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探偵事務所へ行った

前職の正社員をセクハラでうつ病になり退職し、労基と労働局へ相談に行った。

色々調べていると、労働局のあっせんや調停は会社側が相手にしない事例もよくあるらしい。そんな場合は個人を訴えるという手もある。

しかし加害者の自宅住所は知らない。
職場に加害者宛てに損害賠償請求を送ってもいいのだが、
私に気色の悪い言動の数々をしておいて後日平気で家族旅行の土産を配ってきたり写真を見せてくるような男だ。
こいつの奥さんや家族に知られるためにも是非こいつの自宅あてに内容証明なり訴状を送らないと意味がない、

わたくし持ち前のADHDの衝動性で考え出すと止まらない。
ネットで自宅住所を特定する探偵事務所がヒットしたので大まかな内容をメールで伝えて実際に事務所へ足を運んだ。

まずは経緯を話すと、

・完全に相手や会社の対応が悪い
・株式会社としてよく成り立っていますね
・ミナヅキさんはよく耐えましたね
・労基や労働局にもご相談されて勇気があります

「僕たちもそういう本気の方の力になりたいんです」
「最初から値段だけ聞いてくる方もいるんですが、ミナヅキさんのように実際に労基などに行かれて行動していて…本当にお辛い目に遭われた方は違います」

とにかく私のことを全肯定してくれる。

しかし私が知りたいのは費用なのだ。

『某予約サイトと会社のホームページに加害者のフルネームと役職、顔写真や予約スケジュールが掲載されているため出勤日かどうかの見当はつく、
通勤経路と最寄駅は分かっている』

この条件を加味した上で出てきた見積が
20万円だった。

さすがに動揺を隠せないでいると、
「フルネームも顔も会社情報も分かりましたので、インターネットで検索すると特定できる場合もあるんです、そちらのコースでしたら7万円です。それでやってみてダメなら実際に尾行する20万円のコースにしていただくのもいいかもしれません」

と言われる。

7万円コースの見積書を作成している間にもアシスタント的な眉毛の細いカタギではないヘアスタイルのダブルのスーツを着た若いお兄さんが
「ミナヅキさん本当に行動力ありますね」
「なかなかできない事ですよ」
「こんな事されてよく立ち直られて…本当に強いですね」

とにかく優しく全肯定してくれる。

7万円の見積書ができあがり、入金先と入金期日が書いてあった。
とりあえず見積書をもらわないとどうやってここから出ればいいのか分からなかった。

冷静に考えてインターネットで個人の住所などそうそう出ないだろうし、
尾行20万円コースもお金がない。
何より卑劣でサイコパス加害者ごときに20万円もかける価値がない。

念のため他の同業他社にも数軒問い合わせてみたが、
「まずは労働局の調停が終わられてからご検討していただくのがベストかと…」
という回答だった。

見積書の入金期日を過ぎてもあの探偵事務所から特に連絡もなく、結局何もしていない。


あの日無料で話を聞いてくれて全面的に「オマエは全然悪くないよ」「オマエ行動力あってすごいよ」
と全肯定して褒めて励まして送り出してくれた。
ちょっとしたホストクラブ体験だったのかもしれない。私が7万円なり20万円のシャンパン(調査料)を入れなかっただけで、あれはホストクラブ“初回無料”版だったのだ。



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