エンターテインメント

願わくばこの公演が、観られる方にとって。
紅茶のように、チョコレートのように、あるいは素晴らしい景色を見るときのように。
なくても別に困らない。でも思い返すことがあったらちょっと素敵な気持ちになれる。
そんな、人生を豊かにするエンターテイメントでありますように。


毎回、主催挨拶などで書かせていただいているフレーズです。
娯楽は、人が生命活動を維持するのに不要不急で必須のものではありません。
お芝居を見るのが好きな方に、「これがあるから頑張れる」と言われるのは嬉しくも誇らしいですが だからと言って「人を幸せにするためだけに頑張ってるんだ!」と100%胸を張って言える表現者がどれだけいるのか、とも思います。

エンタメは第三次産業だから、余裕がないと成り立ちません。
だから僕らは、エンタメで「世の中を豊かにしなければいけない」
 
とも、常々言い続けています。

世の中を豊かにするために、僕らは何が出来るのか。
その答えが簡単に出るようなら、こんなにいろいろなものが混乱はしていないのでしょうが、そのことは一生考え続けていかないといけないものだと思っています。

いつの時代も、完璧に理想の社会なんて存在しない。
その時、その時代を生きている人間が頑張って歪みと向き合っていけばいい。
歪みや間違いと戦うのは、今度は俺たちの仕事なんだ。


作中のセリフです。図らず、ちょっと似た世情となってしまいました。
ただ、こういった状況の時に、ふと台詞が自分の中に還ってくる、というのは「舞台が自分の中に生きているんだな」と感じて、エンターテインメントの力を信じられる自信になります。

エンターテインメントはクリエイターとユーザー、どちらかだけでは成り立ちません。一つの環の中の中にある共同体。

何かと向き合う、というのは 声を上げたり、行動することだけではありません。自分が大事と思えるものについて、真剣に考える機会を持つことだと思っています。

僕らはいま、「エンターテインメント」というものに向き合うチャンスを与えられました。(あえて、チャンスと称します。)

お芝居が好き。
ライブが好き。
アニメが好き。
アイドルが好き。

それぞれの「好き」が、生き甲斐で毎日頑張れている。
そんな、広義の同志たちがそれぞれ考えて、その想いのもとに日々を過ごしていたら、世界はちょっとだけ豊かになるんじゃないかな、と思っています。

夢物語かもですが、エンタメやってる人間が夢や理想を持たなくてどうするのかって話ですよ。
みんなで、幸せになりましょう。
そのために、地に足付けて、できることを頑張って行きましょう。

これはあくまでこのテキスト書いている人間の個人的な想いですが、一人にでも。ほんの少しでも共感をいただけたら、その分だけ世の中豊かになるな。と思います。

キャストと一緒に、制作陣一同も公演を安全に運営できるよう努めて参ります!