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あなたならどっち? 処方箋なしの緊急避妊薬の一般購入 賛成?反対?

・はじめに

最近、緊急避妊薬の記事を見かけるようになった。自分が調剤薬局で働き始めた時には低用量ピルもなく、処方箋薬をアフターピル(緊急避妊薬)として使用している時代だった。婦人科のある総合病院前で働いていたので様々な患者さんを見させていただき、いい機会なので何か参考になればと思いこの記事を書こうと思いました。

・服薬指導時

まず初めに言うとすると、自分はもちろん男なので、あまり婦人科疾患の薬を服薬指導するのは得意とは到底言えませんでした。
婦人科の薬は、実はすごく難しい。
なぜなら、処方箋には薬名しか書いていないため、それを元に、患者さんの状態を見て、薬の説明を変えなければならないからです。もちろん、来局・来院の理由をお聞き(オープン・クローズクエッション イエスノークエッションの使い分け)してから説明をしますが、言いたくない患者さんもたくさんいて実に多くの恥ずかしい思いもしてきました。
例えば、葛根湯が出ていた場合、多くは妊娠後期だとPL顆粒が使えないこともあるので葛根湯を風邪で出すこともありますが、それ以外にも乳腺炎であったり、肩こりであったり幅広い。風邪と言って違うといわれることも多々ありまずいと思いながら言いなおした思い出が実に懐かしい(笑)。
他にもよくあったのが、メテルギンとウテメリンの処方間違い・・・(ふつうあり得ないと思うのですが・・・・)。医師も過酷労働下の中、外来も見ているため、薬名の間違いも多々あり・・・。服薬指導時に気が付いて問い合わせて変更などもざらでした。
ここでお話ししたいこととして、情報がなければ、服薬指導できないということです。

・緊急避妊薬

ノルレボが販売される前には、ドオルトンなどで代用されていました。ワンデーピルとも呼んでいた記憶がある。用法も1回2錠 2回になっていて自費であった瞬間にこの使い方だと自動的にわかる薬でした。
何回かこの処方の服薬指導をさせていただきましたが、その時にはあまり症状を聞かずに、医師からの説明があればその通りに、ホルモン剤なので吐き気を催すことだけ伝えていたと思います。
それから、低用量ピルが登場して、経口避妊薬として市場には出てきましたが、実際には月経不順で低用量で使いたい患者さんに処方されているケースが多く、避妊で使われる人はあまりいなかった記憶があります。(医療機関によってケースが変わるので一概にもいえない)
もちろん女性ホルモン剤の副作用として、女性化作用、吐き気、月経不順、出血過多など様々な副作用があることについては誰もが理解されていると思います。

・自分のつたない経験から・・・・

この記事を見た時に、自分が接した3つの症例がいつも思い出します。
1つ目は、薬局の端で彼氏と彼女でずーっと泣きあっていた事例がありました。出ていた薬は子宮収縮薬のみ。あとで知ったのですが、アウスしていたということが分かりました。(興味ある人は後で調べてみてください)
望んだ妊娠だったのか、それとも望んでない妊娠で仕方なく対応されたのか、死産で対応されたのか様々な要因があるので、理由はわかりませんが、自分の中では、いまだに思い出される切ないシーンの一つです。もちろん自分が何ができるわけではないのは理解してますが、男として何ができるのだろうということはしばらく考えていた思い出があります。

2つ目は、毎年緊急避妊薬をもらいに来る高校生の事例がありました。薬歴を見れば、いつ頃薬をもらっているということはすぐにわかります。副作用・アレルギー歴、処方間隔など幅広く見なければ投薬することはもちろんできません。
そのころにはノルレボも出ていましたが、自費だとすごく高いのです。その代わり一回で済む。上記の2回バージョンは安いけど2回飲む必要があります。しかも12時間おきのため、夕方飲むと明け方や夜中に服用しなくてはならないのでディメリットも多い。
高校生だからもちろんお金もなく、親にも言えないだろうから安い薬を使わざるを得ない状況だったと思います(推測ですが・・・)。服用することに患者さんは慣れていたので普通にお渡ししましたが、女性の薬剤師からは毎年もらっているということに憤慨されていて、そういったのはなぜか自分に押し付けられました。
その時に思ったのは、いろんな事情で避妊を失敗するケースがあるけどそれでも病院の開いている時間帯に来院し、医師に説明をし、処方箋をもらい、薬局で説明を受けて初めて服用できるというのもどうなんだろうと常々思っていました。
(もちろん手軽に手に入って服用できれば、避妊をしないということはおかしいことは理解しています。)

3つ目は、2の逆ケースで、ノルレボを希望されているのにお渡しできなかったケースがあったことです。普段からそんなにでなかったので普段から1個だけ取り置きしていたのですが、その日に限って2回出てしまったためすぐにお渡しできなかったケースです。もちろん近隣にもなく、土曜日だったため卸さんに急配もかける時間も過ぎていたため対応できず、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
ノルレボを選ぶケースとしては1回で済むことや2回服用より避妊確率が上がるということも決め手だったのですが、薬局の在庫も厳しく言われていたため、いかに効率よく在庫をすることが大事だったため欠品をしました。
不動在庫が増えれば、廃棄や在庫圧迫もあり経営に影響することは当然なのですが、近隣もなく、患者さんに対応できないことについて無力を感じました。

・結果

自分としては、一般で販売することに賛成です。それは上記の苦い経験があったこともあります。それ以外にも、欧米ではバイアスピリンなども普通に販売されており、日本は、医師に診察してから薬をもらうという部分は少し規制緩和が必要かと思います。緊急避妊薬はどちらかというと若年層になるので、基礎疾患もそれほどないと思いますし、リスクばかり言っていて、時間がたつ方が妊娠のリスクが上がるので自分は一般でも手に入る方に賛成なのです。
ただし、すべてが賛成ではありません。医師にかかる条件を付ける必要があると思います。現在、ニコチン系薬剤であったり、EPA製剤もアンケートで合格の人だけお譲りしているかと思います。このようなフローチャート形式であれば、受診しなくてはいけない方をフィルタリングできるので、有効であると思います。その代わり、受診が必要な方が出た際には24時間でも対応できる病院などですぐに受診して服用できるような体制に整えてほしいです。受診必要な場合には、オンラインで医師と話をしてから販売するなどすれば対応できるので仕組みで対応できるよう調整してほしいと強く思います。

望まない妊娠をするケースはたくさんあると思います。そういった場合に、いち早く対応できたらいいなと常々思っていました。ケースはここには記載しませんが、そういった場合にも寄り添えて対応できる薬剤師は、自分はかっこいいし、そういったカリスマのある薬剤師になりたいと思っていました。もちろん、必要に応じて受診勧告をすることも大事だと思います。

能力のある薬剤師が現場で働いていただき、周りの住民からも、頼られる薬剤師が一人でも多くいることを期待してこのトピックを締めたいと思います。

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