【マンガ】僕的このマンガが面白かったです2021

2021年ももうすぐおしまいですね!

今日は今年読んだ(≠発売された)なかで面白かったマンガを紹介していこうかなと思います。

では、ドーーーン↓↓↓

潜熱(野田彩子)

コンビニバイトの女子大生が、客として来たヤクザの組長と恋愛する話。
なんかこう、割と可愛いけど地味〜で世間知らずな子が何かのきっかけで危ない男にハマる、みたいなのが嫌にリアルで怖い。

もうね、ヤクザのおっさんがホントにどうしようもないくらいヤクザなんですよ。
例えばファブルとかのヤクザって割と可愛げあるじゃないですか。
このマンガのおっさんはね、もう金と暴力とで、自分の息子はボコボコにするわ、部下は灰皿でぶん殴るわ、何も可愛くないです。
でもそうだよなぁヤクザってさぁ、と思いますし、そう描いてほしいとも思います。
その意味でおっさんはヤクザらしいヤクザで満足。

ところでこういう周りを不幸にする道ならぬ恋というのは、恋以外が全て破滅しなければならない、と僕は思います。少なくとも物語の上では。
人の道を外れた先に、人並みの幸せなんか無いです。
そして全てを失ってなお愛に生きるのであれば、爛れた関係は純愛に昇華するのです。

全く共感できないし「馬鹿野郎!」と思うんですが、それでも美しい物語でした。


はたらくすすむ(安堂ミキオ)

妻を亡くして定年退職したおじさんが風俗店(ピンサロ)のボーイとして働く話。

真面目一辺倒で生きてきたおじさんが風俗店でやっていけるのか? 悲惨じゃね?
と思いきや、誠実で素朴な人柄と会社員生活で培った能力で信頼を得てなんだかんだやっていく話です。

ピンサロとか全然行きたいと思わないんですが「あー、そういう仕組みなのね」というのが面白いです。
あと「ハードな職場だなぁ」とか「みんな一生懸命働いてんだなぁ」とか。

冴えないおじさんがピンサロで働く話ではあるのですが、仕事一辺倒で家族をかえりみなかったことへの反省が裏テーマ的な感じ。

ちなみに作者は女性で風俗で働いたことはないそうです。
それもあってなのか、風俗店が舞台ではあるんですがネチネチしたいやらしさがないので読みやすいです。


宙に参る(肋骨凹助)

夫の墓参りに向かう伝説級(ウィザード級)のハッカーの話。

SFなんですが雰囲気自体は緩いので気張らず読めます。
なのですが作中で使われている技術の説明は地に足がついていて、ある程度知識があれば大体理解できます。
おそらく作者は電子工学か情報工学をちゃんと勉強した人なんだろうなーという感じ。
技術の話はスパイス程度なので知識がなくても楽しめます! 当然!

あと主人公が連れている宙二郎というロボットがかわいい。
的確にツッコミを入れてくれるので、かわいい(二度目)

かわいいロボットを愛でたい人と、ハッカーである主人公の活躍を見て「んほぉースゲェ」したい人の両方にオススメです!


レッツゴー怪奇組(ビュー)

ホラーっぽい表紙と見せかけてギャグです!
妖怪の元締めなのに人を怖がらせるのが苦手な怪奇組組長 メチャ子と、異常に怖がりな男子高校生が何か色々する話。

男子高校生の怖がり方とツッコミの勢いがすごい。

「出るってよもやお化けが?
いや違う!
だってお化けはいないから!
いないものは出ないから!
出ると言ったらウンコに決まってる
つまり俺がウンコを出せばもう何も出ない!
全てのつじつまが合った!」

どうだこのスピード感!


東京卍リベンジャーズ

僕は虫も殺せないような性格をしてるんですが、割とヤンキーモノが好きだったりします。

このマンガはまぁとにかくファッションセンスがいいなーと。
敵も味方もみんなキャラ立ってて楽しいです。
あと昨日の敵は今日の友みたいな、倒した敵が徐々に仲間になる的展開もアツい。
主人公たちは昭和62年〜平成2年生まれくらいなんですが、その世代が思春期の頃って暴走族よりもカラーギャングが目立ってませんでしたっけ?
まぁ暴走族の方が汎用性高いからいいや。
今カラギャンとかいうとちょっと時代感出ますからね。

しかし中学生の喧嘩で人死にが出るとかどないなっとんねん、と。
抗争中に登場人物の一人が自分で腹突いて死んでしまうんですが、お前「留年したらお袋が悲しむ」とか言うてなかったか?
死んだら悲しむどころの騒ぎじゃねぇぞ?

あと今やってる高校生編(三天編)は引き延ばし感あって好きじゃないです。
あそこで終わっておけば綺麗だったのに……!
人気の絶頂で終わった鬼滅の刃を見習っていただきたい!


ダブル(野田彩子)

台本が読めない(多分発達障害・失読症)けど天才的な演技をする多家良と、ほとんど手足みたいになって彼を支える友仁。

潜熱の野田彩子先生の最新作なんですが、いやぁ、天才!

読んでてとにかく感じるのは熱!
多家良がどれだけ天才で、彼に友仁がどれだけ不可欠な存在なのか。

多家良は台本が読めません。
なので友仁が台本を読み込み、多家良と読み合わせをして演技の肉付けをしていきます。
多家良が天才なのは、その役のキャラクターがどういう育ちをしてどういう暮らしをしているのかを、ものすごく細かく想像して役に入り込んでしまうこと。
いわゆる憑依型の役者?

それに加えてストーリーに周囲の想いとか熱意とか狂気とか焦りとかがどんどん流れ込んできて、さらに多家良が業界に見出されていく過程が爽快です。


ふしぎの国のバード(佐々大河)

明治時代に日本を旅したイギリスの探検家、イザベラ・バードの話です。

江戸から日光、新潟、山形、青森を経由して蝦夷地へ旅行します。
維新から10年が経過して外国人もかなり増えてきている時代ではありましたが、鉄道は運用開始したばかり路線も全然通っておらず、主な交通手段は馬と人力車でした。

さらにバードは日本人でもほとんど使わない会津道(あいづどう)というルートを選択します。

作中でも

『伝え聞く所によると 会津道は「街道」というよりもむしろ 「踏み均した小径(こみち)」であり 日本人にもあまり知られていないようである』

と言及されています。要するに超ハードルートです。

旅人で賑わうルートを敢えて避けることで、バードは日本の寒村の生の暮らしに直面します。
ノミとシラミにまみれた宿、雨漏り、住人のほとんどが皮膚病を患う村。
それは現代の日本人から見ても全く異国の環境ではないでしょうか。

また作中には欧米人が多数登場しますが、皆日本を「文化程度の低い野蛮な列島国」と見ています。
しかしバードは偏見を捨てて素直な気持ちで、積極的に日本文化を味わおうとします。

是非イザベラ・バードと一緒に明治初期の日本を旅してみませんか?


おとなりに銀河(雨隠ギド)

マンガ家がアシスタントの女性となんやかんやで恋愛する話。
しかもその女性は宇宙人の血を引いていて……。

という設定だけだとドタバタ恋愛ハーレムモノか?みたいに思えますが、ハーレム要素は基本的にありません。主人公2人の誠実な話がずっと続きます。
あとは宇宙人といいつつ、SF要素もあまり無いです。
重要な小道具として出てくるは出てくるんですが、あくまで恋愛のハードルの一部みたいな感じです。

この作品の良いところは、とにかく作中の人間関係が暖かいこと。
主人公のマンガ家は両親を亡くして、幼い妹弟を男手ひとつで育てているのですが、家族の関係性が重くなりすぎず描かれています。
さらに主人公が丁寧に関係を構築していく様がいいなぁと。

これからも静かに見守っていきたい作品です。


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