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厚顔無恥なので『チキン・ラン』の戦術解説をします~三章:交渉テクニック集~

一章:ゲームの本質と序盤の方針
二章:イベントカード解説
★三章:交渉テクニック集
四章:数値で考える『チキン・ラン』

【この章のポイント】
・「『チキン・ラン』は面白いけど勝てなくて困っている」という人向け
・“立ち回りの考え方”と“交渉テクニック”の2本立て

閲覧ありがとうございます。ボドゲ工房Rのランブンです。本章では『チキン・ラン』で使える情報を“立ち回りの考え方”と“交渉テクニック”の2点に分けて解説していきます。もちろん『チキン・ラン』は自由度が高いゲームですので、まだ発見されていない定石や対策があったり、プレイヤーによる環境の変化によって正しい行動が変わったりする可能性は十分にあります。けれども、『チキン・ラン』を始めてまだ数回という状況ではかなり参考になると思いますので、「面白いけど勝てないな」となってきたら読んでいただけると幸いです。

それでは本題に入ります。

立ち回りの考え方編

『チキン・ラン』は情報アドバンテージのゲームであると説明しましたが、情報を扱うためには基本的な立ち回りを覚えていなければなりません。今回は良く使用する考え方をまとめましたので参考にしていただけたらと思います。

・行動は早めに、リスクのあるベストよりリスクのないベターを

『チキン・ラン』は「最下位にならなければ勝てるゲーム」なので、リターンよりもリスクを大きく評価した方が上手に立ち回れます(逆にトップ取りのゲームではリスクを負ってでもリターンを求めた方が勝率は上がります)。つまり、様々なプレイングの基本として理
想を求めて最高のタイミングで行動する
よりも
大失敗しないために利益が確実に出る状況なら早めに行動する
方がよい結果を生むことが多いです。
例えば「大混乱」を発動しようと考えた場合。ゲーム序盤によりも交渉が煮詰まった状況で発動する方が相手に与える損失は大きいですが、その場合常に「緊急開場」を発動されるリスクを考えなければなりません。

また、パス権を使用する場合。1クッカでも節約しようと画策している間に他のプレイヤーにパスをされてしまったら目も当てられません。それよりも利益が確約されている状況でパスを行う方が長い目で見た場合は特になることが多いです。

このように「最高のタイミングを計る」ことは同時に「妨害される可能性を高める」ことに繋がります。もちろんイベントカードの「無効化」を考慮したり、リスクを背負わざるを得ない状況に追い込まれたりすることはありますが、基本的な方針としては低リスク低リターンで動いた方が良さそうです。

・所持金は“持てるニワトリの数である”ということに注意

ラウンド終了時、手札にあるニワトリの数だけ所持金が減らされてしまいます。裏を返せば所持金以上のニワトリを持った状態でラウンドが終了すると敗北になるということです。相手からすればその事実がそのまま自身の勝利に直結するので「所持金以上のニワトリを持っている相手とは交渉する必要がない」ということになります。つまり、所持金以上のニワトリを持っていることは他のプレイヤーに知られてはいけないということになります。逆に相手がその状況に陥っている状況なら、どれだけ自身の得になる交渉を持ちかけられても交渉するべきではないということです。この事実はゲームを始める前に確認しておかないといざという時に忘れてしまい、確実に勝利できる状況を自ら手放してしまう可能性があるので注意しましょう。

また、これと同じ理屈で「“チキン野郎(1回目)”の時に、手札のニワトリ数が少ないということは他のプレイヤーに知られてはならない」ということができます。合わせて覚えておきましょう。

・パス権は基本的に使い得

『チキン・ラン』でよくある負けパターンとして「パス権を使用しない」というのがあります。パス権はゲームに一回かつラウンド中に一人しか使用できないので、使いどころが難しく感じられるかもしれません。しかし、『チキン・ラン』の性質上

①序盤でリードを取ると最下位争いから外れやすい
→早い段階でパスした方が最下位争いから外れる可能性が高い

②ラウンド数は大体3~4である
→ゲーム中に1回の制約は考慮に値しない
→ラウンドに一人までの制約は大きい

③所持金が無くなってくるとパス権は使用できない
→序盤で使用しないと終盤使用できない可能性がある

と言えるので、序盤からパス権の使用は考えておいた方が良いといえます。

また、先述したようにパスしようとしたらパスされたでは被る損失が大きいので、得するタイミングでなるべく早く使用することをお勧めします。最初のうちは良くないタイミングでパスしてしまうこともあるかとは思いますが、使用するとその強さが分かってくると思いますので、どんどん使っていきましょう。

・手札は0枚にするな

“チキン野郎”を受け取ることを覚悟で行動する際、よくやりがちなのが手札の枚数を0枚にすることです。確かに手札が0枚なら清算する際の損失も0にできますが、相手からは「ニワトリを1でも持っていれば“チキン野郎”を回避できる」ということが明白です。1クッカの支払いで“チキン野郎”を回避できるというのは破格の条件です。自分が数クッカ得をしてもこのアドバンテージ差はそうそう覆りません。逆に1枚でも非公開のカードを持っていれば、相手視点からは「ニワトリ数1~6までは“チキン野郎”を受け取る可能性がある」となり、無駄な損失を被らせることができます。手札を0にして節約してもそこまで大きな利益を生まないので、損を少し受けてでも手札を1枚以上残し相手にプレッシャーをかけていきましょう。

なお、相手が手札を1枚残している状況ならば5ニワトリを確保しておくのが比較的安全です。もちろん7ニワトリ確保するのは一番ですが、これは相手が6ニワトリ持っているケースでしか機能しない保険です。また6ニワトリでは万が一6ニワトリ相手が持っていた場合に自身も“チキン野郎”を受け取ることになるので、それなら損失が1クッカ増えてでも7ニワトリ確保の方が良いです。また、手札1枚では5ニワトリにならないので、相手が「6」以外であれば5ニワトリで確実に“チキン野郎”になりません。逆に4ニワトリ以下だと“チキン野郎”を受け取るリスクが格段に上がるので保険をかけるなら5ニワトリがオススメです。

交渉テクニック編

情報アドバンテージやその他資源を確保するためには交渉術が必要不可欠です。最初は難しいですが、以下にまとめたことを意識するだけでも状況が好転することが増えると思いますので参考にしてみてください。

・とにかく周りに話を振る

『チキン・ラン』はゲームがリアルタイムで進んでいくので、制限時間には常に気を使うことになります。その結果、序盤の交渉相手としてスムーズに交渉が進みそうな人を選ぶことが多くなります。交渉は場面が煮詰まった終盤よりも交渉の余地が大いにある序盤の方が行いやすいので、とにかく序盤から交渉に動き出した方が良いケースが多いです。また、序盤から話を周りに振ることで場を仕切ることができ、自分が有利な状況へ場を誘導することができる可能性が高まります。開幕「トップを目指すかギリギリ“チキン野郎”を回避するか」を周りに聞くだけでも、相手からは「積極的に交渉したい人なんだな」と思われ、交渉を持ちかけられることが多くなります。逆に黙っていると周りの交渉からどんどん外れていき、最終的には交渉できない状況まで追い込まれるので、まずは話してみることから始めてみましょう。

・値段提示は大きめに

基本的には交渉はスムーズに行えた方が良いですが、だからといって最初から適正価格を提示する必要はありません。交渉の成立を急ぐあまり適正価格より高くても交渉してくれる場合もありますし、そもそも相手が適正価格を見誤る可能性もあります。もちろん残り時間との兼ね合いもありますが、最初は高めの値段設定で交渉を持ちかける方が良いでしょう。逆に交渉を持ちかけられたら適正価格よりも低めの値段を提示し返すと良いです。

ただし、同じような条件を提示する競合相手がいる場合は注意しましょう。例えば3ニワトリを売ることを考えた場合。もし自分が「5クッカで売る」と言ったときに競合相手から「俺は3クッカで売ります」と言われてしまうと、こちらの選択としては「さらに値下げして2クッカで売る」もしくは「自分と交渉した方が良い理由を説明する」となってしまいます。当然どちらも厳しい条件となってしまうので、このようなケースが想定される場合は最初から「3クッカで売ります」と言った方が良さそうです。

・トップ狙いの時は強気に堂々と

トップを狙う際に考えうる最悪なケースは、自身がトップになれないことです。逆にトップを狙うのが自分だけならば無条件で自身の勝利を決定することが出来ます。なので、トップを狙う際は堂々とし、相手をトップ争いから降ろさせる方がよいケースが多いです。もちろんあえて堂々としないことによりトップ争いを仕掛けてきた相手に大きな損失を被らせることも作戦としてありますが、2位以下が大きな損失を被るか否かは自身の勝率には関係ありません(一度トップを取れば自身の敗北はほぼ無いため)。相手に損を被らせても自身の勝率が上がらないのであれば自身がトップになれない確率を下げた方が良いので、相手に勝負から降りさせた方が利口でしょう。

・生き残るためには余裕のある人を持ちあげよう

『チキン・ラン』では、一度トップを取ると負け筋がほとんど無くなります(所持金が豊富であるかつパス権を使用できることを鑑みると、3回連続で“チキン野郎”を受け取るような状況になってしまう以外は負けが無い)。このことからトップを取った人は「“チキン野郎”さえ取らなければいい」という発想になりやすく、金に物を言わせてニワトリを確保しにくるので交渉の際にぼったくった条件を出しても通してくれる可能性が高いです。また、(自分がトップを狙わないなら)同じ人物に連続でトップを取ってもらった方が勝率は上がる(最下位争いをする人数が増えるため)ので、一度トップを取った人を持ちあげ他のプレイヤーにトップ取りを諦めさせるのも立派な戦術となります。余裕のある人とズブズブの関係となって甘い蜜を吸いましょう。

最後に

本章はここまでとなります。今回は『チキン・ラン』で使えるテクニックをまとめましたが、純粋な交渉力が求められるゲームなので、ここで書かれた内容は他のゲームでも応用できると思います。もちろん、研究の進みやプレイヤー環境により考え方を変えなければいけない場面もあるかとは思いますが、是非とも参考にしていただけたらと思います。前章と同様にコメントをいただけたら幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに。

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