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私のアポロン

戯曲のセリフに使おうと思ったけど使わなかったものです。

あなたのもとへ走ったなら、私は私が私のものになるんじゃないかとおもっていた。
だけど、どうやらそれもちがったみたい。
今となっては、情熱は描かれた花。もうにおいを持たない、形しかない、形さえもない。
けれど私、本当は形もハッキリしないイメージから出発したんじゃなかったかしら。
そう、子供の頃見ていた世界はそのままの世界でなんかなかった。わたしたちは現実より先にイメージの世界を知って、それからやっと現実の世界に漕ぎ出していく。
そう、私やっと思い出した。
アポロンはあなたであるまえからわたしのなかに存在していた。
私の前に姿を現したその時、あなたは私のアポロンになった。
もういまはあなたはアポロンではない。
けれど、、、どうか、どうか今日だけは私に姿を見せてください私のアポロン。
もしそんなことができるのなら私にはもう、夢と現実が同じものになるのだから。

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