見出し画像

「ぶらっと下町日和」終わりました

 5月3~5日に米子下町を舞台に開催した「ぶらっと下町日和」は「よなごまちジャズプロジェクト」としては初めて複数の団体と連携した実行委を組織して開催したイベントとなりました。今回連携させていただいたのは「夢蔵プロジェクト」「日の出湯元気ふろジェクト」「米子観光まちづくり公社」「米子市文化財団」の4団体、法人さん。もともとは「まちジャズ」ライブによく来ていただいていた「日の出湯」さんと「何か地域活性のためにできたらいいね」という漠然とした感じで話がスタートし、「市町の魅力を発信」という何となく方向性が決まってきたところ、市文化財団さんや米子観光まちづくり公社さん、夢蔵さんを巻き込んで下町イベントに発展していったという経緯を辿りました。

 「日の出湯」さんとんとの話が昨年11月。今年3月の全体会議で具体的な内容を提案して、3月下旬に実行委の方でイベント内容を確定させ、チラシ、ポスターの制作、チラシのポスティングなど、手作業で進めて行きました。個人的には、身の丈に合ったイベントであったと思いますし、複数の団体と連携する意味やノウハウをうっすらと認識できた点がとても有意義でした。各団体がそれぞれできることを最大限実践した、という感じでしょうか。確かな手応えを感じたという意味で、今後の活動を考える上で非常に大きな成果が得られたと思います。

 「よなごまちジャズプロジェクト」は「ジャズを活用したまちづくり」が重要なコンセプトとなっています。そのあたりは結構かたくなに貫いていて、ジャズ演奏をコンテンツの一つとして捉えているというイメージです。私たちはセッションなどを通して普段はジャズを楽しんでいますが、やはりジャズになじみのない方にもジャズの魅力を伝えていきたいという気持ちがあります。どうせなら米子の街もジャズが流れる街にしたい、微力ながら街のにぎわいづくりに貢献できれば、と思い、ではどうすれば「潜在ジャズファン」を掘り起こし、新たなジャズファンを増やしていくかに腐心してきました。例えば、MCの重要性の認識です。

 以前、温泉旅館でジャズ演奏をすることがありまして、そういう場のお客さまは多くの場合ジャズに全く興味のない人なんですね。風呂上がり、寝るまでの空いた時間にたまたま会場に立ち寄ったというお客さま。そうした人たちに対しては、ジャズの話を語ってもしらけるだけ、ということを身をもって学びました。そこで何をネタにするかといえば、米子や山陰の観光の話題なのです。「あそこがいい」「穴場はここ」とか。まずはそうした話をした上で、観光ネタを徐々にジャズに結び付けていく。あとは年齢層に応じた日本史の時代背景の話だとか、映画の話だとか、まったくジャズとは無関係の話から次第にジャズにフォーカスしていく話の流れを学びました。演奏と同様に僕が力を入れているのがMCです。

「よなごまちジャズプロジェクト」は昨年9月から計7回とハイペースでイベントを開催してきました。その原動力となっているのが「まちLove」の思想です。近年、地方都市ではモータリゼーションの進展などで中心市街地が空洞化する「ドーナツ化現象」があちこちで頻出していました。実際に米子市中心市街地の高齢化率も郡部と変わらない状況になっています。一方で、人口減少を見据えた「コンパクトシティー」の発想。都市の中心部に公的機関を集約し、都市機能の効率化を目指すという動きが近年は活発化しています。しかし、いくら行政が「コンパクトシティー」を唱えたところで覆水盆になかなか返らずで、なぜならば、郊外に居住しやすいように、都市機能がそうなっているからです。

 当たり前といえばそうなのですが、一足飛びにコンパクトシティーと言ってもそれは無理がある。では、どうすべきか。まずは中心市街地に訪れてもらうことが重要だと考えています。人が集まる拠点をつくる。やがて複数の拠点が線でつながれて、面になるという発想です。これもいささか理想論的ではありますが、「点」をつくることが重要であるのは間違いありません。僕たちがジャズで「点」をつくることができるのか。一つの挑戦として始めたのが「よなごまちジャズプロジェクト」の取り組みです。「まちLove」と「ジャズLove」の相乗効果で「点」をつくることができないか。「線」にするのは後の話で結果論だと思います。
 今回の「ぶらっと下町日和」は、そうした「点」をつくっている団体、法人が連携して「線」にしていこうじゃないか、という取り組みだったのです。その意味で、僕たちにとっては明らかにステップアップとなった訳ですし、学ぶべきことが多くありました。「ぶらっと」をさらに発展させて点と点を線でつなぎ面としていくよう、ブラッシュアップしていきたいと思っています。

 「ぶらっと下町日和」は各団体さんのイベントが盛況に終わったことが何よりです。1団体でやるより複数の団体が絡んだことによる相乗効果は確実にあったと思っています。第2段「ぶらっと下町日和」。早くも次の構想が飛び交っています。ご期待ください。運営に携わった関係者の皆さま、各会場にご来場いただいたお客さま、本当にありがとうございました。感謝の言葉しかありません。


架空の施設「加茂川倉庫」で開催されたジャズライブ
築約200年の開運倉庫が大勢のお客さまでにぎわった
重厚な内部構造がジャズと良く合っていました
旧特定郵便局をリノベーションした「YORAIYA角盤」。ジャズも合う空間です


ミントグリーンの「YORAIYA角盤」。右側には「よなごまちジャズプロジェクト」ののぼり旗が

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?