他人事には思えない ドラマ『スカイキャッスル』
今シーズン目が離せないドラマがある。
木曜21時から、テレビ朝日で放送している『スカイキャッスル』だ。
現在6話まで話が進んでいる。
次回7話は9月12日(木)21時からとのこと。
一週間空いてしまうのね(涙)
公式サイト
https://www.tv-asahi.co.jp/skycastle/
あらすじ
富、名声、権力。華麗なる勝ち組セレブ妻たちが暮らす《高級住宅街「スカイキャッスル」》。ところが、このきらびやかな世界も一皮むけば…目も当てられないほど猛烈な見栄とプライド、そして愛憎が渦巻く《嵐の戦場》だった――。
ドラマでは主に、高校受験を控えた子供たちの為に必死に奮闘する母親の姿が描かれている。
私はある自分の経験を重ねる。
英会話講師として、スカイキャッスルの住民のように裕福なご家庭のお子様と保護者様に関わったことだ。
駐車場には高級車、美しいブランドの服に身を包む親子達。
経営者、医者、芸能人、スポーツ選手のお子様が通うような環境だった。
「彼らは豊かで幸せそうだな。」
初めはそんな風に思っていた。
しかし、裕福な家庭に生まれた、または嫁いだからこそ味わう苦労も存在する事を、生徒や保護者と関わる中で知る事になる。
ー将来が決まっている子供たちー
七夕の季節になると待合室に笹を用意し短冊に願い事を書いていた。
子供の願い事って、
「スイッチソフトが欲しい」
「サッカー選手になりたい」
などだと思う。
しかし、ここでは違った。
「〇〇中に合格しますように」
「お医者さんになりたい」
本音も入り混じる短冊もあった。
「トリマーとお医者さんになりたい」
彼らは幼少期から、家の跡継ぎとして期待され、それを当たり前に思っているようだった。
七夕の短冊に限らず、中高生の自己紹介や、I want to be a (私は~になりたい)の例文を書くときでも、医者になりたい、というものがとても多かった。
現在小4の息子は
幼稚園「ウルトラマンになりたい」
低学年「Youtuberになりたい」
高学年「バレーボール選手Youtuberになりたい」
である。
自由に、のんきに、他者に影響されることなく短冊に願いを書けることは当たり前ではないのだと知った。
影響されていることが不幸とは言っていない。
用意された道で結果的に幸せになる人が多いと思う。
羨ましい反面、すべての進路を自分の意志で決めてきた自分からは想像出来ず、私だったら反発してしまいそうだなと思う。
そんな個性を持った天使だったから、私は何でもOKなサラリーマン家庭に生まれたのかな?なんて。
ーやりたいことより、やるべきことを選択ー
幼少期から通い、毎週のレッスンが生きがいのようになっていた子が、高学年になるのを待たずに週5で塾に通うため英会話を卒業することになった。
お母様よりお申し出があった時対応したのだが、目にはいっぱいの涙が溜まっておられた。
全てを語らずとも伝わるものがあった。
本人も、お母さまも、出来る事なら辞めたくないのである。
卒業の日は、親子で号泣されていた。何なら私たち講師も泣いていた。
今現在のお子様の生きがいよりも、将来につながる道を小学生で選択する。
恋人がいるのに親が決めた相手と結婚するくらいの辛さではないか。
講師の立場でいながらカルチャーショックを受けた出来事だった。
ー跡継ぎにする為に、必要な教育を受けさせなければならないお母様ー
習い事の中でも、いじめのような出来事は発生してしまう。
レッスン中は先生がそうさせないようにコントロールするのだが、
レッスン外での関わりまではコントロールが出来ないのが実情だ。
小学生クラスで、講師が見ていない場面で悪口を言ってしまう子がいた。
レッスン外でも建物の中にいる間は出来る限り見張ったのだが、防ぎきれなかった。
言われた側のお子様がかなり傷ついているという保護者からの申し出を受け、塾として必要な対応を取ることになり、悪口を言ってしまう子のお母様と面談することになった。
加害者側であるこの家族に受講曜日を変更して頂く提案をする難しい面談だった。
経緯を丁寧に説明した上で受講曜日の変更を提案すると、
お母さまの目からスーっと一本の涙が流れた。
まさか涙を見るとは思っていなかったのでとても驚いた私。
「ストレスが溜まっているようで、最近は他の場所でもそういう事をしてしまうんです。」
少し沈黙された後に
「こちらはうちの子の将来に役に立つと思い続けていましたが、ご迷惑をお掛けするので辞めます」
講師目線で、辞めるほどではないという思いがあった。
曜日や時間を具体的にお伝えする前の返事だったので、思いとどまってもらえたらと話したが、トラブルの件を電話で受けた時点で決めていたようだった。
その時ふと、その子の小学校受験の事を思い出した。
その子は第一志望が落ちてしまい、直後にお母さまが奔走されていた。
一般庶民の私の感覚では
落ちたら地元の公立でいいじゃん
なのだが、ここに通う家族達は違う。
その家が納得する一流の教育が受けられる環境を用意しなければならない。
その計画はお母様ではなくお父様がされたとしても、学校に合格させたり、その環境で上手くやっていかせるのはお母様の最優先ミッションなのだ。
4年程のお付き合いだったが、お子様の為に尽力される姿を見てきたので、その涙から感じるものが沢山あった。
このお母様は、歩ませなければならない道と、お子様の感情の板挟みになっているようだった。
このお母様のように、人生をお子様に注いでいる方は沢山おられたな。
スカイキャッスルの描写は決してフィクションではない。
私は一般庶民の母ちゃんだが、スカイキャッスルのような保護者達から沢山学ばせてもらった。
教育は与えたら与えただけ返ってくること
子供に合った環境を用意してあげることの大切さ
良い環境を見つけたら本人に任せて見守る大切さ
親もガッツリ介入し伴走することも時にはアリ?
お金はないけど、考え方を参考に私の住む世界で子供の教育環境を考えることが出来た。
生徒や保護者の心に触れた濃い8年間だったので、ドラマ『スカイキャッスル』を見ると、さまざまなエピソードを思い出すのだった。
出会った生徒とその家族の幸せと成功を心から祈っている。