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『チキン・ラン』販売せきらら日記~二章:販売目標決定~

目次
序章 出展へのきっかけ
一章 必要なモノ・コト
★二章 販売目標決定
三章 コンポーネント
四章 宣伝活動
五章 結果と感想

【この章のポイント】
・「一時間に何個売れるか」でイメージする
・原価率=原価÷販売価格=30~50%
・価格は作品の規模から想定して決める
・販売個数と印刷料金の話

前章では、出展までに行う必要がある事柄をまとめました。今回からはその内容をもう少し詳しく記事にしていきます。『チキン・ラン』出展での経験を織り交ぜながらなるべく具体的な話を開示していきますので参考にしていただけたらと思います。

それでは本題に入ります。本章では販売目標、つまり販売個数とその価格の決定について書いていきます。ここを最初に決める理由は前章で述べましたが、実際にはどのように決めていけばよいのでしょうか。

まず、販売個数に関して。これは制作者の金銭面の問題や知名度、また出展場所など様々な要素を考慮しなければならないので一概には言えませんが、ゲームマーケットにおいてはおよそ200個までを上限として考えればよいと思います。よくある考え方の手法として「一時間にいくつ売るつもりなのかを考える」というものがあります。
例えばゲームマーケットに一日、10時から17時までの7時間参加することを考えるとします。作品を200個作るとすると、完売するためには一時間に200÷7≒29個売らなければならない計算となります。つまり2分に1個は売れるという計算で、これは中々ハードであると想像することができます。これからも出展を続けていく場合はある程度在庫が残っても良いため、印刷料金を安くするためにも数を多くすることは得策ですが、このように具体的に販売状況を計算してイメージするという手法はとても便利です。
私の場合は某店長に「上手くいけば200個売れる」とそそのかされたので、最初から200個が目標でした。先ほどの計算だと「2分に1個の販売ペース」でしたが、ゲムマには両日参加にしたこと、そして100個売れれば赤字にはならないことなどを考えると「1時間に10個の販売ペース」という目標となりました。これでもかなりハードな設定なので、皆様には上記の手法を使って計画的に販売個数を決めていただきたいと思います。

次に販売価格についてです。ここでオススメしたい方法は「自身の作品と同規模のボドゲを参考にして値段を決める方法」です。

この方法の説明をする前に、説明に出てくる原価率という言葉について説明をしておきます。原価率とは、販売価格に対しての原価の割合のことです。計算式としては

原価率=原価÷販売価格

で表すことができます。例えば原価1000円の物を2000円で売った場合、原価率は1000÷2000=0.5となります。この数値が高くなると売った時の利益が小さくなります。どこまでを原価と定義するかにもよりますが、原価率は30~50%くらいが目標となります。ただ同人で小規模だと50%ですらかなり難しいので、とりあえず50%付近を目標にすればよいかと思います。もちろん個人の趣味なので原価率を無視することも選択の一つですが、継続的に出展することを考えるとある程度は考えた方がよいと私は考えています。
ちなみに『チキン・ラン』の場合、原価がおおよそ1100円で販売価格が税込み2640円(ボドマート価格、ただし手数料が20%なので私の手元に入るのは2112円です。)なので原価率は42%(手元に入るお金基準だと52%)となっております。

さて、ではどうして「自身の作品と同規模のボドゲを参考にして値段を決める方法」をオススメするのでしょうか。それは以下のような事情があるからです。

・同人ボドゲ界隈は商業ボドゲとバッティングしやすく、同人だからといって値段を高めに設定することが難しいため、販売価格から決めざるを得ない
・原価から価格を決めるより販売価格を先に決めた方が、原価を抑えるきっかけを作りやすい
・使える予算を先に決めないと、コンポーネントに無限にお金がかかる

同人ボドゲ界隈はゲムマに多くの商業が参入している関係か、価格設定が商業ボドゲに即したものが多い傾向にあります。また近年では作品のクオリティも上がっているため、クオリティを維持しながら原価を下げる努力(または原価率を無視した制作)が必要不可欠となっている現状があります。そのため、自身の作品と同規模の商業ボドゲの値段をリサーチし、その値段に即した価格での販売を目標として商品化を進める必要があるのです。原価にかけられる予算さえ決まれば、どこにお金をかけてどこを節約するかが見えてきますので、まずは販売価格を決めてしまいましょう。

少し印刷について調べると分かるのですが、実は販売価格から決定して原価率を考慮すると、原価の予算がかなり無理難題な値になります。けれども、そこはコンポーネントの省略や予算配分によってどうにか切り抜けなければなりません。
『チキン・ラン』の場合、作品の規模的に2500円が妥当だと考え、そこから原価を850~1250円に抑えることを考えました。最初にコンポーネントの原価を計算した時は2500円を超えていましたが、削れるところは削って現在の原価となりました。

最後に販売個数と印刷料金の話を少しして終わりにしたいと思います。端的に言えば

たくさん数を刷れば一個あたりの値段は安くなる

ということです。ある印刷会社のカード印刷値段は以下の通りとなっております。

基本料金
+1個に掛かる費用(枚数×1枚の値段)
×個数

ここで、販売個数によって基本料金と1個に掛かる費用は変動せず、個数だけが変動するので

・基本料金 20000円
・1個にかかる費用 500円

とすると、個数が50個の場合は20000+500×50=55000円、つまり1個あたりの原価が1100円。個数が200個の場合は20000+500×200=120000円、つまり1個あたりの原価が600円となり、原価が倍近く変わってしまうことが分かります。これは数を多くすればするほど、1個が負担する基本料金が小さくなるからです。このことも念頭に置きながら販売個数を決めていけると良いと思います。なお、『チキン・ラン』の場合、1個に掛かる費用が430円で基本料金が20000円でした。そのため税金を含めると

200個の印刷で116600円、単価583円
100個の印刷で69300円、単価693円
50個の印刷で45650円、単価913円

といった具合でした。カード以外の印刷も基本的には同じ考え方なので、自身の経済状況と販売価格から鑑みて印刷する個数を考えましょう。

本章はここまでとなります。今回はシビアな話が多かったと思いますが、ここが決まらないとコンポーネントの内容を決めることができないので頑張って行きましょう。このあたりの話は非常につまずきやすいポイントだと思いますが、私の経験が少しでも皆様の役に立てたら幸いです。

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