリンク剤を飲むとおしっこが少し匂って黄色くなるのはこのせいです。
参考までに、リボフラビンが変化をしておしっこから出るときにはルミフラビンに代わりこれが黄色になります。
c× これは誤りです。ビタミンEは、コレステロールからの過酸化脂質の生成を抑制、末梢血管における血行を促進します。この文章はビタミンB2になります。ビタミンEで覚えてほしいのは抗酸化物質であることと血行促進をすることですね。
参考までに、冬場のあかぎれなどでユベラ軟膏などが使われます。あとは手の冷えなどで内服でもビタミンEを使うことがあるのでイメージできれば幸いです。
d× これは誤りです。リノール酸は肝臓におけるコレステロールの代謝を促進します。覚えるの大変ですが・・・・。

問80

(問題)
貧血用薬及びその配合成分に関する次の記述のうち、正しいものの組合せはどれか。
a 鉄製剤は、服用の前後30分にコーヒーを飲むと、鉄の吸収が悪くなることがある。
b 葉酸は、消化管内で鉄が吸収されやすい状態に保つことを目的として配合されている。
c コバルトは、赤血球ができる過程で必要不可欠なビタミンB12の構成成分であり、硫酸コバルトは、骨髄での造血機能を高める目的で配合されている。
d 鉄欠乏性貧血を予防するため、貧血の症状がみられる以前から継続的に鉄製剤を使用することが適当である。
1(a、b)2(a、c) 3(b、c) 4(b、d) 5(c、d)

(答え)2
a〇 これはこの通りですね。タンニン酸と結合すると吸収が落ちます。コーヒーやお茶(緑茶)などですね。鉄製剤は、鉄欠乏性貧血には効果がありますが、他には効果がありません。あとは鉄分の多い食べ物をとるなどがあります。マグロの赤身、レバー、ホウレンソウなどですね。もちろん鉄製剤なので、便が黒くなることや胃のむかつきがでることがあるので、事前にお話をしておくといいですね。
参考までに逆に、ビタミンCと一緒に飲むと効果が上がるといわれています。
b× 葉酸は正常な赤血球の形成のために使われます。貧血は様々な種類があり、それに応じた治療方法があります。興味があれば調べてみるといいですね。
c〇 これは〇なんです。難しいですよね・・・。。コバルトは、骨髄での造血機能を高めます。こういった元素を微量元素と言います。亜鉛、クロムや銅などですね。コバルトでほかに覚えていただきたいのは、ビタミンB12の構成成分ということも実はテストによく出てきます。
d× これは×ですね。貧血には先ほど話した通り、様々な形があるので貧血=鉄欠乏性貧血ではありません。また、赤血球を作りすぎれば、血液内のバランスが悪くなります。血液にはほかにも白血球や血小板などがあり、増えすぎれば造血障害と言われます。
参考までに赤血球を測る指標は赤血球数(RBC)、ヘマトクリット値(Ht)ヘモグロビン量(Hb)とがあります。舌に記載しておきます。ヘマトクリット値はおじさんの年齢、ヘモグロビンは、中学生の年齢ぐらいと自分は覚えています。(笑)
赤血球数(RBC)
 男 : 4.27~5.70(×106/μl)
 女 : 3.76~5.00(×106/μl)
ヘマトクリット値(Ht)
 男 : 39.8~51.8(%)
 女 : 33.4~44.9(%)
血色素(ヘモグロビン)量(Hb)
 男 : 13.5~17.6(g/dl)
 女 : 11.3~15.2(g/dl)

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