私は哲学がすごく嫌い

大学は文学部の哲学科を卒業した。違う大学の法学部にも合格しており、そちらの方がこう、よりよい(世間的には)とされているところだったけれど「哲学の方が楽しそうじゃない?」と、ただそれだけのために哲学科に進学した。

今振り返ると私は大学の4年の間に一度だって哲学をやっていない。哲学史の勉強はしたしある程度必要な本は読んだ。だけど自分で哲学はやっていない。1年生1学期はじめてのゼミで先生が「僕は君たちに哲学を教えることはできません、自分でやってください」と言っていた意味が今ならわかる。当時もわかっていたけれど、たぶん、真に理解してはいなかった。

私にとって哲学はものすごく微妙な立ち位置にある。好きかと聞かれたら「あんなものは大嫌いだ」と答えるし、「じゃあ哲学に今後一切触れずに生きていったらいいじゃないか」と言われたらそれはそれでおそらく無理である。役に立たないことをむしろ誇っているような哲学がわたしにだけ役に立つなんてことはなくて、むしろ最高に無駄で、それなのに、それだからこそ必要である。

「やろう!」と思って腰を据えてやるものではなくて、気が付いたらいつのまにかやってしまっているものである。きょうの夕食はどうしようかと考えるのと同じで、ふと気付いたらそういえばなんで生きてるんだっけ、「ちゃんと」生きるってなんだっけと立ち止まっている。そういう時、大学生の頃勉強したことが役に立つこともあればちっとも役に立たないこともある。

嫌いなものにいつのまにか浸ってしまっているのは不快である。不快だ。哲学は本当に嫌いだ。やって、ろくな結果になった試しがない。人生に1ミリだって役に立たない。だけど生きる上でどうも必要らしい。

はーやだやだ。

今日のナイスな曲
一柳隊「OVERFLOW」

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