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『 恋するリコーダー』・本村睦幸さんからリコーダーを教えてもらう (11)


ブレスが死んでる?

ついにユニット結成!リコーダーを吹くぞ〜!と宣言してみると、思いのほかリコーダー好きがいることが判明。やっぱり合奏しなくちゃ面白くない。仲間が必要。しかしあまりレベルの差があるのは気がひける。

昔、バンドでギターを弾いていたというヨガ・マスターのダイスケ先生に声をかけてみた。
『ねえねえ、リコーダー一緒に吹こうよ』
毎日ヨガをしているだけあって、根が素直なダイスケ先生は即答で『いいですね〜、やりましょう』
さっそく近所の楽器店で2800円でアルトリコーダーを購入。一緒に合奏の練習を開始。まずはアルトの運指を覚えてもらわなきゃね。

小一時間ほど練習すると、さすがバンドをやっていただけあって飲み込みが早いぞ、あっという間に上達。

「リコーダーって、けっこう呼吸法が大事ですね」
「そうなのよ、息が続かないと変なところで息つぎしなきゃならないでしょ。かっこよく吹くために長い息が必要なの」
「なんかこう、吹いているとボーッとしてきますね」
「うん、あまたが真っ白になって何も考えられなくなる」
「ずーっと吹き続けたいような……」
「そそそ、笛ジャンキーになるんじゃないかって……」
「こ、これはマインドフルネスだ!」
「案外と、うつっぽい人が始めると心に効くかもねえ」
「ヨガに取り入れられないかな」

ホントに、瞑想状態になるんですよ。集中してくるとすごく気持ちよくなっちゃって……。笛だけ吹いていればいいや、みたいな気分になるのよ。

「私たちが瞑想慣れしてるからそう思うのかなあ?」
「いや、これはけっこう瞑想になります。せっかく小学校で習うんだから、もっとリコーダーを人生に有効活用したいですね」
「まったくだ!」

まずは「きらきら星」から。こんなシンプルな曲でも合奏すると楽しい。ピタっとハモった時が幸せ。
そう、私のエッセイ集に「ハーモニーの幸せ」っていうのがあるんだけど、まさにそれです。


もっときれいな音を

どうしても音が気にいらん。しょうがないので録音してみた。自分の音を聴くと、音以前に指がラリっていた。
「あれ〜気持ち悪いな。たぶん指が穴を押さえきれていないんだな」
癖なんだろうか、左ひとさし指の押さえで音がブレる。
「吹いている時は気にならなかったけれど、録音すると気持ち悪いなあ。きっと本村さんも『気持ち悪い』と思いながら初心者だから遠慮してがまんして聞いているんだろうな」

まずは、音が素直にブレずに出すことに注意を向ける。リコーダーはすーっと音が出るのがきれいだ。

次、チャルメラみたいな音をもっときれいな音にしたい。これは以前からの課題。だって同じリコーダーなのに本村さんの音はきれいだ。どう違うのか。

いろいろ試してみて「加減」というのが非常に大事だとわかってきた。「強すぎもせず、弱すぎもせず」の息だ。それも音階によって調整していく。喉は比較的解放。喉を詰めない。

歌うように、と本村先生が言うのは、喉の状態を言っているのかも。

毎日、吹いていればだんだん腹筋もついて息もコントロールしやすくなってくる。喉をリラックスさせることはとっても音に影響した。

問題は舌の位置。舌が奥に引っ込んでいると息をじゃまする。上前歯の裏つけ根あたりに当たるのが理想的タンギングと聞いたけれど、前歯が出っ張り気味の私はもう少し奥でタンギングしたほうがやりやすい。人によって骨格が違うわけだから、ベストな形を探したらいいんだろう。

舌筋という舌の筋肉は実はけっこう喉の奥付近までつながっている。そして、年とともに緩んでくるので老人になると誤嚥するのだ。

舌筋も鍛えておいたほうがいいかも。小顔になるし、ほうれい線も薄くなるというからな。笛を吹いて若返ったら一石二鳥!と美容のことまで考える。

(ちなみに舌筋トレーニングとは、顔を上に向けて舌を突きだし、舌を左右に動かすトレーニング。これを三〇回やるとかなり疲れますが、若返り効果絶大です)

寄り道の多い私の人生。しかし、こういう性分なのだ。興味の対象がどんどん拡散する。学校時代はそれが許されなくて辛かった。いまは大人なので、なんでも興味の赴くままに探求できて幸せだ。

こうして自分の音を聴きながらの手探り状態が続く。

よっしゃ、音はブレていない。次は「曲」のイメージを掴んで「歌うように」吹く……だ!

こ、これが録音してみて全然出来ていないことに、再び新鮮なショックと驚き。

「ブレス」が死んでいる。

息継ぎのタイミングがめちゃくちゃ悪い。息継ぎが長すぎる。曲が分断されている。統一感なし。なんだか訳がわからない。句読点だらけの文章を棒読みしたみたいな。

うーん。なめらかに歌うような抑揚とブレスがほしい。しかし、そもそも歌をよく知らないのだから、歌うようにというのがどういうことなのかわからない。

と、いうわけで毎日、オペラを聞いております。

ぜんぜん、興味なかったんだけど……オペラなんて。でも、イタリア人があんまりかっこよくオペラを歌うので、興味をもった。ああいう風に吹けばいいんだか?

興味をもって聞いてみると……、オペラ歌手、恐るべし。どこでブレスしているんだ? この人たちの表現力はなんだ?

これ、私の好きな動画。みんなかっこいい。ぶっとんでる。


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