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韓国の激せま物件「コシウォン」に2回住んでわかった、なんだか憎めない魅力

韓国ドラマが好きな人の中には「コシウォン」という言葉を聞いたことがある人もいるでしょう。コシウォンとは、韓国生活経験者の多くが一度は住む「激安・激せま物件」のことです。

今回は、コシウォンという韓国独特な住まいについて、筆者の体験を交えながら詳しく紹介していきます。


コシウォンの歴史

コシウォンは漢字で「考試院」と表現されるように、もともと韓国の受験生向けのショートステイ施設として発展してきました。試験を控える学生たちが勉学に打ち込むために作られた、安くて最低限の家具が揃った、いわゆる「韓国版レオパレス」のような住まいです。

現在では、受験生だけでなく、出張者や海外留学生などの気軽な住まいとしての役割を果たしています。

コシウォンの狭さと家賃

筆者が実際に住んだコシウォン(50万W)

コシウォンの広さは、ランクにもよるものの一番安い部屋だと2畳ほど。ベッドとデスクがぎりぎり収まるほどのサイズなので、ラジオ体操を元気いっぱいにした日には腕がもぎ取れます。

もともと部屋に備え付けられているのは、最低限の家具家電。

  • ベッド

  • 机・イス

  • 冷蔵庫

  • 最低限の収納スペース

  • シャワー室兼トイレ

キッチンや洗濯機は共用スペースにあり、住民でシェアします。
ここまで聞くと「シェアハウスみたいなものかな?」と考える人もいそうですが、どちらかというと「キッチンと洗濯機が共有のアパート」のほうが近いです。コシウォンは個室がメインでプライバシーが保たれやすい一方で、住民が談笑できるような共用スペースはありません。

個室の中から外まで、最低限でミニマルな造りになっています。

最低限の家具が置いてある

こんなに狭いのに、なぜ2回も住んでしまったのか

筆者は韓国生活の3回の引っ越しの中、2回コシウォンに住んでいます。正直、日本の田舎で悠々8畳のアパート暮らしを経験した私にとって、その1/4サイズであるコシウォンでの生活は快適とはいいがたいものでした。

しかし、狭い部屋ながらも、コシウォンにはプライバシーが守られる魅力があります。筆者はミニマリストでもあるため、必要最低限の持ち物で生活できるシンプルさも心地よいものでした。

あとは、何度もコシウォンに引き戻されてしまう理由は、便利な場所に低価格で住めること。東京でいう渋谷や銀座から徒歩圏内にあるコシウォンもあるため、夜まで遊んでも徒歩で帰れてしまいます。

安すぎるがゆえ、こんなことが起こる

足の踏み場はこれしかない

激せまだけど安くて便利なコシウォンですが、安価なゆえトラブル(?)が起こることも。部屋の壁が薄いコシウォンも多く、隣の住人の声が丸聞こえになることもしばしばです。

筆者は、隣人がうるさすぎてオーナーに注意するようメッセージを送ったことがありました。すると、メッセージを送った数秒後、隣の部屋からスマホのバイブ音が聞こえました。おそらく、オーナーがすかさず隣人に注意のメールを送ったのでしょう。その瞬間隣人は静かになり、平和と秩序が保たれるように。

スマホのバイブ音まで聞こえるほど壁が薄いということと、韓国の「はやくはやく文化」を一度に体験できた出来事でした。

これさえ気をつければ大丈夫

コシウォンは「次の家を見つけるまでの数週間」という利用の仕方もできるお手軽物件。これからコシウォンに住むかもしれないという人が、なるべく快適に過ごすためのポイントを紹介します。

まず、日本人なら「個室にトイレ・シャワールーム付き」はマストだと思います。日本は世界の中でも、清潔で公衆衛生レベルの高い国です。多少の汚さには目をつむることのできる筆者でも、海外では「WOW!ミチゲッタ!」と思ってしまうような使い方をする人は多いです。

ミチゲッタ=やばい、頭おかしい

次に、荷物は最小限に抑えることが大切です。収納のないコシウォンも多いので、服はできるだけ現地調達するのがベストです。

さらに、できれば窓のある部屋を選ぶとメンタル的にもよいでしょう。実は、コシウォンには窓なしで少し安い部屋もあるのですが、閉塞感がすさまじく一瞬でうつ病になります。少し高くても、光と風が入る部屋のほうが韓国生活を快適に過ごせます。

なんで2回も住んじゃったんだろう

初渡韓・初コシウォン入居日に「あ、これ無理なやつ」と思って一晩で引っ越しを決意したコシウォン。シェアハウス住まいを経て、なぜか今もコシウォンに住んでいます。

なんだかんだゴミ出しをしなくていいとか、お米や水が無料だとか、オーナーが優しいとか、そういう「慣れない海外生活で堂々とチートを使えちゃう」ところに惹かれるのでしょう。

日本にはない、ちょっと特殊な住居ですが「なんだか住んじゃうコシウォン」はあります。私もその魅力に取り憑かれた外国人の一人です。
「1ヶ月観光ビザで滞在したい!」「とりあえず住んでみよう」なんて方は、文化体験として一度チャレンジしてみてください。

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