003 │ 藝大の卒業・修了作品展



時系列的には逆になるけど、先週末雨が上がったから自転車を出した、行き先は上野。そこで芸大の卒業・修了作品展を見た。私はよく卒業制作展=略して卒制展(そっせいてん)て言うけど、ここは卒業作品展=略して卒展(そつてん)になるらしい。




すごく盛況。来場しているのは明らかに、学生や同学の関係者だけではない。一般的な美術展と変わらない風に "お客さん" が詰めかけている。










多言語のオノマトペから、イメージされるカタチに着目したインスタレーション。




化石ではない、化石から着想された作品。




"道具" をテーマにしたインスタレーション。




建築学科の展示スペースは古くからある陳列館の2階、1階は文化財保存学のスペースだ。




建築学の一画。ホームレスの人たちの手荷物を、構造や行動やエリアなどから分析したインスタレーション。展示の構造は整然として解りやすいけど、制作した学生の優しさや親しみの眼差しを感じる。




結局閉館時刻の17時半間際までいた。




大概作品の近くに、制作した学生がついてるから、時々気になった作品は、図々しく質問したりお話聞いたりした。

工芸の林佳慧さんの「12個の季節」と題された作品は、二重グラスという技法のガラス工芸だ。ベネチアが発祥だけど現在は途絶えてしまった技法だそうだ。それは名前の通り、内側と外側で精密に嵌合する2つのグラスを重ね、その間に絵柄や細工を施す。非常な技術と手間を要する技法だそうだ。そのようなガラス工芸がある事(あった事)を全く知らなかった。その林さんの2重グラスは、絵柄や細工は繊細だけど、グラス自体は厚みがあり、力強い印象を受けた。

ご本人はいなかったけど、文化財保存学の中村桃子さんは「国宝伴大納言絵巻」の模写を何点も出していた。保存学なら普通にアリなのかも知れないけど、卒業制作で模写はよほど気合入ってないと選ばないし描かないと思う。平成に描かれたいにしえの細密画に意気込みを感じた。

日本画の伊藤春香さんの「アステリズム」は、artificialなコンビナートが深山幽谷かってな深淵さで定着されてて驚いた。




同卒展はボリュームがあり、その作品1つ1つもテーマやコンセプトが明快で、作りたいもの、見せたいもの、掘り下げたい事、が伝わり軽く流して見る事があまりできず、時間切れで都美館会場は見れなかった。 → http://diploma-works.geidai.ac.jp