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横目で見るあなたの顔に胸の高鳴りを覚えた

「肝心なのは愛じゃなくてその愛を伝えるための表現方法なのよ」
彼女は吐き捨てる様にそう言い3杯目のハイボールを注文した。彼女がハイボール以外の飲み物を飲んでいるところを見たことがない。もっとも、彼女と僕が会うときは必ず酒の席というせいでもあるのだが。
街は既に夏の亡骸を鎮めるような冷ややかな風が吹き、街路樹は一斉にに色づき始めていて、寂しい季節だ。
「どれだけ愛を持っていてもそれが相手に伝わらなければなんの意味もない、ゴミ以下なの。たんまり持ってる金を全く使わないバカと同じ、というよりその金の使い道すら知らない。そういう男が多すぎるの。」
言うまでもなく彼女は控えめにいって美しすぎるのだ。故に多数の男性からアプローチを幾度となく受けてきたが彼女はそれらを満遍なく切り捨てていた。それでも、いい男性の1人や2人いたんじゃないんですか?と僕が聞くと、彼女は「自分の価値を下げてまで関わりたいような男はいなかったわ」と答えた。

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