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うぬぼれ自作ボドゲ紹介~第一回チキン・ラン~

閲覧ありがとうございます。ボドゲ工房Rのランブンです。

今回は私が今まで制作した自作ボードゲームについて自由気ままに書いていこうと思います。

詳しいルール説明は行わないので

私のゲームをプレイしたことのある人向けの記事

となります。かなり読者対象の狭い記事となりますが、対象者に対してはなるべく有益な(制作の観点で)記事になるように努力いたしますのでよろしくお願いいたします。

なお、記事の構成は基本的に
・ゲーム概要
・制作意図
・問題点や改善案
・現状の進捗状況と今後の展望
で書いていきます。

それでは本編に入りたいと思います。

本日は『チキン・ラン』について書いていきます。

【ゲーム概要】

・ゲームタイプ
カードを使用した交渉系
4~7人プレイ
一試合20分程度

・題材やテーマ説明
プレイヤーは養鶏場の経営者となってニワトリの売買を行っていく。利益を出すためには他のプレイヤーよりも多くのニワトリを所有しなければならないが、もし一番になれなければ集めたニワトリの分だけ損失が出てしまう。けれどもニワトリの数が少なすぎると周りのプレイヤーから「皆が市場維持のために頑張っているのにお前は何をやっているのだ!」と罵られ“チキン野郎”の烙印を押されてしまう。自身の交渉術を武器に生き残ることがゲームの目的である。

・システム説明
敗北条件を満たすプレイヤーが現れるまでラウンドを繰り返す、カードタイプのゲーム。プレイヤーは所持金が0になるかラウンド毎に決定される“チキン野郎”に二回なると敗北となりゲーム終了。その時点で敗北条件を満たしていないプレイヤー全員が勝利者となる。

ラウンドの初めにニワトリの数が書かれたカードがランダムに複数枚配られ、その後そのカードを使って交渉を行っていく。この交渉はターン制ではなくリアルタイム制であり、時間が許す限り何度でも交渉を行ってよい。基本的にプレイヤーはカードや所持金の受け渡し以外のことはできないが、交渉自体には「嘘をついてはならない」以外のルールが無く、シンプルながら自由度の高い交渉を行うことが可能である。

ラウンド終了時の所持金変動のルールも簡単で「ニワトリを一番多く持っていたプレイヤーはその数だけプラス」「それ以外のプレイヤーはニワトリの数だけマイナス」「一番ニワトリの数が少なかったプレイヤーは“チキン野郎”となる」だけである。つまりニワトリ数一位は圧倒的に有利になるが、二位は状況が不利になる、さらに最下位も悪い状況に陥るというシステムである。

場を読み切る洞察力と、状況を有利に進める交渉術を短時間で存分に競える内容となっている。

【設計意図】


とにかく“交渉術”を競うゲームを制作したかった。そのため

交渉に関わらないルールを極力減らす方針でシステムデザインを行った。

交渉を起こさせる際、プレイヤー間での不平等と非公開情報が必要不可欠であるため、ラウンド毎に各プレイヤーに配られるカードをランダムとした。そのため、当然運の要素が出てくるが
・ニワトリの数が少なくても有利に働く
・ラウンド間で引き継げるのは所持金のみ
という設計にしたため長期で見た場合の運の要素を下げている。

なお、運ではなくプレイヤーの行う行動選択によりプレイヤー間の差をつけるという方針も考えられたが、それでは交渉だけではなく場面の数理的処理能力(最も効率よく行動する能力)も競うこととなるため、今回は採用を見送った。

また、個人的にトップ取りのゲームよりも長期間で安定した順位を獲得することを評価するゲームの方が好みのため、今回は負けない人が勝つ勝敗システムとした(今回は運の要素が絡む性質から敗北者を決めるゲームにしないと運ゲーになるため、どちらにしてもこの勝敗システムに落ち着いたと考えられる。ただし、長期かつ素点を評価する麻雀のようなゲームであればこの限りではなかった)

【問題点や改善案】

初心者でも遊べるゲームを想定して制作を行ったが、実際にはかなり上級者向けのゲームとなってしまった。教訓としては

ルールが簡単だからと言って初心者向けになるとは限らない

ということ。ルールによって初心者を守るという考え方が必要なのだと強く感じた。

また、勝敗システムがトップ取りでないため、有利になったプレイヤーは他のプレイヤーから狙われることがなくなるため、実質勝ち抜けのような状況になるのは問題であった。ただし今回は
・勝っている人は優越感に浸れる(逆だと敗北感の中ゲームを続けなければならない)
・長時間のゲームではない
・一番不利な人が集中的に狙われる状況は限定的

という条件が揃ったため、上記のような問題点は妥協することとした。

推奨プレイ人数の幅が狭いという問題点も発覚した。このゲームは4人から7人で遊べるようになってはいるが、このゲームの魅力を発揮する人数は5人または6人であり限定的である。7人プレイの時が顕著で、面白さが半減しているといっても過言ではないので特殊ルールを考える必要がある。現在考えている改善案は初期手札を5枚から4枚へと減らすことだが、上手くいくかはまだ不明。本来は情報負荷の観点からプレイヤー人数によって初期手札枚数を変更するのは避けたかったが今回は居たしかないと考えている。

【現状の進捗状況と今後の展望】

ゲームマーケット2020春に出展予定。すでに印刷が終了している状況

【最後に】

『チキン・ラン』の制作および過程のアウトプットを行い私は

要素による現象をかみ砕いて理解する視点

が重要であると感じました。今回は“交渉”を行うゲームでしたが「“交渉”を行わねばならない状況とはどのような状況か」の理解ができていなければ制作は難航したと推測されます。言葉の意味は分かっていても、それを再現するためにはより細かく具体的な要素としてとらえられなければゲームシステムの構築は難しいと考えられるからです。『チキン・ラン』制作時にここまで明瞭に把握できていたわけではないですが、このような視点は少なからず自身の中にあり今後の制作では意識する必要があると私は思います。

また、以前書いた記事にもありますが

「“削る”努力」と「最初の制作方針決定」は非常に大切

だと考えられます。説明は省きますが、もし今回の記事が役に立ったと感じた人はぜひともそちらの記事も読んでいただけると幸いです。

今回は以上となります。このような記事に需要があるかどうかは分かりませんが、少しでも皆様の役に立てたのなら幸いです。このシリーズは掲載回数や期間を決めていませんが、今のところは今回含めて最低5回を予定していますので、興味のある方は頭の片隅に入れておいてください。

今回は最後までお読みいただきありがとうございました。

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2020年春ゲームマーケット
『チキン・ラン』出展
多人数短時間(4~7人、20分)、自由な交渉とシンプルな数比べ
キャッチコピーは「―破産か、罵倒か―」
2020年秋ゲームマーケット
『Mole in the Cult』出展予定
旧名カルトとモグラ
多人数中量級(4~8人、60分)、じっくり遊べる正体隠匿系ゲーム
キャッチコピーは「裏切者には粛清を」


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