悲しみの感情と向き合った先に……

7月7日、東京は1日雨でした。私は倒れて3年半かけて、やっと自分の悲しみの感情と向き合うことができました。

前日、奇跡的に初めてチケットがとれたエレファントカシマシ日比谷野音ライブに感動し、生きている喜びを実感。

その余韻を持ちながら、雨にも負けず、エレファントカシマシのルーツである赤羽へ。

いろんな場所に出掛け、嬉しかったのです。
しかし同時に今の私が、普通に歩くことが出来ないこと、左手で不器用にしか食事ができないこと、一緒にいてくれる方にご迷惑をかけていること……
時間経過と共に、悲しみの感情が増幅していました。

倒れてからずっと、悲しみの感情に蓋をしていたことに気付きました。

・同じ速度で歩きたい、小走りしたい
・両手で美しく食事したい
・もっとお洒落したい
・両手で写真撮影したい
・両手で荷物を持ちたい

・一人旅、誰にも迷惑をかけたくない……

蓋がずれ、感情がこぼれ出して来ました。

エレファントカシマシのライブに勇気と感動をもらったのに、私は落ち込んで帰路に着こうと飛行機に乗りました。

私が障害者ということで、航空会社が予約していた座席から、前方の席に変えてくださいました。
ありがたいです。搭乗口まで車椅子に乗せていただき、いろいろサポートいただきました。

雨の東京を離陸して、エレファントカシマシの曲を聴きながら、窓の外を見ていました。

少しして、雨が降っていた空とは別の空が、目の前に広がって来ました。

たくさんの悲しみを受け止めたら、素敵な空と雲が待っていました。雲は変幻自在に形が変わり、途中、象や亀、鳥、石像、涅槃像みたいに見えるものまで……

そして、ふわふわと綿菓子のような、温かい雲が広がってきました。

空と雲から、『何、悩んでるの? 大丈夫!大丈夫!』と励まされている気持ちになりました。

ちょうど、エレファントカシマシの「旅立ちの朝」がスマホから流れ、涙がホロリと出ました。
たった一滴、浄化の涙です。

自分の心を曇らせているのは、目に見えない曇りの感情。悲しみに向き合って初めて、実感でき、3年半の感情の蓋を少しずらすことができました。

小さな幸せに、日々の生活に感謝していきます。
今さら悲しんでも、体は元には戻らないのですから……

障害者になったことで私は、
『人として新たな体験をするんだ』
と、気持ちを新たにしています。

ありがとう、東京。
ありがとう、エレファントカシマシ。
ありがとう、日比谷野音。
ありがとう、友達になってくれた方々。

不自由な体を引きずり回して自由に向かいます。
たった1度の人生ですから。

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