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『チキン・ラン』販売せきらら日記~三章:コンポーネント~

目次
序章 出展へのきっかけ
一章 必要なモノ・コト
二章 販売目標決定
★三章 コンポーネント
四章 宣伝活動
五章 結果と感想

【この章のポイント】
・行うことはイラストの発注と印刷会社への発注
・時間と原価の管理が重要
・印刷の準備は最低でも半年前から始める
・原価を洗い出し、節約できる部分を探す
・イラスト発注は具体的に(別記事)
・説明書作成は「刈谷式ボードゲームのルールブックの書き方(著 刈谷圭司)」を参考

前章では販売個数とその価格の決定について述べてきました。この章では作品を販売できる形にするまでの工程を記事にしていきます。

作品を出展するためには最低以下の物が必要です。

・カードやチップ、ボードなどの内容物
・説明書
・コンポーネントを入れる入れ物(箱や袋)

これらの物を揃えるために、以下の準備が必要です。

・コンポーネントに使用するイラストの発注
・コンポーネントや箱の印刷を行う会社への発注

以上の準備を行うために時間とお金の管理が重要になってきます。

まず、時間の管理についてです。ボドゲの印刷はとても時間がかかるためその全容を把握し、余裕あるスケジュールを立てる必要があります。
イラストはどこに依頼するかによって変わりますが、コンポーネントの印刷は見積依頼を行ってから物が手元に届くまでおおよそ1.5~2か月かかります。また、物が届いた後はそれを丁合(印刷物を分けたり箱付けしたりする作業)するのにも時間がかかりますので、遅くとも出展当日の3か月前くらいには印刷会社に依頼できていないといけません。イラストはそれより前に完成していなければならないので、誰かに依頼する場合は少なくとも出展の半年前くらいには相談を始めている必要があります。イラストを発注する際、絵のイメージや下書きはもちろん、数値やテキストのデザインとその意図まではっきり決まっていないとリテイクが多くなり進行に支障が出ます。これらのことから

半年以上前から印刷の準備を始めないと出展に間に合わない

ということが分かります。逆に印刷のいらないチップや印刷がギリギリでも間に合う説明書の制作は印刷依頼後に発注したり作ったりしても問題ないため、効率の良いスケジュールを組みましょう。
『チキン・ラン』の場合、出展予定日(4月25日)から考えて

・スケジュールを立て始めたのが7か月強前
・イラストのラフ画をデザイナーに見せたのが5か月前
・印刷会社に見積(発注依頼)を送ったのが4か月前
・実際にモノが手元に揃ったのが2.5か月前

といったスケジュールとなりました。厳密にはコンポーネントの内容を精査する時間もあったため、おおよそ8か月前くらいから出展に向けて動いていました。

次に原価管理についてです。管理といっても必要なコンポーネントの発注金額を計算し、販売価格と比べて原価率を担保できるかを考えるだけです。
ここでは『チキン・ラン』の原価を例にして解説していきます。

まず、以下に【コンポーネントを理想通りに揃えた原価】と【実際の原価】を記述します。(表記は概算、作品一個あたりの値段)

【コンポーネントを理想通りに揃えた原価】
・カード(43枚) 600円
・チップ(65枚) 450円
・化粧箱(一個) 750円
・砂時計(一個) 600円
・イラスト(2万円) 100円
・その他費用(5万円)250円
合計2750円 販売価格2500円なら原価率110%(一個売ると150円の赤字)

【実際の原価】
・カード(43枚) 600円
・名刺の紙幣(65枚) 70円
・袋やタグ(一枚) 90円
・イラスト(2万円) 100円
・その他費用(5万円)250円
合計1110円 販売価格2500円なら原価率44%(一個売ると1390円の黒字)

カードは同人ボドゲ専門の印刷会社へ依頼、イラストはセミプロへ依頼し当初考えていたクオリティから下げませんでした。逆にチップは名刺印刷の紙幣に、化粧箱を麻袋に変更、また砂時計(時間計測)はプレイヤーに任せることにより原価を抑えました。当然すべてが揃っている方がクオリティは高いですが、効果対比を考えた場合は後者の方が断然良くなっています。
とにかく上記のようにコンポーネントに掛かる費用を洗い出し、その中から節約できる部分を探す作業が必要になってきます。様々な問題の解決方の提案や各印刷会社のサイトの見比べなど行うことが多く大変ですが、ボドゲ出展では避けて通れない道なので地道に行いましょう。

また、時間と原価の管理とは別に行わなければならない事があります。それは発注するイラストのラフ画と説明書の作成です。ラフ画に関しては別記事『『チキン・ラン』販売せきらら日記~三章:コンポーネント~参考資料』に載せておくのでご覧ください。説明書の書き方についてはゲムマカタログの後ろのほうに載っている「刈谷式ボードゲームのルールブックの書き方(著 刈谷圭司氏)」を参考にしたのでオススメします。

本章は以上となります。本来は販売している商品の原価など公表しない方がいいのですが、これから制作・出展を行う人の参考になればと思い包み隠さず記事にしましたので参考にしていただきたいと思います。とにかく行わなければならないことがたくさんありますので

チェックリストを作り時間や価格の把握を常に行う

事が大切です。道のりは長いですが頑張りましょう。

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