コーヒーは淹れないので冷めない

22時半くらいに起きた。それから今まで何をしていたかと言えば対象は存在しないがとにかく恐怖感がものすごくてソファに座ったまま一歩も動けないので怖さを紛らわせるために延々と音ゲーをやっていた。たまにこういう日がある。なんなら幽霊とかいてくれた方が助かる。恐怖の対象が固定されるので。ただ無闇にものすごく怖いという感情は不安とも焦りとも違くて、身体的な感覚に近い。腹を守らなければ死ぬし(だからずっと大きめのぬいぐるみをいくつも抱えてゲームをしていた)、背中側は何がいるのか視覚的に確認できず無防備なのでなにかで塞がなければならないと思う。腹と背がずっとひんやりしていて「このままじゃ殺されるぞ!」という警報を出し続けるので脳がそれに引っ張られて「怖い!!!」と感じる。こういう時にホラーゲームをやるなりホラー小説を読むなりすると恐怖の対象が固定されるので逆に安心する。私が怖いのはこれだったのかと信じられる。

さっきホラー小説を読んで少し怖さを味わったおかげで怖さが薄れて(訳のわからん文章だ)、おかげで夜の散歩に出ることができている。夜はいい、人が少ないし暗いから安全だ。誰にも見つからないし、夜中に出歩いている人はなんかこう焦っている様子がなくて自分の世界に多く感覚を払っている感じがするつまり私を気にせずにいてくれる感じがする。だから怖くない。「人が怖い」の気持ちが限界を超えた状態が「わけもわからんとにかく怖い」なのかもしれない。今日は人間のことが心の底から怖い日だった。そういう日もある。たぶん今週いつもより多めに人間と会ったのがよくなかったんだろうと思う。無理するのはよくないね。

今は首元をマフラーで覆って、背を丸めて腹を守って、それでようやく歩けている。散歩はいい、特に今日は寒いから散歩にいい。暖かい季節が嫌いだから、寒いうちにたくさん寒いを享受しておきたい。寒いと指先が冷たくなって、その鋭さがいい。暑さはもっと下品で、口と鼻を柔らかな大きなもので塞いでくるような圧迫感がある。これから春になる、いやもうすでに春である。嫌だなあ。いつか、世界中の冬を追いかけて転々とする生活をしたい。一箇所にいたくないので、ずっと寒い場所にいたいわけでもない。春になりかけたら次の国に行く。いい生活だ。想像するだけで嬉しくなる。

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