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仮想通貨革命 野口悠紀雄

いいえ、陛下。
これは反乱ではありませぬ。
これは革命です。
フランソワ6世

仮想通貨は国家に対する反逆であると見做される。
一党独裁国家の中国でさえ、人民元からビットコインへの流出は止められなかった。中国では金融機関の仮想通貨の関与が禁止された程度。

電子マネーは現金の変形にすぎない。利便性が高まっただけ。
電子マネー単独での運営では採算が取れない。
電子マネー運営側からすれば収益が少ない(徴収手数料が少ない)システム開発や加盟店開拓費用の見合う収益が得られない。Edyを運営していたビットワレットは一度も黒字にならなかった。Suicaは交通系。運賃の支払いのために磁気切符を改札機に通す方法では機械の保守が大変。日本では世界でも稀な電車通勤する民族であるため、大いに意味がある。

電子マネーではできず、ビットコインでできること
ビットコインは企業や個人間を転々と流通する。
電子マネーは一回限りの利用しかできない。
ビットコインは管理・運営の主体がなく、仲介機関を通さず取引ができる。
電子マネーは管理・運営コストがかかる。
ビットコインは巨額の保有や送金ができる。
電子マネーはカードの盗難、紛失の危険があるため入金額に限度がある。
電子マネーは特定通貨にリンクしているため国際送金に用いることができない。
ビットコインは無国籍で低コストで送金可能。

ビットコインは出発点に過ぎない
ビットコインはブロックチェーンと呼ばれる公開の取引簿に全ての取引を記録することによって管理者なしにコインを送れる仕組み。

ビットコインの中核はプルーフオブワーク
ビットコインのシステムは改竄が行われないように極めて巧妙な奇妙奇天烈なのだ。
ブロックチェーンは取引の都度、大量の計算を強いられる。
大変な労力を掛けなければならない作業を課すことをプルーフオブワークという。
正直な協力者になることが合理的。
プルーフオブワークはビットコイン技術の中心。
大量な量の計算は無駄な作業に思われるが、実はブロックチェーンの改竄防止である。
もし、悪意を持ったものがブロックチェーンの記録を改竄しようとする。取引記録が変わればブロックの値が変わる。つまりマイニングが必要になる。そして値が変わった場合にそれ以降の記録を全て再計算しなければならない。なぜならブロックの値には前のブロックの値も入っているため。
こうした改竄を続けて、現時点で作成されている最新のブロックまでたどりつき、さらにそれを追い越さないといけない。
それにはネットワークに参加している全てのマイナーの計算力を上回るコンピュータが必要になる。
しかし、それほどのコンピュータを持っているなら、改竄などしようとせず、正直なマイナーになって協力したほうが良い。
つまり、ビットコインとはプルーフオブワークを課すことによって改竄という悪事が合理的でなくなるように設計されたシステム。

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