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厚顔無恥なので『チキン・ラン』の戦術解説をします~一章:ゲームの本質と序盤の方針~

【この章のポイント】
・『チキン・ラン』を購入したけどよく分からなかったという人向け
・目次まで飛ばして読んでもらってOK
・ゲームの本質は勝利条件から考える
・『チキン・ラン』は“情報アドバンテージ”が肝心

閲覧ありがとうございます。今回は自作ボードゲーム『チキン・ラン』で勝利する(敗北しない)ための考え方をまとめていきます。全5記事の構成で内容は以下の通りです。

一章:ゲームの本質と序盤の方針
二章:イベントカード解説
三章:交渉テクニック集
四章:数値で考える『チキン・ラン』

今回このような記事を書くことにした理由は、『チキン・ラン』をプレイされた方々から「結局何をすれば良いのか分からない」という声が多数あったからです。『チキン・ラン』というゲームはルールこそシンプルなのですが、その自由度の高さから何をしたら良いのか分かりづらいという側面を持っています。また、残念ながら『チキン・ラン』自体の知名度が低いので定石を自身で考えながら行わなければならず、初プレイ時に躓いてしまうということが多少なりともあるようです。
自作品の攻略法を解説するというのは、芸人が自身のボケを解説するようなとても恥ずかしい行為です。けれども、せっかく『チキン・ラン』を手にしていただいたのにも関わらず作品を楽しんでもらえないというのは、その恥とは比べ物にならないほど悲しいことです。
なので、今回は恥を忍んで『チキン・ラン』を行う上で考えておきたい事や序盤の交渉の進め方、知っておきたい知識などを解説していきます。

PS 何かを作る人は例外なく全員恥知らずです。恥を知っていたら自分の作品を世に発表するなんてできません。

それでは本題に入ります。

勝利条件から考えるゲームの本質

これは『チキン・ラン』に限った話ではないのですが、ゲームで勝利するためにはそのゲームの本質を理解する必要があります。そして、その本質を考える上で重要なのが“勝利条件を確認すること”です。「そんなことは当たり前」と思うかもしれませんが、この“当たり前”をいかに考えられるかが勝負事では重要です。何故重要なのかについての説明は省きますが、今回は『チキン・ラン』の勝利条件からゲームの本質を考えていきたいと思います。

さて、『チキン・ラン』には二つの勝利条件(厳密には敗北しないための条件)があります。それは

①所持金(クッカ)が0にならない
②ニワトリの数が最下位にならない

の二つです。これをかみ砕くと

A:所持金を増やす=ニワトリの数でトップを取る(条件①)
B:所持金を減らさない=ニワトリの数を減らして損失を減らす(条件①)
C:最低限のニワトリの数を確保する(条件②)

ということができます。これらの条件はそれぞれ相反していますが、共通していることもあります。それは、情報を集めなければ成立させることができないという点です。何故ならAやCを満たすためにはその条件を満たすニワトリ数を把握していなければなりませんし、Bを行うためには状況を理解していなければなりません。さらにAとB、Cは行うことが真逆であるため、状況からどちらを狙うかを考えなければいけません。つまり

『チキン・ラン』で生き残るためには
A、B、Cに必要な情報を集めることが肝心

なのです。極端な話、相手の手札内容を全て把握していれば100%負けることはありません。逆に言えば相手に情報を与えてしまうと自分は不利になっていきます。このように『チキン・ラン』の本質とは“情報アドバンテージ”のやり取りなのです。

情報アドバンテージと序盤で行う事

『チキン・ラン』において“情報アドバンテージ”を意識することが重要であることは理解してもらえたと思います。では、実際にどのように“情報アドバンテージ”を得ていけば良いのでしょうか。『チキン・ラン』においては以下のような方法が考えられます。

・交渉を行う
相手から直接手札内容を聞いたり、他プレイヤーが行っている交渉内容からニワトリ数を把握したりします。もっとも確かな情報(ルール上嘘を付けないので)を得られる方法ですが、“情報アドバンテージ”が重要であることを理解している相手には難航しやすい方法です。いくら情報が重要だとは言ってもそれによって所持金を大きく減らしてしまっては本末転倒なので、情報と資源の価値を見比べながら交渉を行いましょう。

・イベントカードを使用する
“情報アドバンテージ”を得られるカードを使用する方法です。詳しくは次章以降説明しますが、「情報収集」はもちろん「大混乱」や「疫病」によっても情報を集めることができます。ただし、これらの方法はカードの引きに左右されることが多くカードの効果をよく理解していないといけないのが難点です。

・カードや所持金情報をまとめる
当然ながら目に見えているものは全て情報です。具体的には自身の手札や相手の捨て札・所持金などで、これらを確認することにより様々なことが分かります。例えば相手が

(a)「チキン野郎」を持っている
⇒最下位ギリギリのニワトリ数は狙わない
(b)捨て札に「6」のニワトリを置いた
⇒トップを狙う気が無い
(c)ニワトリを安値で売っている
⇒パスを狙っている可能性が高い

などのことが分かります。

・他プレイヤーの方針を考える
前に記述したように、プレイヤーはAまたはB、Cの方針を取ることになります。その方針を何人のプレイヤーが取っているかを把握することにより場に存在しているニワトリの数が把握しやすくなります。例えば5人プレイの際、3人のプレイヤーがAの方針を取ったとします。すると、必然的に残り2名のプレイヤーのニワトリ数は通常より少ないと予想できます。この状況下で自分が残り2名の内の一人であった場合、「案外少ないニワトリ数でも“チキン野郎”を取らなく済むかも」と考えることができます。このように他プレイヤーの動向を考えることにより、必要なニワトリ数の指標を調整することが可能です。

・顔色や交渉タイミングをうかがう
プレイヤーは人間なので、全ての情報を瞬時に精査し判別することは不可能です。方針決定が簡単ならば早く交渉を始めるでしょうし、逆に難しければ中々交渉に入れません。このようなタイミングを確認するだけでも、おおよそのニワトリ数を推し量ることが可能です。具体的に言うと、方針が決められない人のニワトリ数はおおよそ7~9である可能性が高いです。何故なら初期手札の平均ニワトリ数は8弱であり、この付近のニワトリ数だとトップを狙うか損失を減らすかの判断が難しいからです。このように交渉のタイミングを確認することによって相手のニワトリ数を推測することができます。

このように実に様々な方法で情報を集めることが可能です。そして、集めた情報をもとに方針を決定し条件を満たすようなニワトリ数を目指しましょう。

また、ゲームの序盤においては「上を目指すか下を目指すか」を聞くのが手っ取り早いです。これを聞くだけで一気に場の状況が把握できます。そもそもこの情報は開示していないとスムーズに交渉を行うことが出来ないため、まずはこれを聞くことによって交渉を進めていきましょう。

最後に

本章はここまでとなります。今回のテーマは「『チキン・ラン』では何をしたら良いのか」でしたが、この勝利条件からゲームの本質を考えるという手法は他のゲームにも応用ができると思います。この記事を読んで『チキン・ラン』はもちろんのこと他のゲームもより一層楽しんでいただけたら幸いに思います。
次回からは「イベントカード」の解説やテクニック、数値からの思考を記事にしていきます。ただ、ここから先はある種ネタバレのような一面もあるため、今回の記事で「なるほど、『チキン・ラン』はこうやって遊ぶのか」と思った人には是非とも記事を読み前に『チキン・ラン』を楽しんでいただきたいと思っています。なぜなら『チキン・ラン』というゲームは冒頭でも述べたように非常に自由度の高いゲームであり、手に取ってくださった皆様にはその自由度の高さを味わっていただきたいと考えているからです。

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに。

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【URL】
https://t.co/vwpUTOImCk

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