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うぬぼれ自作ボドゲ紹介~第二回Mole in the Cult ~

閲覧ありがとうございます。ボドゲ工房Rのランブンです。
今回は『Mole in the Cult(旧名:カルトとモグラ)』について記事にしていきます。

【ゲーム概要】

・ゲームタイプ
議論を中心とした正体隠匿系ゲーム
4~8人プレイ(GM必要なし)
一試合60分程度

・設定
プレイヤーは国家転覆を目論む教団の一員となり、信仰心を集めるために様々な布教活動を行う。しかし、教団の中には侵入捜査を行う公安警察からの刺客が……。
教団陣営は信仰心を集めるか公安陣営の処刑、公安陣営は教団陣営にバレないように証拠を集めることを目的とする


・システム説明
プレイヤー全員で話し合いをしたのちに自身の行いたいアクションに投票する集会フェイズと、公安陣営がアクションに対して捜査を行う潜入フェイズの2つのフェイズを、どちらかの陣営が勝利条件を満たすまで交互に行う人狼に似たシステム。個々のプレイヤーに能力は無いが、集会フェイズで自身の好きなアクションに投票しそれを行うことができる。しかし、選んだアクションが公安陣営によって捜査されていると、そのアクションは行うことはできず逆に公安陣営に勝利点をあたえてしまう。つまり、裏切り者を推理する正体隠匿要素と、相手の行動を読み切る心理戦要素の合わさったゲームデザインとなっている。


【設計意図】

「『人狼』と『凶星のデストラップ』を合わせる面白くなるのではないか」

という発想が発端で、二つのゲームシステムを合わせた後、削っていく方向でシステム構築を行った。今回行った制作手順は

1:『人狼』と『凶星のデストラップ』を合わせたら面白そう
2:二つのゲームの面白い点と問題点を把握
3:面白さを残し問題点を消すことができるようなシステム考案
4:やぼったくなってしまったルールを削り、簡潔なデザインを作成

であった。また、二つを合わせたうえで互いのゲームの欠点と考えられる点、特に『人狼』における欠点が解決できれば良いと考えゲームデザインを行った。
私が考えた欠点は以下の通り。

①ゲームを行うのに必要な人数が多い
②GMが必要(または手間がかかる)
③序盤にゲームから抜けると待ち時間が長い
④役職や陣営ごとの動きを理解できていないと試合にならない
⑤初心者が混ざるとゲームが崩壊しやすい、また初心者だけではゲームが成立しない

以上のことから、初心者が非常に参入しにくくプレイするのも難しいゲームデザインであると考え、今回はそれを解決しなおかつ正体隠匿系の面白さを味わえるシステム構築を目指した。

①②③はプレイヤー自身をリソースとして扱っているためと考え、プレイヤー以外のリソース(今回は勝利点やアクションカードなど)を用意することで解決した。『凶星のデストラップ』では「体力」と「勝利点」、「手札や場のカード」というリソースがあったが、今作では「体力」の代わりに「コスト」という概念を導入した。これは、個人ではなくチームがリソースを管理する方がシステム的にスムーズであると考え、チームで管理することができるリソースに代用した形となっている。

④はゲーム開始時に役職を決定することが起因していると考え、アクションの決定権を全てのプレイヤーに与えた。元々『凶星のデストラップ』の面白さがここにあり、逆に言えばこのシステムありきで他のシステムを考えている。『凶星のデストラップ』では行うアクションを話し合うことができないが、正体隠匿の要素を入れることにより議論を行うこと自体がゲームの面白さとなっている。

⑤は推理と読みの配分により解決を図った。『人狼』においては推理の要素が読みの要素よりもはるかに大きいが、今回のシステムでは読みの比重を大きくすることで相対的に推理の要素を小さくした。推理は盤面からの情報を正確にとらえる技量が求められ、これは勝負の彩が出にくい。一方、読みはどれだけ上級者でも外すことがあり勝負の彩が出にくい。このような観点から読みの要素を大きくすることで初心者でも参入しやすくなる可能性が高くなると考えた。これも『凶星のデストラップ』からシステムを引用することで解決できると見越して制作を行っていた。

このようにしてシステムを考えていき、初心者でも手軽に楽しめるゲームデザインを目指した

【問題点や改善案】

まず、初心者にはこのゲームは難しいということが発覚した。議論を行うという要素を残してシステム的に初心者でも楽しめるように構築したつもりであったが、そこまでは至らなかったということである。今回は「初心者でも楽しめる」が一番の目標では無かったため大幅なルール変更を行う予定はないが、今後プレイヤー層を絞って制作を行う場面が訪れた際には今回の反省を活かしたい。

また、ゲームの展開によっては渋くて派手さのない状況に陥る現象が発生した。個人的には嫌いではないが、かなり好みが分かれる内容なので意識しなければならないと反省した。つまり

ゲームの終盤は加速度的に場面が動くデザインを目指す

ということである。自身の制作するゲームではこの発想が疎かになることが多いので意識していないと同じ失敗を起こす可能性がある。

テンポ感が悪い問題はただいま解決中。アクションカードの種類を厳選しゲーム速度を高める調整を行っている。


【現状の進捗状況と今後の展望】

ゲームマーケット2020秋に向けて調整中。出展することは決めているのでイラストの依頼は発注済。テストプレイを重ねてゲームをより理解できたため理想の方向へは進めていると考えられる。あとはゲームバランスが難しいのでこれからもテストを重ねていく予定。

【最後に】

今回は『(旧名:カルトとモグラ)』について記事を書いていきました。前回の『チキン・ラン』とは違い、具体的なゲームシステムを改編して新しい面白さを作り出すという手順でした。しかし、基本は同じ手法であり

やりたい事の方針を決定し、その要素を細分化して理解、ルールを作って最後に削り落としていく

ことが大切だと思います。

以上で今回は終了となります。最後までお読みいただきありがとうございました。次回もお楽しみに。

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2020年春ゲームマーケット
『チキン・ラン』出展
多人数短時間(4~7人、20分)、自由な交渉とシンプルな数比べ
キャッチコピーは「―破産か、罵倒か―」
2020年秋ゲームマーケット
『Mole in the Cult』出展予定
旧名カルトとモグラ
多人数中量級(4~8人、60分)、じっくり遊べる正体隠匿系ゲーム
キャッチコピーは「裏切者には粛清を」


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